第10章 初恋のほろ苦い体験
代々木公園から明治神宮を越え、原宿を経て渋谷に。
休憩は公園の原っぱ。肩を抱き寄せられ木陰でキスをされ、押し倒される。
「誰かに見られちゃう」逃げようとしても、抱きしめられて、もうどうでもいいやと観念する。
人の気配がして目が開けて、辺りを見回すけれど誰もいない。
気のせいかと思い愛撫に耐えられなくなって吐息を漏らす。
無造作にスカートがたくしあげられ、太ももに触る手が。
悠の手は2本とも私の体を弄っている。私が悠を押しのけて体を起こすと、
知らない中年男が一目散で逃げていた。悠も驚いて追って行ったが、
とり逃がしてしまったらしい。私は涙ぐんでいた。
悠は、私の肩を包むように大事に抱いて、何者からも守ってくれそうな強い力だった。
私たちは付き合い始めてまだ月日も浅く、やっとキスはしたけれど、二人とも経験がなくて、
一体どうやって愛しあえば良いのかわからなかった。
彼もただ胸を触ったり、肩を抱いたりするだけで、いつも体の上にのしかかってくるけれど、
そこからの展開は無くて、きまり悪そうに家路に帰っていた。
それを草陰から見ていた中年男が見かねて誘導してくれていたのかも知れないと思ったのは、
随分後のことだった。その時は、ただただ二人の時間が浮浪者のような変質者に汚されたこと。
知らない男性に太ももを触られたことがショックで涙が止らなかった。
そんな私をビルの人目のない脇に連れて行って、ぎこちなくキスをして、
流れる涙を唇ですすって飲み干してくれた。
優しい口づけ、愛されている至福に耐えられなくなって、私の方から熱烈なキスをした。
そのまま、街をぐるぐる放浪し、私の顔に笑顔が戻った頃には夜も更けていた。
近くのラーメン屋に入って、一番安いラーメンを注文して無言で食べた。




