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【完結済み】カスタム侍女無双~人間最弱の世界に転生した喪服男は能力をいじって最強の侍女ハーレムをつくりたい~  作者: 藤原キリオ
after8:二年目のオークション

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8-14:白熱する競り合い



■エメリー 多肢族(リームズ)(四腕二足) 女

■19歳 セイヤの奴隷 侍女長



 Cホールでは商人用のオークションということで競りにかけられる商品は素材が大量に並びます。

 組合員が買っても加工を頼まない限り使えないですし、わざわざ競ってまで買う必要のないものばかり。

 組合員でここに来るのはほとんどいないでしょうね。



 Aホールよりは確かに狭いですが思っていたよりよほど広いと感じます。

 そこに隙間の無いほど並べられた買い手たち。私たちもその中に混じっています。

 明らかにカオテッドの外からも商人がやって来ていますね。

 オークションに参加できる商人などそれこそ大店くらいしか無理でしょうし、カオテッド中の大店を集めてもこれだけの数になるとは思えません。


 このオークションでは世界中の迷宮都市から集められた素材が出品されるはずですが、組合本部が出品しているものもあるはずです。

 カオテッド大迷宮で採取された黒曜樹などの希少な素材。

 それに私たちが斃した四階層の領域主のドロップ品なども。トロールキングの素材など大量に買い取りに出していますから。そういった素材を狙って他国から買い付けに来る商人が多いということですね。



 【黒屋敷】で参加しているのは私とヒイノ、ジイナ、ムゥチム、ニープラの五名。

 ここで買うものは職人たちが使いますからね。本人たちが欲しいものを選ぶべきでしょう。

 <鑑定>持ちも三人いますし、実際にものを見てから判断してもいいです。



『続いての商品は月夜花、五〇本! 魔導王国のダーウィンゲル大迷宮から採取された月夜花を乾燥させたものです! 睡眠状態回復など様々な錬金薬に使用可能な高級素材です! スタートは30からです、どうぞ!』



「月夜花はアネモネちゃんが出来ればと言っていましたね。ユアちゃんが使うんでしょうけど」


「状態異常回復薬か安眠薬か、それとも錬金溶液にでも使うのかしら」


「意外と用途は多いんですよね。しかもカオテッドの二階層では植生していないですし」



 一応札は上げておきましょうか。余分に買っても良いとご主人様にも言われていますし。

 アネモネが設定している値段は300までですか。そこまでは徐々に上げていきましょう。



「私たちの目的はあくまでも極聖鳥、氷狼、甲角虫あたりの素材ですからね。それを最優先としてあとはどれだけ競り落とせるか、というところですね」


「神聖、水、風属性ですね。カオテッドには少ないですから」


「水は海王国のお土産が沢山ありますけどね。あって困るものではないですし」



 そこは絶対に競り落としたいところです。魔石と素材をまとめて手に入れたい。

 極聖鳥であれば魔石と羽根、氷狼であれば魔石と牙・毛皮といったようにそれぞれの素材が出品されていますが、魔石だけを入手してもあまり意味がないのですよね。

 杖を作るにしても装飾品を作るにしても接合材や錬金溶液は必要ですし、その為には魔石に適した素材が必要なのですから。

 極聖鳥の魔石とヒールスライムのスライムゼリーとかでも同じ神聖属性ということで作れはするそうですがね。どうせならば素材は極聖鳥で揃えるべきでしょう。


 とりあえずは様子を見つつ、競る価値のあるものだけを競るようにしましょうか。先は長いのですから。





■セイヤ・シンマ 基人族(ヒューム) 男

■24歳 転生者 SSSランク【黒屋敷】クラマス



『それではこちらの【黒曜海蛇の杖】! 13200で15番の方に決定です!』


『おおお!!!』



 【黒曜海蛇の杖】はユアが作った水属性の杖だ。命名は俺。

 黒曜樹にシーサーペントの魔石と接合材にもシーサーペントの素材を使った贅沢な一品。

 どれくらいの値がつくかと期待していたが結果は13200ということで、なんとサリュの【聖杖アスクレピオス】と同程度まで引き上がった。


 聖杖は迷宮産でその性能は非常に高い。特殊能力はないものの強さとしては魔剣と同じようなものだ。

 人の手で作られたもので、竜素材も使っておらず、それだけの値を付けたのだからユアも喜ぶだろうな。


 ちなみに競り落とした15番の客はメルクリオだ。やっぱりかという印象。

 魔法使いの多い【魔導の宝珠】は国宝級の杖を欲していたはずだし、四階層を戦う上でも水魔法の重要性はよく知っている。

 何ならユアの実力を身近で一番知っているのもメルクリオなんだ。

 だから俺も【黒曜海蛇の杖】を買うならメルクリオかなぁと思っていた。想定通りではある。



「俺たちの出番はもうないかな」


「買いたいものは買えましたしね。あとは目玉商品ばかりでしょうし、それこそこちらが出品したものの値段を確認するくらいでしょう」


「シークレットはあるんじゃないの? それに期待しましょうよ」


「興味の湧くものがあればいいんだけどなぁ」



 スキルオーブと装飾品は結局買い漁った格好になってしまった。

 欲しかったものは全てゲットできた。しかも想定よりだいぶ安くだ。

 俺たちが競りに行くとみんな競り合いに来ないんだよな。特にカオテッドの連中は。高ランククランや商人たちも。

 こちらが本気で競りに行っていると見れば、すぐに退散する。ありがたい話ではあるのだが、本部長的には残念だったかもしれん。もっと値が付くと想定していただろうし。


 結果的に資金には余裕がある現状。

 もしシークレットで良さげなものが出てきたら買ってもいいかな、という感じだ。

 と言っても興味を惹かれるものなんて限られるだろうけどな。それこそ魔剣や聖杖レベルじゃないと。



『続いての商品はこちら! かつてSランク迷宮組合員として名を轟かせた【白風剣】メルティアからの寄贈品! 【白嵐の魔法剣】です! サイズは直剣! 魔力を籠めて突けば<嵐流突破(トルネードバースト)>を放てるという破格の性能! 国宝と認定されてもおかしくはない逸品です! スタートは800から!』



「おお、<嵐流突破(トルネードバースト)>はすごいな。魔法陣もかなり難しいんだろ?」


「ユアはそう言ってましたね。鍛冶師のほうも大変だと思いますが。最高位の魔法を放てるような内部構造にしなければいけませんし」


「どれほどの失敗作の果てに生まれたのだろうな。途方もない時間と金をつぎ込んだ品ではあるのだろう。我は同情するぞ」


「まぁ私たちの立場からすると同情しちゃうけどねぇ。世間的には傑作であり国宝で間違いないわよ」



 うちで使っている魔竜剣は最高位魔法を放てるようなものではない。

 (ウォール)系や(ストーム)系などの使いやすい中級魔法程度にしている。

 それは武器で攻撃するのが基本で、魔法は牽制や咄嗟の防御くらいの使い方をしているせいだ。わざわざ最高位魔法を放てる魔竜剣を作る必要はない。


 放つ魔法が強力になればそれだけ作るのは大変になるわけで、その労力は想像を絶するだろう。

 うちみたいに最高峰の腕を持つ鍛冶師と錬金術師が共に暮らしているということなんてありえないだろうし、仮にそういった環境でも『失敗せずに最高品質のものを作りあげる』なんて普通はできないのだから。


 その魔法剣を作った人がもし<鍛冶><錬金>のスキルをカンストさせていても、戦うことなんてないわけだからレベルは低いはずだ。当然、器用値も低い。

 ジイナやユアとの最大の違いはそこだな。二人の場合はレベルも高いし<カスタム>で器用値も相当高くしてある。


 世界最高峰の職人でも限界はある。

 その限界を超えられるのは、この世界がレベル制であると知っている俺たちだけ。つまりは<カスタム>のおかげということになるんだよな。

 まぁそういうとあの駄女神に感謝しているようで癪なんだが。



「ちなみにあれは買わないんでしょ?」


「どうだ、アネモネ?」


「ふふふ……全くいらないです。買うだけ無駄です」


「だろうな。今さら普通の魔法剣を買ってもなぁ」



 いくら国宝級でも、いくら最高位魔法が放てても、ジイナとユアが作った魔竜剣の足元にも及ばない。

 俺たちが買うわけがないよな。


 ちなみに最高位魔法を放てる魔竜剣は作ったことがある。俺が「魔剣に近い魔竜剣ってできないか?」と言ったせいでチャレンジしてくれたものだ。

 それはイブキの【魔剣イフリート】を模して作られた『<炎の破城矢(フレイムバリスタ)>を放てる魔竜大剣』だったわけだが、やはり性能的に魔剣には及ばなかった。人の手で作るものには限界があるということだ。


 イブキ以外に大剣を使える侍女もいないので、今はエメリーのマジックバッグに入っている。エメリーは何でも使えるからな。すでにマジックバッグの中は応接室以上の武器庫になっていることだろう。



『それではこちらの【白嵐の魔法剣】! 9700で20番の方に決定です!』


『おおお!!!』



「おお! バルボッサたち頑張ったな! よく競り落とせたもんだ!」


「ここまで大人しかったですからね。狙いを絞っていたのでしょう」



 魔法剣は【獣の咆哮(ビーストハウル)】が競り落とした。

 他の高ランククランや大商人、貴族と思われるやつらなんかも競っていたが最終的にはギリギリ競り勝ったという印象だ。非常に白熱した競り合いだった。


 【獣の咆哮(ビーストハウル)】は前衛過多なクランだし直剣使いも多い。反比例して魔法使いが少ない。だからこそ魔法剣を求めたのだろう。

 俺たちの出品した【炎岩竜の短剣】も競ってはいたが本命は魔法剣だったんだろうな。

 安直に『強い武器』を求めず、クランに足りないところを補強した。それはそれで素晴らしい考えだと思う。


 帰り際にでも会うだろうからその時は労ってやるか。どうせ最後にまとまって出る感じになるだろうし。





■バルボッサ 虎人族(ティーガル) 男

■38歳 Aランク【獣の咆哮(ビーストハウル)】クラマス



「よおし! 何とか手に入れられたか!」


「ヒウガも喜びますよ。確実に戦力アップになりますしね」



 目当ての魔法剣は競り落とすことができた。一安心だ。

 セイヤが出している武器なんかは競争相手が多すぎるだろうし、あえて狙いからは外していた。

 まぁ一応札は上げたけどな。万が一、安く競り落とせるなら儲け物だし。


 できればあともう一本くらい魔法剣を狙いたいところだが……資金がもつかだな。おそらく厳しいとは思っている。



 しかし今年はこうしてオークションに参加することができて、俺はそれだけでも嬉しい。心底そう思っている。

 毎年この日は俺だけチューリヒ公爵……通称ハゲネズミの案内役だったからな。あれは最悪の依頼だった。

 クランメンバーはオークションに参加させていたが俺が【獣の咆哮(ビーストハウル)】として参加することはなかったのだ。クラマスなのに。


 いやぁ聖戦の時にぶっ殺しておいてよかった。不謹慎だから口にすることはないが、聖戦が起こってくれたことに感謝だ。


 しいてはセイヤに感謝ってことになるんだけどな。

 あいつらが無茶な迷宮探索をしたせいで金の亡者である豚皇帝が動いたんだろうし、【黒屋敷】自体がヘイトを買う役目を担ってくれた。

 そのおかげで俺はこうして仲間と並んでオークションに参加できると。楽しいもんだな、祭りってのは。


 そのセイヤたちだが、今年も爆買いするのかと恐れ半分、楽しみ半分の気持ちで様子を窺っていたのだが、どうやら今年はスキルオーブと装飾品のみに狙いを絞っていたらしい。

 昨年に比べれば大人しいもんだが、セイヤとまともに競り合いにいかない買い手も多いし、ただでさえカオテッドで一番の金持ちだろうからな。結局、二〇以上の商品を競り落としていた。

 数だけで言えば昨年以上だな。出費の総額は絶対に及ばないだろうけど。


 セイヤたちが武具を狙っていないと分かると、他の買い手たちは逸早くそれを察知したらしい。

 当然のように武具の競りが熱くなる。値段は高騰する。

 俺たちが競り落とした魔法剣もかなりギリギリだったしな。ほとんど上限みたいなもんだ。



 あとに残っているのは二点。それとシークレットか。

 とりあえず二点のほうは札を上げることもないだろう。買えないと端から分かっているしな。

 シークレットでもう一本魔法剣が出るとは思うんだけどな、例年の傾向的に。そこを狙うしかない。



『さて続いての商品は……【風竜の精力剤】! 昨年カオテッドで起きた忌まわしき【天庸】事件! その際に【黒屋敷】によって斃された風竜! その睾丸を主原料とし【黒屋敷】の専属錬金術師ユアの手により作られた伝説の秘薬です! くれぐれもそのまま使用しないで下さい! 百倍に薄めて尚、強力な効果を発揮します! 何卒注意してお試し頂きたい! さあ、おそらく世界に一つの超強力な精力剤、スタートは2000から!』



「うわぁ……スタートで2000かよ。こりゃ下手すると30000くらいまでいくぞ」


「商人や貴族がこぞって札を上げていますね……精力剤なのに……」


「それだけ需要があるってことなんだろうよ。大変だなぁ……まぁそのうち俺らも他人事じゃなくなるんだろうけど」


「さみしいことを言うんじゃねえ。健全なうちに女遊びしておけってことだ」



 しかしなんでセイヤは精力剤なんか出品したんだろうな。

 風竜の素材を持ってるのも、ユアが大錬金術師なのも知っているが、だからといって精力剤を作る必要なんてないだろうに。

 博物館じゃ売れない薬剤を出品したかったってことか? いや、それにしたってわざわざ精力剤にする意味なんて……。


 ……まさかセイヤ、お前……あれだけメイドを囲っておいて精力剤が必要な身体なのか……?

 もしくは精力剤でもなけりゃ体力が持たないほど……いや、これ以上考えるのはやめておこう。普通に接しづらくなる。


 ……いずれにしろ「頑張れ」としか言えねえな、俺には。





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