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親ガチャ転生~毎回親に殺されるので転生を拒否したら、異世界の女神様から産まれました~  作者: 里見みさと
第4章 渡り鳥編

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37 死の町

 

「な、なんじゃこりゃーー!」


 驚きの光景に思わず叫んでしまったが、辺りに漂う腐臭に慌てて呼吸を止めた。

 二度目の人生で第二次世界大戦を経験した私だからわかる。これは死肉の臭いだ。


(『聖結界』!)


 無詠唱で聖女のスキル【聖結界】を発動すると、身体の周りに結界が張られ新鮮な空気が確保された。私は聖女ではないこ(・)と(・)に(・)な(・)っ(・)て(・)い(・)る(・)ので【聖結界】が使えることは内緒にしないといけないのだが、背に腹は代えられないよね。


 町の中は淀んだ空気で満たされていた。辺りには蠅(はえ)が飛び、空には烏(からす)が群れ、地面にはおびただしい数のGと鼠(ねずみ)が走り回っている。


(うわあ…鳥肌立った~)



 そんな中、鎌や鉈、剣などの武器を装備した町民が、獲(・)物(・)を探し歩いていた。


「ねご~、ねごはいねがーー」

「出てこいやぁーー!ぶっ殺してやるぜぇ」

「ねこちゃあ~ん、どこお~?」

「ほぉ~ら、ごはんだよぉー、出ておいで~」


 小魚を手に、鼠の糞だらけの地べたに這いつくばって探す者までいる。にゃん吉が言っていたが、これではまるで『猫狩り』だ!しかしなぜこんなことが起きているのだろうか?


 町の中を見渡すと、元気に狩りをしている者だけではなく、ぐったりと倒れている者もいるようだ。今回の荷運び依頼の中身はポーションと聖水だった。今、この町で起こっているのは何らかの病気であることは間違いない。

 なんだか悪い予感がする。猫のことは気になるが、今は薬を届けるのが先だ。私は大急ぎで依頼元のギルド支部に向かった。


 この町の冒険者ギルドは、受付カウンターと買い取りカウンターがあるだけの、こぢんまりした建物だ。私の他に冒険者の姿もなく閑古鳥が鳴いていたので、すんなりと受付することができた。

 今回の依頼はポーション50本と聖水50本の運搬だ。依頼主の薬師ギルド員と一緒に、瓶に割れがないかを確認後、ハンコをもらって成功報酬の銀貨5枚(五千レア)を受け取り依頼完了となった。裏口から木箱が運ばれて行くのを見届け、やっと肩の荷が下りた。


 受付のお姉さんと買い取りのおじさんが暇そうにしているので、この町の状況について聞いてみることにした。


「この町で何があったか教えてもらえませんか?あ、これお茶菓子ですぅ」


 魔法の袋からズラートルが焼いたクッキーを出すと、お姉さんが大喜びでお茶を入れてくれた。丁度10の鐘が鳴ったので休憩ってことでOKらしい。


「外から来たら気になるわよね?…臭いでしょ?」

「ええ、まあ…」

「最近、謎の病気が流行っておってな。人がバタバタ死んどるんじゃ。火葬が間に合わんし、町長んとこで死んだ猫が山積みじゃしのぅ…」

「猫?」

「ええ。町長が言うには、この病気の原因は猫なんですって!町長の娘さんが猫に咬まれた傷が元で亡くなったのよ。そのあとお世話係のメイドも亡くなってね…」

「だから御触れが出たんじゃ!『ネコを駆逐せよ。死体を持ち込めば一匹あたり五千レアで買い取る』とな。確か半年くらい前かの?」

「そうそう、それからかな?ここ最近急に病気で倒れる人が増えたのよね~」


 話を聞いていて、何かが引っかかった。猫の咬み痕でかかる病気は確かにある。以前ネカラアクが熱を出したアレだ。しかし、人から人に伝染はしないはずだ。むむむ?と唸っていると、足元に鼠が寄って来た。どうやらクッキーの匂いにつられたらしい。


「ひいっ!あたし鼠苦手なのよっ!ねえ、最近なんだか鼠が多くない?虫も多くなったよね?何かの虫に足を刺されて痒くって困っちゃうわ…」

「そりゃあ当たり前だ。猫がいねえんだからのう。そういや、わしも足を虫に喰われたわい」


 二人のやり取りを聞いて、欠けていた謎のピースがかちりとはまった!原因は猫じゃない。鼠だ!

 そして、それは放っておくと大変なことになる!


「二人とも、虫刺され痕を見せて。私、浄化の魔法使えるから痒みを消せるよっ!」

「え?あなた教会の子よね?確か五千レアかかる治療でしょ?」

「私はもう教会の子じゃないし。お金なんて取らないよー」

「ありがと~、じゃあ、お願いしてもいいかしら?」

「ありがとうな。お願いしますじゃ」


 二人はお礼を言いながら患部を露出した。足首のあたりがぽつぽつと点状に赤くなっている。

 浄化をかける前に、二人には内緒でこっそりと【鑑定】をかけた。


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【 備 考 】 ペスト菌感染症(潜伏期)


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 予想通りの結果だった!ペストと言えば、前世の中世ヨーロッパで人口の1/3が死に絶えたという、別名・黒死病だ!

 ペスト菌に感染した鼠についたノミを媒介にし、文字通り鼠算式に増えて行く感染症。そして人が刺されると感染するのだ。鼠につくノミは人にはつくが猫にはつかない。しかも猫は鼠の天敵だ。猫がいれば防げたパンデミックだったのだ。


 私は動揺を隠し浄化作業に移った。


「で、では、浄化しますね。『浄化』!もういっちょ『浄化』!どうです?痒くなくなりました?」

「わぁ、痒みも腫れもひいてるわ。ありがとうっ」

「わしもじゃ。ありがとうのう」

「いえいえ、痒いのは嫌ですもんねぇ~」


 再度、こっそり鑑定をかけてみたところ、備考欄の表示はきれいに消えていた。良かった…。

 二人にはペスト菌のことは伏せておいた。よもや死の病にかかっていたなんて知りたくなかろうて。


「では、私にできることがあるかもしれないし、町長の所に行ってみます」

「ええ、気をつけてね」

「助かったよぉ」



 にゃん吉との約束を果たすため、いざ町長邸へ…!


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