15.新たな力
「どういうこと?」
そう僕が尋ねるとセラサイトは、チップを持ちルーレットのテーブルを離れた。そして、カジノの隅まで行くと僕に手招きをした。
「私はあのテーブルに賭けて13回目で勝ちました」
「それがどうかしたの?」
「13という数字はとある国では裏切りの数字と言われています。それと関係があるかは分かりませんが、あのテーブルには何か細工がされていそうです。ルーレットの回り方もおかしかったですし」
セラサイトはそう言うと、僕にチップ全て押し付けてきた。
僕が驚いてそのチップを返そうとすると、セラサイトは僕の耳元でボソボソと呟いた。
「貴方の『運』を試す時ですよ」
僕はあまり意味が分からなかったが、もう一度やってこいという意図は汲み取れたので、もう一度ルーレットのテーブルへと向かう。
そして、5にベットする。しかし、結果は8。
その後も何度かベットするが、全てハズレ。そして13回目で勝った。確かにセラサイトの言う通り、このルーレットは周期があるようだ。
それに気が付いた時、僕のポケットが熱くなるのを感じた。そこには僕のキセキである翡翠が入っている。
慌てて取り出して見ると、翡翠であったはずのそれは何故かコインに変わっていた。コインの面には何も書かれていない。
その時僕は無性にそのコインを投げたくなり、コインを上に投げた。そして手の甲でキャッチする。手をのけた時、コインの面にはある数字が浮かんでいるような気がした。
「オールイン」
僕はチップを全て、ある数字にオールインした。
結果は──。
「勝った……?」
13回目でもないのに勝った。何故かディーラーも驚いている。コインに書かれた数字、そこに賭けた瞬間勝った。
(これが、僕のキセキの力?)
次の瞬間、セラサイトが僕の肩を叩く。そして微笑み、軽く頷く。
「よくやりました。キセキの力も解放出来たようですし、今日は上々ですね」
そう言うとセラサイトはスタッフを呼び、ルーレットのテーブルにいたディーラーを連れていかせた。
その後、ルーレットのテーブルを調べていると、不正の証拠も出てきた。話によるとあのディーラーが、自身の知り合いである男性にだけ勝てるように仕向けていたらしい。
ディーラーだけでなく、あのテーブルにいた男性も取り押さえられ、この一件は幕を閉じた。
この一件で分かった僕のキセキの力。それは──。
『自身の運を極限まで上げることが出来る』
つまりは、何事にも絶対に勝つことが出来るようになるということだ。
セラサイトのキセキの力である『絶対に安全な空間を造る』に比べると見劣りする力かもしれないが、僕には案外合っているかもしれないと思った。
僕の人より少しだけ運がいいという体質と、僕のキセキの力はある意味、相乗効果を発揮する。
「その力があれば、今後役に立つかもしれませんね」
セラサイトもそう言ってくれた。それと同時に。
「私の『最適解』にも運は必要不可欠ですし…」
というよく分からないことも言っていたが、それも後々セラサイトが教えてくれるだろう。
まだまだ大変な壁も多いけれど、新しく手に入れた力で僕はどんな問題でも突き進んでいけるような気がする。
夕陽が沈む様子を本社に戻った僕は眺めながら、そう思うのだった。




