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22、業苦の炎①

鈴ちゃんと別れた私は、両親に見つからないように夜中の外出から帰宅すると、まずシャワーを浴び、パジャマに着替え自室に戻った。白龍はとぐろを巻いて、部屋の天井付近に浮かんで体を休めている。机に向かい、ホットコーヒーを飲んで一息(ひといき)つく。そして先程の出来事を振り返った。

 高架下でクラスの不良娘たちとバトルする事になった時、私は白龍が鬼オーラを喰いちぎることを期待していたがそれはおこらなかった。今思えば出来なかったと言った方が正確なのだろう。通常オーラの鬼に対して、覚醒オーラの白龍は干渉や接触ができないのだと思う、仮説にすぎないが。それでも凶悪オーラが鈴ちゃんを怪力にしたように、白龍も私に人間離れした格闘能力を与えてくれて、そのお陰で圧勝した。幼い頃からそばにいてくれた白ヘビも、自立しているので覚醒オーラに違いなく、本体の人間である私の傷を心身ともにこれまで回復してくれた。ただ非力な存在なので、格闘能力を授けるまでは出来なかったのだろう。

 私はパソコンを開き、龍について調べた。伝説によると蛇から龍になるまで二千年ぐらいの歳月がかかるらしいが、スピード時代の影響か短縮されている。龍にもオスやメスはあるらしく、オスの龍は角が太く、硬い毛を持ち、分厚いウロコをしていて、全体的にゴツゴツしている。白龍は角も細く、やわらかな毛で、薄いウロコで目立たない。全体的にしなやかなのでメスの龍なのだろう。それでも鈴ちゃんを支配していた凶悪オーラに対して、大口を開け、円錐の尖った歯で噛みつき、鰐(わに)のような強靭な顎(あご)で喰いちぎる時の圧倒的な破壊力が、その優美な体の中に秘められていた。白い色の龍は、他の色の龍が追い付けないほど最速らしく、凶悪オーラが反応もできないまま退治された事でそれは証明されていた。五本指というのは龍の中でも最高位なので、格式の高い龍なのかもしれなかった。ただ白龍は、龍の特徴が二つなかった。一つ目はヒゲが生えていなかった。これは龍になったばかりなのでこれから生えてくるのか? 二つ目は宝珠(ほうじゅ)と呼ばれている玉を手に持っていなかった。正確には、如意宝珠(にょいほうじゅ)と呼ばれるこの玉は、どんな願いもかなえる神聖な玉らしく、その無敵のアイテムがなかった。これもそのうちに現れてくるのか? まあ、今でも十分すぎるほどの強さを与えてもらっているから困る事はないが。

 時計を見ると、早く寝ないと学校に遅刻しそうな時刻になっているのでベッドに潜り込み、目を瞑る。興奮して眠れないかと思っていたが、疲れがたまっていたのだろう。一瞬で深い眠りに落ちた。そこで不思議な夢を見た。

 三百六十度、地平線が広がる大地。青空に程よく白い雲が浮かんでいる。私がそこに立っていて、十メートル程前方に、白龍に授かった格闘能力で倒した不良三人娘がこちらに向かって立っている。それぞれの背後に鬼オーラが立っていて、白龍は、私と三人娘の周辺をゆっくりと旋回している。それ以外の登場人物は存在しない、そんな夢。三人娘が口汚く私を罵る。高架下のバトルで敗北した事を恨んで、次はただじゃ済ませないからな、的な罵声の数々。私と三人娘に共通しているのは、その場から前にも後ろにも動けずに立っていることだ。


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