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14.bet

 嘘と偽りが蔓延(はびこ)る、運と知恵だけが自身の力となる場所。

 それがカジノだ。

 僕たちはそんなカジノに仕事として来ていた。内容はアダマスが管轄のカジノで不正が行われているという噂の調査。

 そんなこと僕たちがやることかと言われたら、別に僕たちしかやれない仕事ではないが、簡単に言うと人手がいないのだ。

 僕がテーブルを回っていると、ブラックジャックをしているセラサイトを見つけた。本来セラサイトは未成年のためカジノに入ることすら出来ないが、流石会社といったところか、しっかりと入れるよう手配された。


「オールインで」


 僕がブラックジャックのテーブルを見ていると、セラサイトがそう言ってチップを全て差し出した。流石に負けるんじゃないかとヒヤヒヤしていると、見事彼女は21つまりブラックジャックを引き当て、1人勝ちしていた。

 ぼーっと見ている僕に気が付いたのか、セラサイトが僕に手招きをした。


「どうしたの?」

「貴方も何か遊んで頂かないと、色々と調査出来ないじゃないですか。これを差し上げるので、いくつか遊んできてください」


 そう言ってセラサイトは持っていたチップの3分の1を僕に持たせた。それだけでもかなりの量があり、僕の両手がチップで埋まってしまった。

 セラサイトも別のテーブルに移動するようだった。


(どれにしよう)


 僕がカジノ中を見渡していると、1つのテーブルが目に付いた。ルーレットのようだ。

 さっそく僕はテーブルに移動し、戦況を確認する。1人の男性が何度も勝っているようだ。

 このゲームは運要素が強いが、不正も簡単だ。1人の人間が何度も勝ち続けるのはおかしい気がする。

 僕は確認の意味も込めて、少ないチップを黒に賭けた。男性は僕のチップを見て、赤に賭けたようだった。

 回るルーレットに玉が入れられる。

 結果は、赤だった。

 まだ不正かどうか分からない。そう思い僕は今度はローナンバーに賭けた。男性はハイナンバーに賭ける。

 結果は、35。また負けた。

 もしかすると、本当にこのテーブルは不正を行っているかもしれない。そう思い、僕はセラサイトを探した。彼女はあっさり見つかり、ポーカーのテーブルにいた。

 僕は急いでチップを持ち彼女の隣に駆け寄り、先程起きたことを話そうとした。すると──。


「ロイヤルストレートフラッシュです」


 セラサイトがそう言ってテーブルにトランプを広げる。そのカードはスペードの10からAまでが揃っていた。そして彼女はそのテーブルに置いてあった全てのチップを受け取っていた。

 セラサイトが僕に気付く。


「どうかしましたか?」

「あの、ルーレットのテーブル。何かおかしい気がするんだ。まだ2回しか遊んでないけど、でも何故か嫌な予感がする」

「なるほど」


 セラサイトはそう言うと、ルーレットのテーブルに行く。その時にはもう男性は居なくなっていた。

 彼女は高価なチップを1つずつ赤以外の全てに賭けた。その結果は黒の26。

 次に彼女はオッド以外の全てにチップを1つずつ賭ける。結果は赤の30。

 それからも1つずつそれも1か所だけを開けてセラサイトは賭け続けたが、結果はまずまずといったところだった。顎に手を当て、考えていたセラサイトだったが、ふとチップを1つ取り出すと赤の1に賭けた。

 結果は、勝った。

 まさか、これまで負けていたのは全て偶然で、不正なんてしていなかったのだろうか。僕はその瞬間冷や汗を背中に感じた。

 間違えた。かもしれない。

 そんな思いと、セラサイトに迷惑をかけてしまったという罪悪感から僕は俯いてしまった。


「大丈夫ですよ。合っていますから」


 セラサイトがそう僕に聞こえるよう呟いた。

 僕が驚いてセラサイトの方を見ると、彼女は全てを見透かすような視線でテーブルのルーレットを見ていた。

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