15 いろんな種族がいる世界
まぶしい光とともに体が一瞬宙に浮き、ふわりとどこかに着地した。
目を開けると、知らない天井が…(お約束)
天井や窓からは、色とりどりの光が射しこんでいる。
ここは教会かな?こっちにもステンドグラスがあるんだなぁ。
などと考察していると、私を上から見下ろすものと目が合った。
石で出来た大きなフィーレア様の像だ!
うーん?似てないよね?
あ、体型だ!ボンキュッボン(死語)すぎるんだわ。
本物のフィーレア様は…、なんというか、すとーーん、だからね。
む?同じ遺伝子だから、私も将来そうなるのか?
嗚呼、なんてこったーー!
………
どうやら周りが騒がしくなってきたようだ。
「ᛏᚪᛁᚺᛖᚾᛞᚪ!!」
聞こえてきたのは異世界語か?何言ってるのかわかんねー。
そっか、フィーレア様は最初から日本語で話してくれていたのね。
ならば、言語理解スキル、発動!
「たいへんだ!!めがみさまが、あかちゃんうんじゃったーーー」
『ばぶー!(なんでやねーん!)』
思わずツッコミ入れちゃったよっ!
さて、
私の入った籠の周りに人が集まって来たわけだけど。
まず右から、院長先生かな?修道服姿の女性、その腕を引っ張る犬耳が生えた男の子は獣人ね。髭もじゃの小さい人はドワーフか。小さい角が生えた男の子と2本の立派な角を生やしたモロ鬼の姿をした人、トカゲの姿をした人までいる!?
「ほぎゃー、ほぎゃーー!(異世界、怖えぇーーー!)」
赤ちゃんな私には刺激が強すぎたようだ。
ビックリしすぎて思わず泣いちゃったよっ。
院長先生に抱き上げられて、少し落ち着いたけどね。
「せんせー、フィーレアさまがあかちゃんうんだんだよー。ぴかーってひかったの!ぼくみてたんだから!」
犬耳の3歳くらいの男の子が力説している。垂れた耳がかわええ!
この世界にはいろんな種族がいるんだね。まあ、鬼人と竜人にはビビったけどさ。
まだ心臓がバクバクしてるよ!生きてるって素晴らしいわ……
「アルフ、この子は産まれてから一か月以上経ってるみたいよ、ちゃんと服も着ているし。可哀想だけど孤児院だからと捨てて行かれたのねぇ」
「ぼくもおなじ?」
「いいえ、アルフは捨てられたんじゃないわ。御両親が魔物に襲われてね……」
ちょっと湿っぽい話になって来たぞ。
「…あら?これはお手紙かしら?」
院長先生が手紙に気づいたようだ。
「読んでみるわね…」
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院長先生へ…
勝手なお願いで申し訳ありません。
まず、この子のステータスを鑑定してください。
この子を手放さなければならない理由が解ると思います。
エルフの里は産まれる子どもの数が少なく、そのため全員で子育てするのが習わしなのです。
このままでは、いずれこの子は殺されてしまう。
そう思い、こちらに預けることにしました。
特殊な事情ですみません。
今後、誰とも【親子】の関係にならないように、養子希望の方が来ても渡さないでください。成人まで面倒をみて頂けるだけのお布施はご用意しました。
どうか、この子の幸せのために…よろしくお願いいたします。
リンカの母より
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「まあ、この子はリンカという名前なのね。この革袋はお布施だそうだけど……ひっ!白金貨が70枚もっ!」
あ、フィーレア様ってば、アイテムボックスの中身、全額出したのね。
いいよいいよ、私には必要ないから。
約7000万、孤児院の運営に使われるなら本望だよ。
「…マーサ殿、わしが鑑定してやろう。鑑定眼鏡はいつも持ち歩いているからな」
「領主さま、ありがとうございます」
あの鬼人は領主さまだったのか。んで、院長先生の名前がマーサ、犬耳の男の子はアルフくんっと!
瞬間記憶のスキルを持つ私は即座に記憶にとどめた。
「む?呪縛の欄に『親に殺される運命(回避不能)』とあるな。これでは生きて行くのは厳しかろう。うちは男子ばかりだから養女に貰おうかと思ったが、これでは無理そうだなぁ」
「嗚呼、なんということなの!フィーレア様、この子を御救いください……」
大丈夫、もう救われてるよ。
そんなこんなで、私は誰に貰われるでもなくこの孤児院でお世話になることになった。
まだ赤ちゃんで動くこともしゃべる事も出来ないんだけどね。
とりあえず、お腹が空いたな。
「ほぎゃー、うまーっ!」
「お腹が空いたのかしら?困ったわね、教会にはおっぱいが出る人はいないわ」
「表通りの三ツ星パン屋のハンナさんが死産したばかりだと聞いている。今は店を閉めているようだが…」
「そうだわ、彼女は敬虔な信者で、いつもフィーレア様にパンをお供えしてくださるのよ。頼んでみますわ」
10分ほど経って、少しやつれた様子の女性が連れられてきた。
ハンナさんという、火★★★のパン職人だという。
フィーレア様が言ってたパン屋さんだろうか?
お供えを食べていたから美味しさを知っていたのね。
「ハンナさんお願い、捨てられたこの子にお乳をあげてほしいの。謝礼はするわ」
「あぁ……赤ちゃん……」
ハンナさんは私に手を伸ばし、抱き上げてお乳を含ませた。
……美味しい。
粉ミルクなんて売っていないこの世界で、私はひとまず飢えることはなくなったらしい。
そして、泣きながらお乳を飲ませるハンナさん。
最初は抜け殻のようだった彼女の瞳には光が戻っていた。
お互いにとって良かった、winwinの関係だ。
ただし、ママと呼んではいけないんだ。そこだいじね。




