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恩人からの金で、鈴は小石川の少し離れた場所に小さな家を借りた。前よりも広く、仕事場としても使える家だった。


「茜、これが私たちの新しい家よ」


茜は新しい家を見回して、嬉しそうに飛び跳ねた。


「広いお家! お母様、ここなら仕事もたくさんできますね」


鈴も笑顔で頷いた。


「そうね。でも、まずは道具と材料を揃えなくちゃ」


鈴は残った金で、染物の道具と材料を揃えた。大きな藍甕、上質の白布、様々な染料となる植物。彼女の技術が花開くための準備が整っていった。


新しい家には小さな庭があり、鈴はそこに藍の苗を植えた。自分の手で藍を育て、染料を作る。それが彼女の夢だった。


「お母様、この青い花は何ですか?」


茜が庭の花を指さした。鈴は微笑んで答えた。


「それは朝顔よ。青い色が美しいでしょう? でも、これは藍とは違うの。藍は葉から染料を取るのよ」


「へえ、不思議ですね」


鈴は茜の頭を優しく撫でた。


「そうね。染物の世界は不思議に満ちているの」


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