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97、ニュース

自宅に帰って夕食を家族でとっている時、皆で見ていたローカルニュースに、半グレたちの事件が報道されていた。

昨日の夕方、廃墟ホテルでのバトルで五十人ほどいた半グレを倒したが、私が三大暴走族の車でその場を去ったのと入れかわりに、十台以上のパトカーがやってきて一人残らず身柄を確保した。全員が卒倒していたため、軽傷者を含めて病院へと搬送(はんそう)し、取り調べができる者から逮捕され、警察の調査を受けている。逮捕した者は四十八時間以内に、書類及び証拠物とともに検察官に送致する手続きをとらなければならない。出来ないなら直(ただ)ちに釈放しなければならないのだ。四十八時間という限られた時間内で、証拠をあげなければならないのが警察の苦労なのだが、今回の事件ほど楽なものはないだろう。夜更けすぎ就寝する時間から、業苦の炎で苦しみだした半グレの面々は、頼んでもないのに犯行を自供し、隠し持っていた証拠物の場所までペラペラ喋るのだから。そのおかげなのだろう。密輸した数百丁の銃を押収した事、警察は余罪があるとみて、調べを進めていることをローカル局のアナウンサーが喋っている。

 画面には犯人グループの半グレが、去年の夏祭りに歩行者天国で暴れ、一般客とケンカし、屋台を次々と破壊、機動隊に物を投げつけている様子が映し出されている。暴れているのはいわゆる二軍の下っ端で、私が昨日バトルした一軍の面々は離れた場所にいた。この祭りは県内トップの不良集団のお披露目(ひろめ)の場であるのだ。高みの見物を決め込んで、捕まらない場所から笑って見ていた。指を差してバカ笑いしているナンバー1の一岡も、冷(さ)めた眼で見ているナンバー2のパウロもその中にいた。

「数百丁の銃か、これは全国ニュースになるな」

 と父親が呟いている。

「恐いわねえ、こんな人達が同じ県にいたなんてねえ」

 と母親が嘆いている。この半グレ、私一人で倒したんだよ。と言ったところで両親は信じないだろう。私は何も言わず、厚切りステーキを頬ばり、画面を見つめる。警察の取り調べで、半グレが次々とそれまでの悪事を口にしたとしても、私の名前は一言も出てこないだろう。一斉射撃された銃弾さえも、空気の壁を作り上げ、私にかすり傷ひとつ付けさせなかった白龍のことだから、私に関する事は発声できないようにしているはずだ。

 翌日になり、正午のニュースを見ていると、昨日、父親が言っていたことが現実になった。逮捕された半グレが全国ニュースでも扱われていたのだ。数百丁の銃を押収したこと以外に、敵対する暴力団員の遺体が、山中から二体発見されたことも合わせて伝えていた。

 昼過ぎから外で待ち合わせしていた鈴ちゃんと合流して、映画を観たり街をぶらついて休日を楽しんでいた。明日、夏祭りでおこなう花火大会を見にいかないかと鈴ちゃんに誘われた。県内最大の夏祭りは、毎年、県庁所在地である隣の市で、七月の第一土曜日から始まる。つまり今日である。歩行者天国にパレード、屋台が連(つら)なって大いに賑(にぎ)わう。そしてその翌日の夜には花火が盛大に打ち上げられる。私はそれほど祭好きではないので断ったが、鈴ちゃんとしてはめずらしく食い下がり、祭りの楽しさや花火のキレイさをアピールするので、そこまで言うなら、明日一緒に行こうと返事した。

「ほんと? 嬉しい。喜ぶと思うよ」

「喜ぶと思う? 誰が?」

「わ、私。言い間違えた。日本語って難しいよね」

 慌てて笑っている鈴ちゃんを見ても、それほど気にならなかった。


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