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同じ頃、藍風堂に戻ったお琴は、店の奥で一人、考え込んでいた。
「お琴様、いかがでしたか?」
清兵衛が気遣わしげに尋ねた。
「あの子は、変わらないわ。いつも前を向いて、風のように自由」
お琴は窓の外を見た。夕焼けが空を染めていた。
「清兵衛、私はずっと間違っていたのかもしれない」
「どうなさいました?」
「父上は言っていたわ。『お琴の波と鈴の風。二つが合わさって、真の藍の風となる』と」
お琴は立ち上がり、決意に満ちた表情で清兵衛を見た。
「藍風堂を閉めるわ」
清兵衛は驚いて声を上げた。
「若様、そんな!」
「いいのよ。父上の藍風堂は、私の代で終わりにする。そして、新しい風を起こすの」
清兵衛は主の決意を感じ取り、静かに頷いた。
「かしこまりました。どのようにいたしましょう?」
お琴は微笑んだ。
「明日、改めて鈴のところへ行くわ。今度は、姉として、素直な気持ちで」
窓の外では、風が優しく吹いていた。まるで、新しい始まりを告げるかのように。




