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「神子の余分」と言われましたが、中身は最強の神子でした ~入れ替わり召喚で捨てられた僕が、木の実と石で世界を浄化するまで~  作者: 朝山 みどり
第二章

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26 僕どうしたんだろう

 26 僕どうしたんだろう


 魔獣の襲撃は大変だったけれど、みんなで力を合わせて、なんとか切り抜けることができた。

 後片付けが終われば、またフェルナンドさんの護衛で薬草を取りに行く。そう思っていた。


 なのに、彼は忙しいらしく、どこかへ仕事で行ってしまった。


 出発前、少しだけ話す時間があった。

 けれど――


 僕は、ほとんど何も言えなかった。


「しばらく戻れない。悪いな、ルーク」とフェルナンドさんが言う。

「うん。気をつけて」と僕は答える。


 それだけだった。


 本当はもっと話したかった。

「いつ戻るのか」とか、「無理しないで」とか、

「僕は大丈夫だから」とか――

「寂しくなるね」とか。


 言いたいことはいくつもあったのに、喉が固まって、何ひとつ出てこなかった。


 フェルナンドさんが笑って「すぐ戻る」と言ったとき、

 胸の奥がぎゅっと痛んだのに。


 背を向けて歩き出したその瞬間、呼び止めたくてたまらなかった。


 でも、できなかった。


 その後悔が、今も胸に残っている。

 あの姿が見えなくなった瞬間から、ずっと。


 ◆◇◆◇◆◇◆


 だからなのか、今日はハロルドたちと一緒に狩りに出てみた。


 最近、魔法士のローレンスが加わって、かなり強くなっているパーティだ。


「お、ルーク。久しぶりだな」


 声をかけられて、僕は少しだけ肩をすくめる。

 明るい声。でも、目は僕の様子を探っている。


「ここで会えて良かった。明日、一緒に狩りに行かないか?ローレンスがいないんだ。来てくれたら助かる」


 どうしよう。


「僕は……薬草を取りたいから……」


 そう答えると、ハロルドさんはすぐにうなずいた。


「もちろん、それでいいさ。薬草は大事だって、俺たちもわかってきたところだしな。たまには一緒に行こう。気分転換にもなる」


 その言葉のあと、ほんの一瞬だけ、仲間同士で視線が交わされる。


 押しすぎるな

 でも来てほしい


 そんな空気が、なんとなく伝わってくる。


 僕は少し迷ってから、口を開いた。


「そうですね。行きましょう」


 その言葉に自分で驚いた。フェルナンドがいない寂しさがいわせた言葉だと自分でわかるのにも戸惑う。


 だって、あの人はしつこくて強引で僕の平穏を……


 僕が行くと言った瞬間、ハロルドの顔がぱっと明るくなった。


「よし、決まりだ。じゃあ明日よろしくな」


「うん、よろしく」


 パーティの他のメンバーも


「やった! 本当に良かった! ね、ミリー」

「うんうん!」


 そのあと、別の声が混ざる。


「なんだなんだ、そんなに騒いで。美人がはしゃいでるのはいいもんだな」


 ケビンだ。


「聞いてよケビン! 明日ルークと狩りに行くの!」


 その言葉に、少しだけ空気が揺れた気がした。


「珍しいな。ルークが一緒に行くなんて。本当なのか?」


「うん、一緒に行くのよ」


「そっか。そうなのか」


 僕にはケビンの声がフェルナンドの声に聞こえた。





いつも読んでいただきありがとうございます!


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