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人類滅亡学者の旅路  作者: さくら
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霞む灯り

 暗闇に雨と風は似合うと思う。

 窓を開けてベランダから闇を見る。

 

 嗚呼…闇に灯る明かり一つ一つに…人の営みはない。

 全て幻の残骸である。

 行けば分かるさ。

 …

 行かないけどね。

 そこには明かりが灯っているだけで、生きている人はいないから。

 残酷な現実だけが待っているから。

 その手には乗らないのだ。


 風が吹いている。

 …涼しいです。


 今まで生きて来た証、目印ならば、それに相違ない。

 そこに意味を見出すのはその人次第…。

 あ、つまり私の事ですね。


 何しろ人類が私一人しか居ないから、他人に振れない。

 ボケとツッコミも私一人だ。

 ああ…なんてことだ。

 ボケとツッコミと観客、少なくとも三人は必要ではないか…今更ながらショックを受ける。

 そうか….人の力、本領を発揮するには三人は必要なのだということが、人類滅亡してから分かるとは。

 自分のエピメテウスぶりに呆れてしまう。


 なんてこったい、もう新しいボケとツッコミは見れないのか…人類が生み出した芸術なのに。

 日本のボケツッコミは絵画で言えばゴッホレベルの芸術だと言うに。

 実に悔やむ…悔恨です。


 思わず闇の天を仰ぐ。

 雨は降ってないけれど星が見えない曇天です。


 私は、騒がしのは嫌いだから、今の静けさは大いに満足。

 寂しくはない…人の悩みとは対人関係が10割だからストレスもフリーだ。

 問題は無い。

 …問題は無いはずだ。

 でも、新規なボケとツッコミを見れないのは盲点だったな…。


 …


 まあ、私にとっては人類滅亡などその程度です。

 でも、僕にとってはどうなのだろうか?

 …

 子供にとって環境は重要だと言う。

 愛がないと赤ん坊は死んでしまうという説もある。

 自分のことながら少し心配…。


 私は、多分、人類滅亡した日に生まれた。

 僕の心を守るために生まれた僕の別人格だと思う。

 私は僕の記憶もあるから、そうなのだろうと感じたのだ。

 僕が、このまま強く育ってくれれば私は必要なくなり、私は僕に統合吸収されていくだろう。

 今だって少し混ざっている。

 …寂しくはない。

 必要なくなれば消えていく。

 それは当然の(ことわり)だから。


 そんなことより、今日、僕の食欲は無かった。

 お昼頃、野菜スープを飲んだだけ。

 お腹は空いている…でも食欲は、理由はないけど無いのだ。

 人間も生物である以上、食べなければ衰弱する。

 これはあまり、よく無い兆候です。


 …ちょっと心配。


 先ずは僕は食べなければいけない。

 元気を出すにはタンパク質を摂取しなければ…。




 ベランダから室内に戻り、冷凍庫内をガサゴソ物色する。

 タラタタッタラー♪

 私は冷凍肉の塊を見つけた。


 よし、今日は焼豚(チャーシュー)を作ろう。

 完成品を想像しただけで涎が出そうです。

 あと、僕には触れ合いが必要です。

 …ふむ、ふむ。

 アレしかないニャと思う。



 僕への元気のでる処方箋は、焼豚(チャーシュー)と、猫です。


 ヨシ、…明日は猫を捕まえに行こう。

 猫狩りです。


 きっと、焼豚(チャーシュー)を餌にすれば寄ってくるに違いない、奴らが美味しいものに逆らえないのを私は知っている。





 

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