23/32
23
夕暮れ時、鈴は仕事を終えて、茜と共に夕食の準備をしていた。
「お母様、叔母様は優しい人ですね」
茜の言葉に、鈴は優しく微笑んだ。
「そうね。お琴はいつも強がりだけど、本当は誰よりも優しい人なの」
「でも、どうしてお母様を追い出したんですか?」
鈴は少し考えてから答えた。
「それはね、お琴にも事情があったの。父上が亡くなって、店を一人で支えなければならなかった。そんなとき、勝手に家を出て、商売敵の息子と結婚した妹が帰ってきたんだもの」
「でも、火事の時に助けてくれたんでしょう?」
鈴は頷いた。
「そうね。それがお琴の本当の気持ちなんだと思う」
茜は不思議そうに首を傾げた。
「大人って、難しいですね」
鈴は思わず笑った。
「そうね。大人は、時々本当の気持ちを言葉にできないことがあるの」




