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「神子の余分」と言われましたが、中身は最強の神子でした ~入れ替わり召喚で捨てられた僕が、木の実と石で世界を浄化するまで~  作者: 朝山 みどり
第三章

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40 やっと見つけた フェルナンド目線

40 やっと見つけた フェルナンド目線



目の前に現れた馬車。この場所に不似合いな豪華さ。


その装飾、その護衛の配置。


見間違えるはずがない。


マーシャルだ。


「止まれ」


短く命じると、馬がいななく。


そのまま進路を塞ぐように割り込んだ。


中にいる。愛しい気配。確信があった。


理由などいらない。ただ、分かる。




「ローレンス、何をしている」


低く声を落とす。


怒りは抑えた。


だが、逃がすつもりはない。


「邪魔をしないでください」


すぐに返ってきた声は、いつも通り冷静だ。


その態度が、余計に腹立たしい。


「その中にいるのは、誰だ」


分かっていて聞く。


確認するためじゃない。


中に伝えるためだ。助けに来たことを。


わずかな沈黙。それから


「フェルナンド!」


中から声が響いた。


胸が、跳ねた。



間違いなかった。


やっと見つけた。


勝手にいなくなったあいつに、言いたいことは山ほどある。


だが、それより先に身体が動いていた。


扉を開ける。


押さえようとするマーシャルを振り切って、中から飛び出してきた。


そのまま、引き寄せた。逃がすものか。


腕の中に閉じ込める。


細くなっている。


軽くなっている。



「ルーク」


声が低くなる。


「勝手に、いなくなるな」


必死に気持ちを抑える。


苛立ちも、安堵も、怒りも。


自分に対して、ルークに対して、マーシャルに対して


すべてが混ざり、腕に力が入る。


逃げ場など与えない。


「ごめんなさい」


素直に謝るその声が、余計に腹立たしい。


謝るなら、最初から……


なぜ、逃げた。


なぜ? 何も残さずに……


問い詰めたい。


叱りつけたい。


だが。


腕の中の体が、わずかに震えているのを感じて、言葉が止まる。


そうだ。怖かったのだな。俺がいなくて。


マーシャルとローレンスが……




「フェルナンド、手を離せ。彼は我々と一緒に行く」


マーシャルが割り込んでくる。


「その者は、こちらが保護する」



保護?


ふざけるな。


「拉致の間違いだろう」


吐き捨てると空気が変わる。



人が集まり始めていた。


ちょうどいい。


ここで押し通せばいい。


「ギルド員に御用ですか?」


マスターが出てくる。



「今、瘴気対策について話していた」


「なに?瘴気?」とローレンスが反応する。


そのとき、腕の中のルークが声を上げた。


「フェルナンドがいてくれたらと思っていたんです。来てくれてよかった」


ルークの声をきっかけにギルドに戻った。


「前にいた所へ魔獣が押し寄せたことがあります。その時フェルナンドさんが冒険者をまとめて、指揮を執ってくれたんです。それで対処できました」


「あぁ、そこは俺の拠点だったから冒険者もまとまってくれたんだ」


「ルークが信頼している人なら、安心だ」


「そうだな、ルークだもんな」


「いや、それは、フェルナンドさんが」とルークが慌てている。




「まぁ最初に瘴気のことを説明する。この間、確認してもらった。その報告によると」


とギルドマスターが話の主導権を持った。



黒い網状の瘴気。


魔獣を強化する異常現象。


気配がないという厄介さ。


面白い。


そして、厄介だ。


「文献とは違うな」とマーシャル。


当然だ。


現物を見ていないやつの意見など価値はない。


「矢に浄化を付与して」


ローレンスが言いかけたところで、扉が開いた。


戻ってきた連中か。


「もう一か所あった」と報告が入る。


増えている。予想通りだ。


そして。


「ルークからもらった石を使いました」


その言葉で、思考が止まる。


石?


「投げつけると、瘴気が地面に縫い付けられた」


「さらに投げると消えました」


場がざわめく。


俺は、ルークを見る。


神子。


確信に近づく。


だからローレンスも動いた。


だから連中は、力づくで連れて行こうとした。


ならば、結論は一つだ。


渡すわけがない。


絶対に。


「なんと、石でもいいのか」とローレンスが立ち上がる。


遅い。


もう遅い。


お前たちに触れさせるつもりはない。


俺はルークの腰に回した腕に、わずかに力を込めた。


逃がさない。


もう二度と。


いつも読んでいただきありがとうございます!


誤字、脱字を教えていただくのもありがとうございます。

とても助かっております。

楽しんでいただけましたら、ブックマーク・★★★★★をよろしくお願いします。

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どうぞよろしくお願いいたします。



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