36 思惑
36 思惑
朝の空気はまだ少し冷たくて、吐く息がわずかに白く見えた。
ルークが森に来ている。
わたしは歩き出した。薬草採取をやりますって恰好をしている。
冒険者登録は、かなり昔にすませている。
薬草を採ろうと思ったから……
だけど、思ったよりきつかったのだ。
腰を痛いし、手は泥で汚れるし。
それに薬草の見分けが出来なかったのだ。
わたしはそのまま、まっすぐ歩いていった。
ルークは後ろから、こちらへ近づいている。
わたしは木のほうへ歩いた。
そして、根っこにつまづいて、転んだ。
ルークが近づいて来た。
「大丈夫ですか?」
「え?はい。大丈夫です」
健気に答えるが、顔はしかめて置く。
「ちょっと治療しますね」
「でも」
「大したことはしません……えっと痛みをとりますね」
足首がぽわんと暖かくなる。
「立てますか?」
「はい」
ルークにつかまって立ち上がる。
「大丈夫です。あっごめんなさい」
と言いながら、手を離す。
「いえ」
そのとき、ルークが森の奥のほうを見た。
「このまま後ろに下がってください。なにか来ます」
そう言いながら、ルークは身構えた。
その時、わたしにも唸り声が聞こえた。
なにか知らないけど猫の大きいのが二匹、走って来た。
っと前を走っていた猫がもんどりうって倒れて、後ろの猫も倒れた。
ルークが走って行って、首の後ろを刺した。ついで、その後ろのも首の後ろを刺した。
ルーク、強いじゃない。ぜったいに貰うわ。
「とりあえず、戻りましょう」
ルークは獲物をそのままにして帰ろうとする。
「いいんですか?」
「ええ、誰かがこちらに来ますから、頼みましょう」
え?
「おい、どうした、こんな所で」
「あぁ驚いた。こちらが怪我したので、一緒に戻る。これを頼む」
「あぁいいよ」
それからルークはわたしのほうを見ると
「歩けますか?」
「はい……そのつかまっていいですか?」
「はい」
わたしは、ルークの腕につかまって町に戻った。
物陰からの視線が心地よかった。
ルークは自宅まで送ってくれた。
お茶に誘ったけど、断られた。
「今度、お礼させてください」
「いえ」と断られたけど、逃さない。
最初より確実に距離は近づいている
わたしは、ちゃんと入り込めている。
メアリーみたいに、遠回りなんてしない。
正面からでも、取れる。
だってね。まだ、誰のものでもないんだから。
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