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『織田信長、異世界へ 〜本能寺から始まる第六天魔王の天下布武アクション〜』  作者: 明太パスタ


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うつけと呼ぶなら、相応の覚悟をせよ

大議事堂の前で大貴族バルド侯爵を『覇気』だけで卒倒させた一件は、すぐさま白亜の王城へと伝わり、上層部を激怒させた。

当然、彼らが引き下がるはずもない。


「総員、構えっ! 不届き者を包囲せよ!」


大議事堂から王城へと続く大通り。ジャラジャラと洗練された白銀の甲冑を鳴らし、私たちの行く手を完全に塞いだ一団があった。

グラン帝国が誇る最高戦力――『帝国聖騎士団』の精鋭五十名。

その先頭に立つのは、燃えるような赤い髪をした若き天才、聖騎士団長レオンであった。その手に握られた大剣には、まばゆいほどの聖なる魔力が収束している。


「異端の徒、織田信長。貴族を害し、王都の秩序を乱した罪、万死に値する。大人しく捕縛されよ」

レオンの鋭い声が響く。周囲の聖騎士たちも一斉に抜き放った剣に魔法の光を纏わせた。


「信長様、彼らはオークとは違います! 帝国最強の魔法剣士たちです!」

後ろでリリアが悲痛な声を上げる。


「最強、か。笑わせるな」


私は歩みを止めず、腰の「長谷部国重」の柄にゆっくりと手をかけた。

この世界の人間の戦士がどれほどのものか、一度肌で確かめておくのも悪くはない。


「リリア、ガルド。手出しは無用だ。……おい、赤い髪のうつけよ。その綺麗な玩具(魔法剣)で、オレの首が跳ねられるか試してみるが良い」


「不遜な……! 後悔をその身に刻め!」


レオンが地を蹴った。瞬時に間合いを詰め、魔力を爆発させた大剣を上段から一気に振り下ろしてくる。

ドガァン!と風が爆ぜるような一撃。


だが、私の姿はすでにそこにはない。

力任せの魔法の踏み込みなど、私から見れば軌道が丸分かりだ。私は半歩だけ身を翻して大剣をかわすと、すれ違いざまに長谷部国重を鋭く一閃させた。


キィィン!と甲高い金属音が響く。

レオンは驚異的な反応速度で私の斬撃を受け止めたが、その顔は驚愕に染まっていた。


「なっ……魔力を纏っていないただの鉄剣で、私の魔法剣を受け流しただと……!?」


技術わざに頼り、魔力に溺れるから刃が軽くなるのだ。戦場いくさばの剣とは、こう振るうものよ!」


私は刀を引き絞り、流れるような連続突きをレオンの甲冑の「継ぎ目」へと繰り出した。

魔法で強化された強固な装甲も、首筋、脇の下、関節の隙間を狙われれば意味を成さない。


「くっ、速い……! どんな魔法を使っている!?」

レオンは必死に大剣を盾にして防ぐが、私の放つ無駄のない「実戦の剣術」に、じりじりと後退を余儀なくされる。私は魔法など一滴も使っていない。ただ、生と死の境界線で数千数万の刀槍を見て、磨き上げてきた肉体の技術そのものだ。


「総員、突撃! 団長を援護しろ!」

痺れを切らした周囲の聖騎士たちが、一斉に私へと斬りかかってくる。


「数で囲めば勝てると思うたか!」


私はニヤリと笑うと、刀をあえて下段に構え、押し寄せる聖騎士たちの足を狙って地を這うような回転斬りを放った。

ガキィィン!と、魔法の防壁が張られていない剥き出しの具足を正確に破壊する。


「ぎゃあぁっ!?」

「ひざが……折れた……っ!?」


三人の聖騎士が悲鳴を上げて崩れ落ちる。私はその隙を見逃さず、倒れた彼らの剣を奪い取ると、後方から迫る別の騎士たちへ向けて全力で投げつけた。

剛速球で放たれた剣が、騎士たちの兜を直撃し、さらに数人を昏倒させる。


戦場にあるものはすべて武器。綺麗で高尚な騎士の決闘ではない、これが織田信長の「殺し合い」の現実だ。


「これで終わりだ、織田信長ぁ!」


背後から、レオンが全身の魔力を限界まで解放し、巨大な炎の刃を形成して飛び込んできた。避ければ背後のリリアたちに当たる直線的な一撃。


「ならば、正面からへし折ってやるわ」


私は懐から、あの青い稲妻を帯びた火縄銃を抜き放ち、眼前の炎の刃に向けて迷いなく引き金を引いた。


ズドォォォォン!!!


轟音と共に放たれた魔導の弾丸は、レオンの放った炎の刃を正面から粉砕し、その圧倒的な衝撃波でレオンの白銀の甲冑をバキバキにひび割れさせた。


「がはっ……!?」

レオンはたまらず大剣を弾き飛ばされ、大通りの石畳をゴロゴロと転がって仰向けに倒れ伏した。


わずか数分。

帝国最強と謳われた聖騎士団の半分が地面に転がり、団長は武器を失って息を切らせている。


私は煙を吹く銃口を下げ、ゆっくりと歩み寄ってレオンの首筋に長谷部国重の切っ先を突きつけた。


「うつけめ。貴様らの魔法とやらは、平和な城の中で踊るための芸事か? 本物のいくさを、オレがこれから教えてやる」


圧倒的な敗北感を前に、レオンはただただ驚愕と畏怖の目で私を見上げるしかなかった。


「……殺せ」

絞り出すようなレオンの言葉に、私はフッと刀を引いて鞘に収めた。


「殺さぬ。貴様ほどの腕があれば、オレの足軽大将くらいには使ってやる。良いか、これよりこの国の仕組みはオレが書き換える。新しい時代(天下布武)に、その命を捧げよ」


王都の誰もが、この規格外の「魔王」の出現に息を呑んでいた。

武力で帝国をひざまずかせた私は、次なる一手――国を内側から支配する「経済の戦い」へと手を伸ばすのだった。

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