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『奥州から始める伊達政宗との天下統一 〜未来人の俺、独眼竜の無茶振りに今日も振り回されています〜』  作者: 藤原朝臣御神常陸介釋寛浩


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第69話 米蔵の床下から、伊達家の印がついた大量の武器が出てきました

『天下を取る前に、独眼竜を殺せ』


俺は。


壁の文字を。


もう一度読んだ。


読んでも。


やっぱり。


同じだった。


当たり前だけど。


「……これ」


俺は。


新八さんが持っている槍を見る。


柄。


伊達家の印。


間違いない。


少なくとも。


俺には。


そう見える。


「本当に伊達家の武器なんですか」


新八さんが。


俺を見る。


「印がある」


「だから聞いてるんです」


「何?」


「印があるから、本物なんですか」


新八さんが。


少し黙った。


小十郎さんが。


静かに。


俺を見る。


「続けてください」


「だって」


俺は。


槍を指差す。


「印なんて真似できるかもしれないでしょう」


「容易ではありません」


「でも不可能じゃない」


「ええ」


「盗んだ武器かもしれない」


「その可能性もあります」


「本当に伊達家の誰かが横流しした可能性もある」


「あります」


「じゃあ」


俺は。


息を吐く。


「今の段階じゃ、何も分からない」


新八さんが。


少し。


面倒そうな顔をした。


「昔のお前なら」


「はい」


「伊達家の印だ! 裏切り者だ! って騒いでいたな」


「そこまで馬鹿でした?」


紬が。


即答した。


「うん」


「聞いてない!」


楓が。


少し笑う。


俺は。


何か。


最近。


身内からの扱いが。


どんどん雑になってる気がする。


でも。


まあ。


否定し切れない。


昔の俺なら。


たぶん。


印。


裏切り。


内通者。


大変だ。


政宗様に知らせないと。


そんな感じだった。


「印は」


小十郎さんが。


槍を受け取る。


焼き印。


じっと見る。


「証拠になることもあります」


「はい」


「ですが」


俺は。


思わず。


「出た」


と言った。


小十郎さんが。


「何がです」


と聞く。


「ですが、の後に大体大事なこと言うので」


「……」


「続けてください」


小十郎さんが。


ほんの少し。


笑った。


「ですが」


やっぱり。


「印は、相手を疑わせるための道具にもなります」


俺は。


頷いた。


「ですよね」


「伊達家の者を疑わせたいなら」


槍を見る。


「伊達家の印をつければよい」


「そんな単純な」


新八さんが言う。


俺は。


壁を指差した。


「でも、こっちはもっと単純ですよ」


全員。


見る。


『天下を取る前に、独眼竜を殺せ』


あまりにも。


分かりやすい。


     ◇


「これ」


紬が言った。


壁の文字へ。


近づく。


「わざと見つけさせたんじゃない?」


俺は。


見る。


「何で」


「だって」


紬が。


文字を指でなぞる。


「本当に隠したいなら、こんなこと書く?」


俺は。


黙った。


確かに。


「武器を隠して」


紬が続ける。


「見つかったら困る」


「はい」


「政宗様を殺したいことも隠したい」


「はい」


「なら何で」


壁を見る。


「私は政宗を殺したいですって書くの」


俺は。


「犯行声明?」


と呟いた。


「何それ」


「未来の言葉です」


「分からない」


「ですよね」


新八さんが。


壁の文字を見る。


「誰かに罪を着せたい」


「かもしれません」


小十郎さん。


「あるいは」


言う。


「我々に特定の方向を向かせたい」


俺は。


少し。


嫌な感じがした。


「例えば?」


「伊達家内部の裏切りを疑わせる」


「……」


「その間に、本当の目的を隠す」


嫌だ。


最近。


そればっかり。


一つ見せる。


本当は。


別にある。


人間。


何で。


そんなに。


回りくどい。


「紬」


俺は。


横を見る。


「よく気づきましたね」


紬が。


少し。


嫌そうな顔をした。


「そういうのばっかりだったから」


俺は。


何も言えなかった。


人買い。


志乃。


古堂。


手紙。


偽物の庄蔵。


罠。


全部。


分かりやすい言葉の裏に。


別の目的。


「褒めたつもりだったんですけど」


俺が言う。


「嬉しくない」


「ですよね」


でも。


たぶん。


紬は。


強くなった。


いや。


違う。


最初から。


強かった。


ただ。


その強さが。


逃げるためだけじゃなく。


誰かを守るためにも。


使えるようになった。


そう思う。


言わないけど。


言ったら。


たぶん。


「気持ち悪い」


って言われる。


     ◇


「数えます」


俺は言った。


新八さんが。


「武器を?」


「はい」


「何のために」


「何人分あるか知りたい」


結局。


数えた。


槍。


刀。


弓。


火縄銃。


火薬。


全部。


多い。


思っていたより。


ずっと。


「三百」


小十郎さんが言う。


「少なくとも、三百人ほどは武装できます」


俺は。


息を吐いた。


三百人。


戦国時代で。


どれくらい。


大きいのか。


俺には。


正確には分からない。


でも。


村人の喧嘩ではない。


「兵が三百人」


俺は。


考える。


「でも」


「何です」


小十郎さんが。


俺を見る。


「飯は?」


沈黙。


「武器だけじゃ戦えないでしょう」


新八さんが。


「当然だ」


と答える。


「三百人が」


俺は。


指を折る。


「一日食べる」


「……」


「数日動く」


「……」


「馬がいるなら馬も食べる」


「……」


「武器だけじゃ無理ですよね」


小十郎さんの目が。


細くなる。


「誰かが」


俺は。


蔵を見る。


「別の場所で兵糧も集めている」


新八さんが。


低く言った。


「そうなる」


俺は。


ため息。


出た。


兵糧三倍。


話。


戻った。


戻ったけど。


嫌な戻り方。


「米が消えてる村」


俺が言う。


「さっきまで調べてたところ」


小十郎さんが。


俺を見る。


「地図を」


     ◇


村。


蔵。


道。


山。


地図。


広げる。


米が。


帳簿から消えている村。


印。


武器があった蔵。


印。


次。


印。


俺は。


最初。


分からなかった。


でも。


楓が。


言った。


「並んでる」


俺は。


見る。


「え」


楓が。


指で。


地図をなぞる。


「ここ」


一つ。


「ここ」


二つ。


「ここ」


三つ。


一直線。


きれいに。


「何で」


俺は。


地図へ顔を近づける。


紬が。


「近い」


と呟く。


「何が」


小十郎さんの顔が。


変わった。


「峠です」


「峠?」


「三日後」


俺の背中が。


冷えた。


小十郎さんが。


政宗の予定を。


言う。


「殿が視察へ向かわれる」


新八さんが。


すぐに。


「中止だ」


と言った。


「そうですね」


俺も。


即答。


こんな。


分かりやすく。


罠の可能性。


行くわけない。


普通なら。


行かない。


でも。


俺たちは。


顔を見合わせた。


「……行きますね」


俺が言う。


小十郎さんが。


「行かれるでしょう」


新八さんが。


「行くな」


と言った。


誰に。


本人。


いない。


でも。


言いたくなる。


     ◇


城へ戻った。


政宗に。


全部話した。


武器。


印。


壁の文字。


消えた米。


一直線。


峠。


政宗は。


最後まで。


静かに聞いた。


それから。


言った。


「行く」


俺は。


「何で!」


と叫んだ。


予想。


してた。


でも。


叫ぶ。


「罠ですよ!」


「知っておる」


「知ってるなら行くな!」


「来ると知っているなら」


政宗が。


少し笑う。


「こちらも待てる」


「罠に罠で返すな!」


「面白いではないか」


「面白くない!」


新八さんが。


腕を組む。


「殿」


「何だ」


「やめてください」


珍しく。


直球。


政宗が。


少し笑った。


「嫌だ」


「子供ですか!」


俺が。


思わず言った。


政宗。


俺を見る。


「拓真」


「はい」


「お前ならどうする」


嫌な質問。


俺は。


考える。


本物の政宗が。


行く。


危険。


なら。


偽物。


いや。


別の隊。


囮。


俺が。


口を開きかける。


新八さんが。


俺を指差した。


「お前は黙れ」


「まだ何も言ってない!」


「どうせ自分が囮になると言う」


「言ってません!」


紬が。


「顔に書いてある」


と追撃。


「何でみんな俺の顔読めるんです!」


楓まで。


「分かりやすいから」


「楓まで!?」


傷つく。


本当に。


でも。


否定できない。


俺。


一瞬。


思った。


自分が。


政宗の代わりに。


あの。


いや。


似てない。


無理。


身長。


雰囲気。


全部。


違う。


そもそも。


眼帯すればいいってものじゃない。


「では」


小十郎さんが。


言った。


「本物と偽物」


俺は。


見る。


「二つの視察隊を用意します」


政宗が。


笑った。


「面白い」


「だから何でも面白がるな!」


でも。


決まった。


本物の政宗。


別路。


偽の視察隊。


表の道。


敵が。


どちらへ来るか。


見る。


少なくとも。


そういうはずだった。


     ◇


翌朝。


まだ。


出発前。


俺は。


寝起き。


最悪。


紬に。


起こされた。


「拓真」


「あと五分」


「何それ」


「未来の習慣です」


「知らない」


「便利な言葉!」


でも。


紬。


いつもと。


違う顔。


「何です」


「人が来てる」


「誰」


「新八」


嫌な予感。


急いで。


出る。


新八さん。


血。


袖。


汚れている。


俺は。


一気に。


目が覚めた。


「何があったんです」


「偽の視察隊が襲われた」


俺は。


止まった。


「まだ出発前ですよね」


「ああ」


「何で」


「待ち伏せされていた」


「どこで」


「城を出てすぐだ」


胸。


冷たい。


計画。


昨夜。


決めた。


知っている者。


少ない。


なのに。


敵は。


先に。


動いた。


「城内に」


俺が言う。


「内通者がいる」


新八さんが。


何も言わない。


それが。


答え。


「死者は」


聞くの。


怖い。


でも。


聞く。


「二人」


俺は。


目を閉じた。


また。


誰かが。


死ぬ。


計画。


囮。


言葉では。


簡単。


でも。


本当に。


死ぬ。


その時。


新八さんが。


懐から。


紙を出した。


「倒れた兵の一人が持っていた」


受け取る。


紙。


文字。


俺は。


見た瞬間。


息を止めた。


日本語。


現代の。


見慣れた。


文字。


そこには。


一行。


――今度は、政宗を守れる?


俺は。


何も言えなかった。


紬が。


横から。


紙を見る。


「読める?」


「はい」


「何て」


俺は。


答える。


声。


うまく出ない。


「今度は」


一度。


息を吸う。


「政宗を守れる?」


紬の顔が。


変わった。


新八さん。


低い声。


「美月か」


俺は。


首を振った。


「分かりません」


田中美月。


別の未来人。


一人目の俺。


二人目。


誰か。


でも。


一つだけ。


分かる。


誰かが。


まだ。


俺たちを。


見ている。


未来から。


あるいは。


過去から。


そして。


その誰かは。


政宗が。


一度。


死んだことを。


知っている。


俺は。


紙を握った。


強く。


その時。


紙の裏に。


もう一行あることに。


気づいた。


裏返す。


読む。


心臓が。


止まりそうになった。


――次に死ぬのは、小十郎。


俺は。


顔を上げた。


小十郎さんは。


今。


政宗と一緒にいる。


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