武器をつくろう ~螺旋王牙槍…爆誕!~
あれから何度かローガンの工房を訪ね、ゼンイチは彼と何度も打ち合わせを重ねた。
「水蒸気爆発の力を使うなら、突きに特化させたほうがいいな」とローガンは言った。「お前、斬るの下手だしな。それに──アイスドラゴンの牙で刀なんか造ったら、もう他の刀の切れ味じゃ満足できなくなるぞ」
「……じゃあ、長い針みたいなものですか?」
そう尋ねたゼンイチに、ローガンは口の端を吊り上げると、工房の奥から一本の奇妙なナイフを取り出した。螺旋状の刃を持つ、見たこともない形だった。
「これはな、昔、斥候の間で流行った“螺旋刺突剣”ってやつだ。中に毒を仕込んであってな。非力な斥候でも一突きで魔物を仕留められるってんで、一時期は重宝された。……だが、毒が回ったモンスターは素材の価値が下がる。だから今じゃ使うやつもいなくなったがな」
ローガンはその刃を陽にかざし、にやりと笑った。
「これを応用すれば、面白いもんが創れそうだと思わないか?」
「……良い!」
ゼンイチは、素直な声で感嘆を漏らした。
それから二人は、試行錯誤の日々に入った。
水蒸気爆発の負荷に耐えるため、内部構造にはオリハルコンを採用。刺突部には軽くて強靭なミスリルを選び、握りには魔力導電性が良く、柔軟にしなるフォレストサーペントの鱗を筒状に加工して巻きつけた。
完成したそれは、槍と短剣の性質を併せ持つ、独特な形状となった。
蒸気発生の機構も工夫された。
鍔の中央に空気中の水分を集める吸気穴を設け、一定の内圧がかかると自動で蓋が閉じる。内部に圧縮された蒸気は、刃の側面の穴から一気に噴出し、その圧力によって螺旋の刃が凄まじい速度で回転するのだ。また、鍔の内部で魔法を発動させるために、排水管のパッキンと同様、持ち手の鱗の一部を加圧部分に届くよう設計した。
ただ一つ、改善できなかったのは熱問題だった。
蒸気魔法を長時間発動し続けると、蒸気と回転による摩擦で持ち手部分が高温になり、握っていられなくなる。そのため、魔法の使用は標的に刺さった瞬間だけ使用することにした。
さらに、握りには伸縮機能を持たせ、収納時はレイピア程度の長さに収まるようになっている。
「よし、名前をつけよう」
ゼンイチは完成した武器を手に取り、真剣な表情で言った。
「…………ドリル剣!」
「……おいおい、センスねぇな。そうだな……『螺旋王牙槍』ってのはどうだ? 力強くて、いかにも伝説になりそうな名前だろ?」
「覚えにくいから却下!」
ゼンイチは即座に手を振った。
こうして、「ドリル剣(仮称)」は誕生した。
世界にひとつだけの、蒸気と魔力を融合させた螺旋の突撃武器──
それはやがて、多くの人々に語り継がれることになる。
武器の完成を見届けると、ローガンは作業台に肘をつきながら言った。
「アイスドラゴンの牙は、もう少し待ってくれ。素材の入手に、ちょっと手こずってる」
「うん、待ってます。今回は本当にありがとう、ローガンさん」
丁寧に頭を下げ、ゼンイチは工房をあとにした。
春の風が、武器に込められた熱を、ほんの少しだけ冷ましていくかのようだった。かのようだった。
ドリル剣!爆誕!槍なのに間違って剣って書いてました。でもドリル剣の方が良い安いのでそのまま行きますw
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