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『織田信長、異世界へ 〜本能寺から始まる第六天魔王の天下布武アクション〜』  作者: 明太パスタ


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敦盛を舞うには、少しばかり騒がしい

巨大なオークの死体を残し、私は鬱蒼とした森の中を進んでいた。

道なき道を進む私の耳に、突如として激しい金属音が届く。複数の悲鳴、そして、何かが爆発するような奇妙な音。


「ほう、あちらの方が賑やかそうだな」


私は不敵に唇を歪め、音のする方へと音もなく跳んだ。


巨木の枝から見下ろした先には、美しい木々で囲まれた小さな集落があった。だが、その平和な光景は今、無残に踏みにじられている。

襲撃しているのは、先ほど私が仕留めたものと同種の、十数頭のオークの群れだ。

そして防戦一方になっているのは、尖った耳を持つ美しい亜人の民――『エルフ』の若者たちだった。

「ひ、火よ、我が命に従い、敵を穿て……!『ファイアボール』!」


緑の衣を纏ったエルフの少女が、必死の形相で木の杖を突き出す。

その先端から、本物の火の玉が放たれ、オークの胸元で弾けた。


「……なるほど。あれがこの世界の『魔法』とやら武術か。面白い」


本能寺の炎を思い出す。だが、少女の放った火の玉は、オークの分厚い皮膚を少し焦がした程度で、決定打にはなっていなかった。

激昂したオークが、丸太のような腕を振り上げ、魔力を使い果たしてへたり込んだ少女へと掴みかかろうとする。


「いや……! 来ないで!」


少女が絶望に目を瞑った、その瞬間。


「敦盛を舞うには、少しばかり騒がしいな」


上空から、鋭い一喝と共に一影が舞い降りた。

――織田信長だ。


ドガァッ!!


私は着地の勢いを利用し、オークの顔面に強烈な前蹴りを叩き込んだ。三メートルを超える巨体が、信じられない力で後方へと吹き飛び、大木に激突して気絶する。


「え……? にん、げん……?」

少女が信じられないものを見る目で私を見上げる。


「うつけめ、戦の最中に目を瞑るな。命を捨てる気か」


私は背中を向けたまま、腰の「薬研藤四郎」を抜き放った。

一頭が倒されたのを見て、残りのオークたちが一斉に私を包囲する。その数、およそ十。


「グルアァァァッ!」


三頭のオークが同時に棍棒を振り下ろしてくる。

私はその場で一歩も動かず、ただ上半身の僅かな身のこなしだけで、すべての打撃を紙一重でかわした。戦国大名の頂点として、幾多の暗殺と戦場を潜り抜けてきた私の動体視力と「見切り」は、彼らの大振りな攻撃を完全に止まって見せている。


「遅いな。尾張の足軽の方が、まだ鋭い突きを見せるぞ」


すれ違いざま、私は風の如き速度で刀を振るった。

鋭い剣鳴が三度。

オークたちの手首から、その武器である棍棒がボトボトと地面に落ちる。痛みに叫ぶ隙すら与えず、私は反転し、その首筋を容赦なく真一文字に切り裂いた。


血飛沫が舞う中、さらに後方から回り込もうとした二頭に向け、私は間髪入れずに懐から進化した火縄銃を引き抜く。


「まとめて微塵にせよ」


パチパチと青い稲妻を帯びる銃口。

引き金を引いた瞬間、閃光が森を貫いた。


ズドォォォォン!!!


放たれた魔導の弾丸は、一頭の胴体を消し飛ばし、さらにその後方にいたもう一頭をも巻き込んで爆発した。凄まじい衝撃波が木々を揺らし、残ったオークたちはその圧倒的な「個の武力」に完全に恐怖し、蜘蛛の子を散らすように森の奥へと逃げ去っていった。


静寂が戻る。

私は刀の血を払い、静かに鞘へと収めた。


「た、助かったの……ですか?」

エルフの少女が、震える声で立ち上がる。周囲のエルフたちも、一人の人間が群れを圧倒した光景に、畏怖の念を抱いてひざまずいていた。


「私は織田信長。貴様たちのおさの元へ案内せよ。この世界の理、すべてを私に話してもらう」


少女は私の放つ、王の覇気に圧倒されながらも、深く頭を垂れた。

「は、はい……! 我が名はリリア。救世の英雄様、どうぞ我が里へ」


魔法という未知の力を目撃し、私の胸は歓喜に震えていた。

この世界には、まだ私の知らない「力」がある。ならば、それをすべて手に入れ、我が覇道の糧とするまで。

第六天魔王の異世界布武は、このエルフの里から本格的に動き出す。

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