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第三話 記憶

僕たちは目を疑った。あの細くか弱そうな男の子がガタイのゴツい男のハンドルを捻り、殺したのだ。


舞『キャーーー!!』


観戦してるプレイヤー『う、うそだろあいつ…まじで殺しやがった!』


会場はめちゃくちゃだ。死骸を見て嘔吐する者、言葉を発せずただ立ちすくむ者、この場から逃げようと扉を叩く者…地獄絵面だ。


???『ちょっとちょっと!ダメだろ勝手に出ようとしたら。次やったらペナルティーだからね。』


プレイヤー『あぁ……あ、ぁ……』


ゲームをプレイしているプレイヤーは恐怖で震え上がっていた。

そこで細くか弱い男は喋り出す。


『よかったなお前ら!俺のおかげでお前らは手を汚さずにここをクリアできる。感謝状何枚あっても足りねーなこりゃ!』


狂っている。人を殺したんだぞ?なんであんなに笑いながら言えるんだ。


プレイヤー『お…おかしいよおまえ!』


細い男『・・・あ?じゃあお前どうやってここをクリアするつもりだったんだ?この後の誰かが殺してくれるって思ってたのか?あめぇーよ…あますぎるぜ!そんな他人任せの思考でこれからゲームに挑むのか⁈ほんならこの先どうせすぐ死ぬぜ。』


別のプレイヤーが喋り出す


他プレイヤー『すまん…感謝する。主の行動で目が覚めた。』


細い男『そうか!そりゃよかったな!ハッハッハ!』


そのまま彼らはゴールした。細い彼の行動に僕を含めた全プレイヤーは思い知らされた。このゲームは遊びなんかではなく本当に命がかかっているものだと。

彼のおかげで誰も殺す必要がなくなり、その後のグループは誰一人死ぬことなくゲームを終えられた。彼の行動は確かに狂気じみていたが彼のおかげで僕たちは生きている。

舞は僕の隣でうずくまっていた。体調がすぐれない様子だった。


凪『大丈夫?』


舞『大丈夫。心配ありがとう…』


青ざめた顔で僕に気をつかって笑って返してくれた。


???『第一ゲームクリアおめでとう。もっと削れるもんかと思ってたが…。しかし君は適応が早いね。みんなも見習わないとこの先すぐ死んじゃうよ?』


そうあいつが言うと次に繋がる扉が開き始める。


???『じゃあ第二ゲームに行こうか。次のゲームは"歓談"。まぁ簡単に言うと"仲良く交流しよう"ってゲームだ。』


交流するゲームだと?一体何の目的があるって言うんだ。


細い男『おい、だったら次はここにいる奴らと仲良くお喋りするだけってことかぁ?』


???『そうゆうことだね。次のゲームでは誰も死ぬ必要なんてない。もちろん僕らに殺されることもないよ。でもペナルティーは別問題だからね。』


完全に扉が開く。


???『僕が制限時間が来た時言うからそれまで自由に話して楽しんでね。説明終わり。じゃあ行ってらっしゃい。』


僕らは次のゲーム会場に向かった。部屋には飲み物や食べ物があり、休憩スペースなんかもあった。


凪『えぇっと、まずは自己紹介でもする?』


舞『そうだね。これから先みんなで協力しなきゃいけないゲームとかもあると思うし。』


細い男『さっきみたいに誰かを犠牲にしなきゃなんねーかも知れねーけどな!』


周囲がざわつく。


悠馬『おぉーわりぃわりぃ!別に馴れ合いを否定したわけじゃねーんだ。俺は宮谷悠馬みやたにゆうまだ。"ゆうちゃん"なんて呼んでくれて構わねーぜ』


凪『悠馬だね。僕は天宮凪って言います。』


舞『私は桜音舞です。よろしくお願いします。』


茜『えぇ!私以外の女の子いるじゃーん!』


茜が舞に抱きつく


茜『私は竹下茜たけしたあかね!よかったぁー私以外の女の子いて!女の子いないと思っててさっきまであのむさ苦しい男とずっと一緒にいたんだよぉー。』


裕樹『誰がむさ苦しい男だ。そもそもお前から絡んできたんだろうが。あぁ俺は裕樹ゆうきだ。よろしく』


茜『えぇー?そんな昔のこと覚えてなーい。』


裕樹『ついさっきの話だ!』


亮太『ちょいちょい。そんなんどうでもいいやんか。今は自己紹介が先や。俺は亮太。山下亮太やましたりょうたや。よろしゅう。』


崇人『俺は小島崇人こじまたかとだ。』


凪(この子さっきのゲーム中ずっと僕らを睨んでたな)


睦『竜崎睦りゅうざきあつし


翔『我は清谷翔きよたにしょうだ。よろしく頼む。』


順調に自己紹介が進んでいたように思えたがトラブルが発生する。


『俺はお前らと馴れ合うつもりはない。勝手にしろ』 『俺も』 『俺も』・・・


交流を拒否する者が現れ始めた。


凪『ちょ、ちょっと!協力するためにも交流は大事だよ!』


『だったらさっきのゲーム。お前は今喋った誰かを犠牲にしてクリアできんのか?』


凪『そ、それは…』


僕は何も言えなくなってしまった。彼の言うことは正しい。ここで仲良くなってしまえばこの先足元を掬われるかもしれない。そう考えているうちに6人ほど警戒するように距離を取りその場から離れていってしまった。その後残った9人で話をした。なぜここにいるのか。ここにくるまでについて覚えていないか。

しかし誰一人として覚えてないし知らなかった。それどころか自分の身元も分からない状態だった。


凪『おかしいよ。自分のこともわからないなんて。これってみんな記憶が消えてるってことなのかな?』


翔『間違いないだろうな』


亮太『あの声だけ聞こえるあいつがきっと俺らの記憶を消してここに連れてきたんやろ。』


裕樹『何のためにだよ。てかそもそもの話だ。16人の記憶を消してゲームに参加させるってのはとてもじゃないが難しくないか?』


悠馬『言われてみりゃーそうだな!』


舞『こういうのはどう?元々私たちはどこかの施設の子で、その施設で記憶を消されてこのゲームに参加させられた。みたいな?』


茜『舞ちゃん天才じゃん!』


崇人『つまり俺たちは元々知り合いだったってことか?』


舞『可能性としてはそうなるよね…』


凪『よし、これからは何か少しでも思い出したら共有するようにしよう。もしかしたら思い出せるかもしれないから。』


???『はいじゃあそこまで。どお?仲良くなれたかな?それじゃあ準備してね。次のゲームを始めるよ』

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