朝露
天から垂れる雨の雫のLINEが、朝陽に照らされて、キラキラと透明に光る絹糸のようでした。
天を仰げば、雲間から、何本も何本も光の御柱が地上へと降り注ぐように伸びているのです。
右手の方から海風が、潮の匂いのする風が途切れることなく吹いて、絹糸がキラキラと輝くのです。
地上は、まだ黒く路面を濡らしている。
路面から辿り、遥か先を見れば、未だ色とりどりの暗色系の雲共が行き先を陣取っている。
でも、何故だが峠は越えた気がするのだ。
…もうすぐ雨は上がる。
…
空気を鼻と口から、肺一杯身体全体で思い切り吸い込んでみる。
鴎が鳴いた……………… …… …… …………… …… …… ……。
右から左へと、ユラユラと揺れながら鴎が飛んで行く。
私の耳が、鳴き声を確かに聞いた。
私の目が、鴎が飛んで行くのを捉えた。
間違いない…間違いない。
やがて、一羽、二羽、…そこから数えるのはヤメタ。
ああ…空一面に鴎が飛んでいる。
グルリと360度、何回転も、空も大地も海も山の方、元来た道、遥か先に行先まで見渡した。
鳥が私の目前を横切った。
思わず追うと、行った先の眼下の川には、エイがユラユラと泳いで行くのが見えた。
…
はっ、はははっ…。
僕の気も知らずに、さも当然とユラユラ泳いでいくエイに、訳もわからず笑いが込み上げる。
私は一人だ。
いや、…今は一人だ。
奥歯を噛み締めて、空を見上げた。
だが、もしかしたら…僕は一人ではないかもしれない。
そうでしょう?
期待はしない。
今までも一人ぼっちだった。
だから一人でも平気だ。
これからも…。
でも、…もし人に逢えたとしたら…挨拶くらいならしてもいい。




