44、父兄に感謝される①
数日たって下校するために、鈴ちゃんと校門を出ると、前方に停止していた高級車から、制服姿の栞ちゃんと中年男性が降り立ち、こちらに近づいてきた。
「牧野さーん! 横山さーん!」
笑顔で走り寄って私達にお辞儀する栞ちゃん。後からやってきた男性を、
「私の父です」
と紹介した。頭を下げている私達に、
「栞の父親です。この度はいじめられているうちの娘を助けていただいて、本当にありがとうございます」
「お二人に相談に乗ってもらって助けてもらった事を両親に伝えたんです。そしたら父がぜひお礼がしたいと言い出したんで」
鈴ちゃんは、
「いえいえ私は話を聞いただけで、解決したのはリカコちゃん一人の力で」
と恐縮していた。
「そんな事はありません。牧野さんはもちろんですけど、横山さんも、とても優しくしていただきました」
栞ちゃんが嬉しそうに答える。背後にいたガイコツのオーラは、消えてしまってもういない。
「これ、つまらないものですけど」
と洋菓子の詰め合わせを、一箱ずつ渡そうとする栞ちゃんパパ。
「いえいえ」
と拒もうとするが、
「もらってやってください」
と栞ちゃんが頭を下げるので、受け取るしかなかった。
「本当にありがとうございました。名刺を貼ってあるので、何かありましたらご連絡ください。恩返しさせていただきますので」
満面の笑みの栞ちゃんパパはそう言うと、深々と頭を下げて去っていく。栞ちゃんが笑顔で手を振ると、父親の後についていって、二人で高級車に乗り込み、去っていった。残された私達は、包装された菓子箱に貼られた名刺を見つめる。
「井上学習塾の社長さんなのね。栞ちゃんのお父さんって」
「県内にたくさんある塾のチェーン店だよ。そこの経営者なんだね」
包装紙に書かれている店名から、高級洋菓子店なのが分かる。




