武器をつくろう ~冒険者ギルドでの聞き込み2~
カウンター横にある商談エリアに移動して、さっそく本題に入った。
「どんな武器が良いか悩んでまして。そこで、武器について教えて欲しいんです。冒険者の装備って、やっぱりモンスター相手を前提にしてるんですよね?」
ゲイルは頷きながら、椅子の背にもたれた。
「おう。軍人や騎士、それに城の警備隊なんかとは毛色が違うな。冒険者は基本、森や遺跡でモンスター相手に立ち回るのが仕事だ」
そう前置きしたゲイルは、指を折りながら冒険者たちの戦い方を教えてくれた。
「前衛に多いのは戦士タイプだな。大剣や斧を好んで使う奴が多い。盾は、でかいモンスター相手だと邪魔になることが多くてな。むしろでっかい武器で一撃入れながら、モンスターの攻撃をいなすってスタイルが主流だ」
「盾が使いにくいってのは意外ですね」
「ああ、素早く動ける方が重要だからな。それに対して、剣士はちょっと違う。遊撃って感じで、前線のサポートに回る奴が多い。刀やレイピアを使って、隙を突く戦い方だ」
「じゃあ、斥候は?」
「基本、戦わねぇ。索敵とか情報収集とかが主な仕事だ。武器はナイフ1本だけってのも珍しくない。軽くて静かに動けるのが一番だからな」
確かに、日本の自衛隊やレスキュー部隊でも、役割ごとに装備が全然違っていた。冒険者も似たようなもんか。
「後衛は? やっぱり魔法?」
「魔法使いもいれば、弓を使う奴もいるし、魔道具で戦う奴もいるな。後衛は支援と火力、両方こなす必要がある」
説明を終えたゲイルは、ふと眉を上げて俺を見た。
「で? 兄ちゃん、まさか冒険者にでもなるつもりか?」
俺は苦笑して、首を横に振った。
「いや、冒険者になる予定はないんですよ。ただ、いずれは他の町にも行ってみたいですし……道中、野党とかモンスターに襲われたときの備えが欲しくて」
「なるほどな。旅が前提ってんなら、そうだな……刀がバランスいいかもな。長さもあるし、納めりゃコンパクト。攻守ともに優れてる」
「刀、ですか。確かに扱いやすそうです」
「あと、ソードブレイカーもひとつあると便利だな」
「ソードブレイカーって……なんですか?」
ゲイルはにやりと笑い、立ち上がると倉庫の奥から一本のナイフを持ってきた。それは片刃のナイフで、背の部分には独特な切れ込みがいくつも入っている。
「これだ。見た目はナイフだが、守りに使える。ここの切れ込みでな、相手の刃を受けて、挟んで止める。剣士なんかは、野党相手に左手にこいつ、右手に刀って二刀流で戦ったりする」
俺はその独特な形状の武器を手に取り、しげしげと眺めた。
「なるほど、これは確かに便利そうですね……じゃあ、その二つにしようかな。刀と、ソードブレイカー」
ゲイルはうなずいた後、少しだけ肩をすくめて言った。
「だったら普通に武器屋で買った方が早いんじゃねぇか?」
「いや……せっかくなら、自分の魔法と組み合わせて使える武器を考えたいんです。オリジナル武器って、やっぱりロマンあるじゃないですか」
俺がそう言うと、ゲイルは肩をすくめて、少し呆れたように笑った。
「まぁな。でも、俺が相談に乗れるのは魔物の素材や鉱石の調達くらいだぜ? 設計までは知らんぞ」
「大丈夫です。そのへんは自分で考えてみます。また明日、アイデアがまとまったら来ますね」
「おう、待ってるぜ。面白いもん、考えとけよ!」
俺はゲイルに軽く手を振って、ギルドを後にした。頭の中ではすでに、武器の構造と魔法の連携をどうするかで思考がぐるぐると回り始めていた。
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