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『織田信長、異世界へ 〜本能寺から始まる第六天魔王の天下布武アクション〜』  作者: 明太パスタ


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三千世界、異世界でも三段撃ちよ

ドワーフのガルドによる職人技と、エルフの乙女たちによる魔力付与、そして私の授けた分業体制。それらが噛み合い、エルフの里の鍛冶場は不眠不休で稼働を続けた。

結果、わずか数日の間に、百丁もの『魔導火縄銃』が完成し、私の前に並べられていた。


「信長殿、本当にこんな鉄の筒で、押し寄せる大軍に勝てるのかい……?」

リリアが不安そうに、新造された銃を抱えて私を見る。

森の境界線からは、地鳴りのような足音が響いていた。先日の敗北に怒り狂ったオークの群れが、周辺の眷属を巻き込み、およそ五百という圧倒的な大軍勢となって里へと進軍してきたのだ。

対するこちらは、急造されたエルフの銃兵が百名のみ。


「リリア、そしてエルフの兵たちよ。よお聞け」


私は愛用の羽織をはためかせ、不敵な笑みを浮かべて銃兵たちの前に立った。


「戦とは勢いではない。数と、仕組みと、間合いよ。オレの合図があるまで、一歩も動くな。敵を極限まで引き付けよ」


私は百名の兵を、三十数名ずつの『三列の横隊』に配置した。異世界の戦術にない、あまりに薄い陣形にエルフたちは生唾を呑む。


「グルアァァァァッ!!」


巨木をなぎ倒し、五百頭のオークが地響きを立てて突撃してくる。その突進力は、まともに激突すれば一瞬で木々の里を更地にするほどの破壊力だ。

三百歩、二百歩、百歩……。距離が急速に縮まる。恐怖で引き金を引きそうになるエルフの兵たちを、私の鋭い眼光が制した。


「まだだ。引き付けよ……。敵の醜悪な顔のシワが、はっきりと見えるまで待て」


そして、オークの先頭がわずか五十歩の距離にまで迫った、その瞬間。

私は腰の「長谷部国重」を激しく引き抜き、天空へと掲げた。


「放てっ!!」


ズドォォォォン!!!


最前列の三十名が一斉に引き金を引いた。

エルフの魔力を吸い上げて放たれた青白い光の弾丸が、閃光となって空間を埋め尽くす。先頭を走っていた数十頭のオークが、その肉体の頑強さなど無意味と言わんばかりに、一瞬で蜂の巣にされて崩れ落ちた。


「ガ、グル……!?」

後方のオークたちが、あまりの面火力の凄まじさに急停止しようとする。だが、突撃の慣性は止まらない。


「一連目、退いて装填! 二連目、前へ! 放てっ!」


ズドォォォォン!!!


間髪入れずに放たれた第二陣の光条が、混乱するオークの第二波を容赦なく消し飛ばした。


「な、なんだこれは……!? 攻撃の隙が、まったく無いぞ!」

後方で見守っていたドワーフのガルドが、驚愕で顎を落とす。

通常、強力な魔法を使うには長い詠唱と精神集中が必要であり、一度放てば大きな隙ができる。だが、この魔導火縄銃は、引き金を引くだけで誰でも瞬時に最上級の攻撃魔法と同等の威力を放てるのだ。


「三連目、前へ! 敵の心をへし折れ! 放てっ!」


ズドォォォォン!!!


三度目の大爆音が轟き、オークの群れは完全に消滅しかけていた。

一列目が撃ち、二列目が撃ち、その間に三列目が魔力を装填する。絶え間なく続く死の連射。これこそが、かつて私が日ノ本の長篠の戦いで武田の騎馬軍団を葬り去った無敵の戦術――『三段撃ち』の異世界版であった。


わずか数分の出来事だった。

五百を誇ったオークの大軍は、里の入り口に一歩も足を踏み入れることができず、ただの一兵の損害も出すことなく、完璧に全滅させられていた。


硝煙が風に流されていく。

静まり返った戦場で、エルフの兵たちは自分の手にある鉄の筒を見つめ、それから、一斉に私を見てその場にひざまずいた。


「三千世界……異世界でも、我が三段撃ちの前に敵はなし、か」


私は刀を鞘に収めると、怯えるエルフたちを奮い立たせるように、傲然と言い放った。


「見たか。これがオレの戦、織田信長の『天下布武』の第一歩だ。リリア、ガルドよ、次は人間の国(グラン帝国)へ行くぞ。オレの鉄砲を不当に恐れるうつけどもに、本物の恐怖と、新しい世界の夜明けを教えてやるわ」


エルフとドワーフという最強の技術を手に入れた第六天魔王。

その牙城は、いよいよ人間の住まう王道の中央舞台へと向けられるのだった。

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