43、いじめ禁止宣言③
「いや許さないね。てめえらがした事は完全に犯罪だ。名誉毀損、現場助勢、傷害、脅迫、強盗、恐喝……そして一番許せないのが、栞ちゃんに自殺を考えさせるほど追い詰めた自殺教唆だ」
そう言ってしゃがみ込んだ私は、視線の高さが同じぐらいになった三人に言った。
「お前ら、自分より弱い人間に何したっていいと勝ち誇ってるだろう? じゃあお前らなんかより圧倒的に強いこの私は、お前らからいくら金を巻き上げても、自殺に追い込んでも文句はねえよな!」
三人は青ざめて何も言えない。
「あ、あの……」
遠慮がちに栞ちゃんが声をかけてくる。
「なに栞ちゃん? 今からコイツら、人間サンドバックにしてボコボコにするから、高みの見物とシャレこんでよ」
三人を睨みつけながらそう言うと、三人の震えがさらにひどくなった。特に不良の二人組の方は、顔が真っ青だ。以前行われた中庭のバトルに参加しているので、その夜、業苦の炎で苦しみぬいた過去があるせいだ。
「い、いや、もういいです。謝るならもういいです」
「へ?」
驚いて栞ちゃんを見る。
「許しちゃうの? 嘘でしょ? コイツら大人だったら刑務所に入るようなヒドイこと、栞ちゃんにしたんだよ」
「だ、大丈夫です。もういじめないんなら、それで良いです」
絶句した私は、しばらく栞ちゃんを眺めてやっと言葉にした。
「栞ちゃんってホント良い子なんだねえ」
三人に目をやる。
「おい、心優しい栞ちゃんが、てめえら犯罪者を許してくれるってよ。床に額を擦り付けて、『もう二度といじめはしません。すいませんでした』って謝罪しやがれ!」
三人は床に額を擦り付け土下座をすると、言われた通りの言葉を口にし、謝った。私は土下座している三人の背中の上に乗ると、トランポリンのように飛び上がって交互に、背中を踏みつけ続けた。
「おい、次やったら地獄見せてやるからな」
そう言って背中を下りると、しゃがみ込んで苦悶の表情の三人を睨み据える。
「私が決めた、いじめ禁止を守れねえんなら、お前らの学校生活、滅茶苦茶にしてやるからな、分かったか!!」
「は、はい! す、すいませんでした!」
「あと恐喝した金、一円残らず栞ちゃんに返せよ」
「は、はい!」
三人とも顔面蒼白で、亀木にいたっては泣いていた。今夜行われる業苦の炎で、この三人ならすぐに降参するだろう。不良どもにいたっては二度目なんだから運が悪い。
「おいクラスのムードメーカー、ビービー泣いてんじゃねえ、明るいのがご自慢のクラスが白けるだろうが」
そう言って立ち上がると、栞ちゃんに近づき、肩をポンポン叩いた。
「何かあったら気楽に声かけてね」
と笑う。
「ほ、本当にありがとうございました」
深々とお辞儀をされた。一件落着したので教室を出ようとしたら、廊下が見物客でギッシリになっている。出て行こうとしたら慌てて人垣が割れて、その中を歩いて自分の教室に戻った。昼休みが終わり、午後の授業になっても白龍による各教室の巡回は続き、翌日になってもしていた。しばらくするつもりらしい。
栞ちゃんをいじめていた三人組にお灸を据えたことは校内中に知れ渡り、特にそれまでいじめを行っていた、加害者生徒らを震え上がらせた。そのことは白龍が巡回することで、全校生徒の行動、会話が脳内に入ってくるので、リアルタイムで知ることが出来た。こうしてうちの中学校からいじめが撲滅された。当然、いじめられっ子のオーラが消え去った。
こんなことは、私や白龍のような不思議な存在に頼らなくても可能なのだ。私の代わりに警察が校内に常駐すればいい。白龍が巡回しなくても、校内に防犯カメラを設置すればいい。それで済む話なのだ。




