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親ガチャ転生~毎回親に殺されるので転生を拒否したら、異世界の女神様から産まれました~  作者: 里見みさと
第3章 孤児院にて

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29/32

29 事件の顛末

 誘拐犯の二人を助けてから1時間以上経過していた。


【浄化】で毒こそ抜けたものの、まだ目覚めていない。

【ヒール】は万能ではないからね…。


 その間、私はマップでネカラアク子爵の動向を探りつつ、ピコンピコンうるさかったステータス画面を確認していた。



 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 23:03


 【多層式ステータス画面】


 属性検索で予備の個人識別カードを探せます

 例)光★ 火★★

  _____________

 丨             丨 検索 

   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

   周辺マップを表示

 ➡ 現在のステータスを表示


 予備カード001 火★ 水★ 剣★

 予備カード002 火★ 風★ 土★ 

 予備カード003 水★ 盾★ 剣★ 

 予備カード004 火★★ 剣★

 予備カード005 風★ 土★ 盾★

 ▽次の5枚


 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


 ●現在のステータス(隠蔽)●


 【 名 前 】 リンカ

 【 年 齢 】 5

 【 種 族 】 エルフ族

 【 レベル 】 59

 【 H P 】 ∞/∞

 【 M P 】 ∞/∞

 【 ちから 】 ∞

 【 体 力 】 ∞

 【 魔 力 】 ∞

 【 攻撃力 】 ∞

 【 防御力 】 ∞

 【 素早さ 】 ∞

 【 知 力 】 ∞

 【 幸 運 】 ∞

 【固有スキル】 瞬間記憶(常時発動)

 【 呪 縛 】 親に殺される運命(回避不能)

 【 スキル 】 か●はめ波 言語理解 

   鑑定(封印中) アイテムボックス(封印中)

   毒無効 麻痺無効 石化無効 眠り無効 

   毒付与 麻痺付与 石化付与 眠り付与 

   痛覚軽減 恐怖耐性 精神攻撃耐性

   気配察知 気配遮断 透明化


 【 ギフト 】 光★  

   光★★★★★★(封印中) 

   火★★★★★★(封印中)

   水★★★★★★(封印中) 

   風★★★★★★(封印中)

   土★★★★★★(封印中) 

   盾★★★★★★(封印中)

   剣★★★★★★(封印中)

 【 備 考 】 



 ▲ トップに戻る

 △ 表紙に戻る


 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



 うおっ、レベルが上がってる!初戦でLV59?マジかっ!

 しかも、状態異常無効に状態異常付与!


 あの、かじりついてきた()()()は強敵だったようだ。

 確かに状態異常攻撃のオンパレードだったけどさ。

 私、初めて街から外に出たんだよ?まだ5歳の幼女だよ?

 普通、初戦はスライムとか角ウサギとかで徐々に慣らすもんじゃないの?

 でもまー、そのおかげで多くの耐性が身に付いたのも確かなんだけどね。


 痛覚、恐怖、精神攻撃。この三つが()()にまで至らなかったのは、それらがなくなると人間は無理しすぎて死んでしまうかららしい。

 僕は死にましぇーん!(武●鉄矢風)


 そんなことよりっ、気配遮断、透明化ってなんやねん!

 の●太くんがし●かちゃんの入浴シーンを観に行くのに最適なセットじゃないか。

 ……と、冗談はさておき、どうしてそんなに良いスキルが手に入ったのかな?

 そうか、魔法はイメージが形になり、スキルは努力が形になるんだ!

 あのとき、蠢く()()()から逃げたいと必死に抵抗したからか!


 それならば、確かめねばなるまい!

 私は自分に気配遮断&透明化のスキルを使った。

 そして、別荘にある鏡を見た…。うん、何も映っていない。成功だ!

 これで隠密行動ができる!もちろん犯罪には使わないよ!


 ステータス画面からマップを表示し、ネカラアク子爵の赤い点を探すと、ずっと隣町の町長宅に留まっているようだった。

 なぜ動かないのか?赤い点を凝視していると、ゆるゆると動き出した。今からドアイの街に向かうのだろうか。

 ここはひとつ、先回りと行こうじゃないか!


 私は気配遮断&透明化したまま街道を疾走した。マッハばばあならぬ、マッハ幼女だ。見えんけど!

 そして、隣町の町長宅に着いたのは2分後。ネカラアクは寝室から出てきた所だった。


「うう、くそっ…!ふくらはぎが腫れてきやがったわい…」

「大丈夫ですか、熱も出ております。もう少しお休みになられた方が…」

「うるさい!ワタシに指図するなっっ!はあはあ…」


 おや?こいつ、熱出してんの?ざまぁ!

 猫ちゃんの感染症かな?私もそこにたっぷり魔力を注ぎ込んだからね。足が腐り落ちても知らないよーだ。


「それにしても惜しいな。あのエルフの娘。ワタシの地下コレクションに加えて()()()()()後、高く売れるはずだったのだがなぁ。ぐへへへ…」


 今、ぞわっとしたぞ!

 え?ってことは、私以外にも攫われた女の子がいるかもしれないの?

 私は今、透明だ。見張りの横をすり抜け、地下の鍵のかかった鉄格子の前に進み出た。


 中を確認すると、猫耳の幼女、うさ耳の少女、人間の幼女など、可愛らしい子が10人ほど、首輪をつけられ鎖につながれて閉じ込められていた。

 なんて、酷いことを……!

 今すぐに助けてあげたいけど、今はまだ動く時ではない。


(…ごめんね、ぜったい助けるから、待っててね)


 私はドアイの街に向かうネカラアクの後を追った。馬だとここから20分くらいかかるようだ。遅っ!私なら1分だぜ。



 時刻は午後12時。

 街の中は暗くひっそりしていた。

 そんな中、騎士団や領主様たちが、灯りを片手に私を探しているようだ。

 透明でごめんなさい。今はまだ姿を現すのは早いと思うの。


 教会に入ると、院長先生や副院長、クリスにアルフもみんな眠り薬から覚めて元気そうだ。

 安堵したけど、本来なら眠っている時間だ。心配かけてごめんね…。


 遅れてネカラアクも入って来た。


「はぁはぁ…領主様、ウチの町民が、ここから自宅に戻る際、あの追放された、【ズラートル()男爵】がっ、はぁはぁ…リンカちゃんをっ、馬車の荷台に押し込んでいるのを、見たらしいっ……はぁはぁ…」


「出所してわが町のはずれに住み始めたとっ、はぁはぁ…最近知り困惑していたところでしたっ…。まさかっ、リンカちゃんに手を出すなんて……はぁはぁ…。管理不行き届きでしたっ。申し訳ないっっ!」


「わ…ワタシのことは、かまわず…行ってくださいっ……。奴の住処は…はぁはぁ……ここから、約10kmの…崖の上……古い別荘……だ……」


 なん…だと…?

 これは、演技なのか?悲劇の人になりきってやがる!

 ネカラアク、恐ろしい子!

 紅天女も演じられるぞっ!


 やはり、あの二人を生贄にして逃げおおせるつもりだったのだ。

 そうはさせない!


 私は騎士団が出発するのと同時に別荘へ向かった。馬で30分の距離らしい。

 なに、私なら3分あれば十分だ。



 3分後、別荘に到着した私は、気配遮断&透明化を解き、扉を開いた。

 物音に気付いたからか、ズラートルと従者が目を覚ましたようだ。


「わ、わたしは生きているのか?……ネカラアクに毒を盛られたはず……なぜだ…?」

「坊っちゃん…苦しくねえです。助かったんでやんすよ!」


「ええ、お二人とも死ぬところでしたよ。私が【浄化】と【ヒール】で治しました。気分はどうですか?」


 リンカちゃん、ズバット参上だ!


「っ!!まさか、おまえが助けてくれたというのか?あんなに酷いことをした、このわたしを……」

「その件はあとで!今は諸悪の根源、ネカラアク子爵をぶっ潰したいの!協力してくれるよね?」

「あ、ああ、もちろんだとも!あのタヌキおやじ、騙しやがって!ただじゃおかないぞ!」

「お前が言うなー(笑)でも、面白くなってきたじゃな~い!丸裸にしちゃいましょう!」

「「「うえーい」」」


 私たち三人は一時休戦し、組むことになった。少年漫画によくあるやつだね。

 騎士団がここに来るまであと15分くらいか?

 遺書と崖まで続く血痕、血の付いたナイフ。これを見た騎士団は私たちを死んだと報告することだろう。


「でね、その報告の時、私らがズバット参上!したらかっこよくね?」

「うむ、あのタヌキも驚いて化けの皮がはがれるかもしれんな…」

「やりましょうぜ」


「よしっ!では行こっか!(…眠れっ!)」

「あれ?急に眠く……」

「ぐおー……」


 こっそりと二人に【眠り付与】した。動くのに邪魔だからね!

 とりあえず、透明化をかけて外に出しておこう。

 私も気配遮断&透明化して、騎士団の動向を見守ることにした。


 案の定、騎士団は一時間ほどの捜索後、死亡判定を下し街に戻ることにしたようだ。

 私はそれを見届けたあと、街への街道をひた走った。

 大の男二人を両肩に担いだ幼女がマッハで走る。透明でなかったら絵面がホラーだよね!



 時刻は午前2時。

 教会に集まった領主たちへ、帰還した騎士団の報告が始まっていた。

 私は裏口で周りに誰もいないことを確認し、誘拐犯の二人に【浄化】をかけ、眠りと透明化を解除した。


「…あれ?わたしは寝ていたのか?いつのまに教会に……」

「あー、ツカレテタノデショウネ。それよりっ!計画通り、ズバット参上!ですよっ」

「了解だ。行こう!」

「へい、坊っちゃん!」


 私ら三人は、意気揚々と()()()()()()()の扉を蹴り開けた。


「話は聞かせてもらった!」


「お、おまえっ!なぜ生きているっ?崖下に()()()()はずだ!ぜーはー…、それにっ、後ろの二人っ!確かに()()()()()はずだっ!生きているわけが……… 

 はっ!しまったっ…」


「語るに落ちたね、ネカラアク子爵!なぜ生きてるかって?それはね……

 私が、女神様のギフトで光の加護を受けたからだよ!

 ナイフで刺されて崖下に落とされたけどっ、怖かったけどっ、ぐすん…ヒールで無傷なんだからねっ!」


「その遺書はニセモノだ。わたしたちは、そこのネカラアク子爵に頼まれてリンカちゃんを攫ったのだ。用済みになったあと、毒を飲まされた。リンカちゃんが解毒してくれなければ、今頃私たちは死んでいただろう。彼女は命の恩人だ」


「くっ…、それでもっ、証言だけで証拠がないだろうがっ!証拠を出せっ!はあはあ…」

「証拠ね…。子爵さん、私と猫ちゃんが噛んだふくらはぎの傷、そのままだと足が腐り落ちて死んじゃうよ?見せて?」


「な、ばかな!そんなことがあるわけ……はあはあ…」

「ほら、苦しいでしょう?私と猫ちゃんの恨みを込めた噛み跡がじわじわと死に追い込むの。治せるのは私だけだよ~?」

「くっ…しかしっ!」


「ネカラアク殿、失礼するぞ!」

 この場で一番身分が高い領主様が、ネカラアク子爵のズボンをまくり上げた。


「これは酷い……」


 赤黒く腫れあがったスネには二つの噛み跡があった。

 すぐに領主様が鑑定眼鏡をかざすと、


『猫の咬み跡。パスツレラ菌に感染。重傷』

『リンカの噛み跡。魔力感染症。重症』


 と出た。


「あっ!もうひとりの黒ずくめの男か!猫にスネを咬まれていた!俺は見てたぞ!」

 いつの間にか足元に来ていた猫ちゃんも、満足そうに尻尾を立てている!


 唯一の目撃者トビアスの証言と、猫とリンカの残渣も確認された。

 物的証拠が出たことになる。


「はあはあ…ちくしょう!ワタシは無実だああぁーーーっ!」


「いいえ、ネカラアク子爵!この件だけではありません。あなたの屋敷の地下に、攫った女の子が複数囚われているのは確認済みです!騎士団長さん、すぐに屋敷の地下を捜索してくださいっ!」


「なんということだ、了解した、行くぞ!」

「「「「「「応っ!」」」」」」


「おい、やめろ!やめてくれえーー!ぐはっ………」



 ネカラアク子爵は高熱で倒れ、そのまま捕縛された。

 憎らしいけど、浄化&ヒールして傷を治してやったよ!

 これから、みっちり取り調べを受けるといいさ。


 そして、ズラートルとその従者も、騙されたとは言え誘拐犯だ。

 前科もあり、その罪は重い。


「リンカ…すまなかった。わたしはきっと死罪になるだろう。最後に君のおかげで改心できたと思う。ありがとう…」

「へい、あっしも感謝してるっすよ!」

「うん…」


 連行されるズラートルと従者…。

 もう二度と会うことはないと思うと、悲しくなってしまった。

 あんなに酷いことされたのにね……。



 捕縛劇の終了とともに、みんなが集まって来た。


「みんな…、心配かけてごめんなさい!」


「リンカちゃん、お帰りなさい。無事でいてくれて良かったわ」

「リンカー、良かったーっ」

「リンカ~!うおおーーーん」


 悲しい気持ちが吹っ飛ぶほど、熱烈な歓迎を受けたよ。

 それにしても、ニック…、涙と鼻水でぐちゃぐちゃじゃないか。


「鬼の目にも涙ってか?ニックがそんなに友達思いだとは知らなかったよ。ばっちいから『きれいきれい』するね!」

「お、おう………」

「「「「「「(リンカ、おまえなぁ……)」」」」」」

「ほえ?」


 みんなが残念な子を見るような目で見てくるのは何故なんだぜ?



 ……こうして、リンカ5歳、初めての冒険は幕を閉じた。

 めでたしめでたし?



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