6 女神のクローン
「リンカ、再確認だけど『もう親ガチャはしたくない』ってことで、おK?」
「はい、また親に殺されるのは御免です!親ナシで済ますなら、この姿のまま異世界降臨するのが無難だと思うんですが?」
「残念ながらリンカは幽霊だからね?降臨しても誰にも認識されず孤独なままだよ?」
「そっか、それは困る。でもちゃんと肉体があるように見えるんだけど…ダメなの?」
「ここは天界だから生前の身体を再現してるだけなの。それに、仮に受肉できたとしても【不法侵入者】として行政の助けは得られず生活は困難になるでしょうね。この世界では5歳の【洗礼の儀】で【個人識別カード】が発行されるの。リンカは既に成人に達してるから、今更カードの取得は無理なのよね」
「むう…。転生モノでよくある、死んだ誰かの身体に入っちゃう的なのはダメなんでしょうか?」
「それも無理ね。【洗礼の儀】では魔力と血を一滴、カードに登録するんだけど、魔力は指紋のように各個人で違うし、血液中のDNAも個人で違うの。だから魔力と血の両方が一致しないとダメなのよ。たとえばリンカの魂が違う身体に入っても魔力が違うわよね?【個人識別カード】はエラーになって、行政上不都合が生じるというわけなの」
「うわぁ…マイナンバーカードより面倒くさいわー。身体を乗っ取るとしたら、肉親も育ての親もいない、5歳未満の新鮮な女児の遺体を捜すということでしょうか?探そうと思ってもいないだろうし、なにより乗っ取りなんて申し訳なくてできないよ…」
「ふっふっふ、そこで女神様の出番です!わたしのクローンを作っちゃいま~す。ぶちっとな」
女神様はくるくるパーマの頭髪を引き抜くと、でっかい試験管のようなモノに入れた。
いったい何をしているのか…私は理解できずにいた。
「うふふ、この強くて美しくて可愛いフィーレア様と同等の身体を手に入れるなんて、リンカはなんて運がいいのでしょう」
(なん…だと……)
この、目の前に居る、ちんちくりんでくるくるパーマで酒樽のような体型の、いじわるばあさん顔負けの面構えの大阪のおばちゃんが……?
異世界での私の身体がこれ……?
「い、嫌です。大阪のおばちゃんにはなりたくないですー!そのまま死んだ方がまだマシだぁ…うわあぁあーん」
「え?泣くほど嫌なの?……って、あぁぁっ!大阪ショッピングの恰好のままだったわ!ごめんごめん、変身っ!」
女神様は一瞬で金髪の美しい女性に変化した。耳が長いからエルフかな?
「これが本来の姿なんですね。…さっきの縮れ毛でクローン作って大丈夫なんでしょうか?」
「あ、その点は大丈夫よ。幻術の類だから変身してもDNAは変わらないし。あ、見て!もう胎児の形になってるよ」
巨大な試験管の中で、力強く心臓を動かしている小さな命がそこに芽吹いていた。
帯状疱疹より復帰しました!すんませんでした。
無理せずぼちぼちいきます。




