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第七話 人殺し

茜は静かに話し始めた。


茜『あれはゲームが始まってすぐのことだった。私もみんなと同じで目が覚めた時に何故ここにいるのか、自分が何者なのかも分からないほど記憶が曖昧な状態だったの。なにをしたらいいのかも分からなかったからその時はすごく混乱してた。私はできる捜索はしてみようと思って色々調べてたの。その時ね見つけちゃったんだぁ。ポケットに入ってた"写真"を』


凪『写真…それってどんな写真だったの?』


茜『子供の時の私と裕樹、それとお母さんが写った写真。そこで記憶が少しだけ戻ったの。裕樹と私は兄妹ってこと。そしてこのゲームに参加する前私はこのゲームについて"誰かと話してた"こと。』


翔『その誰かというのは裕樹の可能性はないのか?』


翔はわずかな希望を抱くように問いかけた。


茜『残念だけどそれはないかなぁ。何を話したか、明確には覚えてないんだけど、"協力してくれ"、"ゲームをもう一度する必要がある"って言われたことは覚えてる。』


茜の声は次第に弱々しくなっていく。目には涙が見え始めた。


茜『記憶が戻ってすぐに裕樹に写真を見せて話した。私の話を聞いて裕樹も私と兄妹ってことを思い出したんだけど…お兄ちゃんってバカでさ。俺が絶対守ってやる!なんて言って私の命第一優先で動くようになっちゃった…』


裕樹『 … 』


茜『第一ゲームも私を端っこにして守ってくれて。今だって自分が疑われるようにして私を庇おうとしてる…』


裕樹が自ら自分の持ち物を公表したのは茜にもしものことがあった時、自分に矛先を向けて疑われるようにするため保険だったのだ。


裕樹『違う!茜の言っていることは嘘だ!話の記憶を思い出したのは俺だ‼︎俺が運営側の人間と話してたんだ!』


茜は掠れた声で話し続ける。


茜『記憶が消えるのはプレイヤー全員。内通者だろうが関係なく消えるんだと思う…きっと私なんだよ。あいつの言う"裏切り者"って』


そう言うと茜は目の前にあるボタンを押した。


ピコン!


『投票が開始されます。裏切り者だと思う人間を指差してください。最も選ばれた人間は処刑されます。また投票をしなかったプレイヤー、自らを投票したプレイヤーも処刑されます。』


アナウンスが流れた。


裕樹『待ってくれみんな!俺を、俺を選んでくれ‼︎茜は何もしてない!そしてそれはこれからもだ!誰にも危害を加えることだってない。だから!』


裕樹が必死に訴える。だが切羽詰まったこの状況においてその要望を聞こうとする者はいなかった。それは僕もだ。この状況で少しでも可能性があるのならそれを消しておきたい。そう思ってしまったのだ。


『投票を終了します。竹下茜15票、竹下裕樹1票。最も選ばれた竹下茜の処刑が確定しました。また竹下裕樹自ら自身に投票したため竹下茜との同時処刑が確定しました。』


そうアナウンスが鳴り終わると。


ガコンッ!ガコンッ!ガコンッ!


僕たちの座っていた椅子が法陣のように回り出した。そして印のついた場所に茜の席が回ってきた時その回転は止まった。


ピピッ!キューーーンッ!


レーザーのチャージ音のような音が聞こえる。


『ねぇ……お兄ちゃん。これだけは約束して』

下を向きながら話し出す茜。


    『絶対次も私のお兄ちゃんね!!』


涙を抑えきれないその笑顔はどの笑顔よりも美しく儚いものだった。


ピシュン!


上からレーザーが茜の頭目掛けて発射された。天井から放たれたレーザーが茜の頭頂部を貫いた。そしてそのまま茜は息絶えた。

裕樹は声にならない声を漏らした。

そして次の瞬間


裕樹『ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎』


裕樹の慟哭が部屋中に響き渡った。そして裕樹は僕を睨み鋭い口調で言った。


裕樹『凪‼︎お前が殺したんだ‼︎お前が茜を追い詰めたから茜は死んだんだ!お前は人殺しだ!』


ガコンッ!ガコンッ!と回りゆく中で裕樹は僕にそう言った。そして

ピピッ!キューーーンッ!ピシュン!

裕樹も茜と同じように息絶えた。

人殺し。その言葉が僕の胸をえぐった。


凪『っ、あ……!?』


胸が苦しい…頭が痛い。"まただ"。記憶にかかっていたボヤが消えていく。僕が忘れようとしていたものが鮮明に蘇っていく。


舞『凪君⁈』

翔『凪、しっかりしろ!』


みんなの声が薄らと聞こえる。そんな声が掻き消されるほどの頭痛。頭が割れそうだ。忘れていた記憶が、逃げ場を失った濁流のように押し寄せてくる…………………………さっきまでの頭痛が嘘のように止まった。


そうか、そうだった。

全ての記憶が戻った。

このゲームに参加した意味も

自分の存在も

忘れることのできていた記憶も

何もかもを思い出した。


凪『・・・・・』


舞『凪君‼︎大丈夫⁈』


心配そうにこちらを見つめる彼女に僕は反応した。


凪『あぁ…"俺"は大丈夫だよ』


俺はぎこちない笑顔で舞にそう答えた。

凪はいったい何を思い出したんだ。よかったらレビューやブックマークお願いします!

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