23、業苦の炎②
突然、三体の鬼オーラが炎に包まれ、立ったままのたうち回る。声を発せないオーラに変わって本体の三人娘が「ギャー熱い」と絶叫し、同じように立ったままのたうち回っている。過去におこなった悪業によって、耐え難いほどの強い苦しみを受けることを【業苦】と呼ぶが、炎に包まれて絶叫しているので【業苦の炎】を、三人娘とその鬼たちは味わっていた。素知らぬ顔で宙を泳いでいるが、白龍の仕業であることは明白だった。覚醒オーラである白龍は、通常オーラである鬼オーラに手を出せないが、私とバトルをして接触をした人間なら、この夢という別次元の場においてはそのオーラに手を出せるらしい。事実、鬼たちを炎に包んで苦しめている。そして鬼の苦しみを、そのまま本体である三人娘も味わい絶叫している。しばらくして炎が消えると、鬼たちも三人娘も肩で息をしながら呼吸を整える。そして苦しみがなくなると再び私に対して罵りはじめる。するとまた業苦の炎に包まれ、地獄の苦しみを味わった。それを繰り返してくるとある事に当然気がつく。私に対する復讐心、敵意がある限りこの無間地獄に終わりがこないことに。子分の二人、犬塚、牛島は、燃え続けて背後の鬼が黒焦げになった頃、私に対して罵声を一切口にしなくなった。そのお陰で鬼は炎に包まれなくなり、自身も苦しみから解放された。リーダー格の猫藤もしばらくは反抗を続けていたが、鬼オーラが炎に包まれながら、のけ反り始め、ついには背骨ごとへし折られた。立ったままの鬼が頭頂部を大地に載せた時、猫藤自身も絶叫しながら口から泡を吹き、立ったまま気絶した。そして次に目を覚ました時は、もう二度と私に対して罵ることはなかった。かわりに不良三人娘は怯えた目で私をちらりと見ると、慌てて視線を逸らし、「すいません、すいません、すいません」と小声で謝り続けた。私に対して完全に戦意を喪失していた。これは夢のような形をとっているが、私に対して敵対行為をとる人物のオーラを、業苦の炎で包むことで、その復讐心を根絶するのが目的なのだろう。私と敵対する者は、白龍から与えられた格闘能力によって、昼間は肉体的に完敗し、夜眠っている間に、業苦の炎によって精神的にも完敗し、私に対して完全降服するのだ。個人間の争い『ケンカ』でも、国家間の争い『紛争』『戦争』でも、相手の戦意がなくならない限り、争いは終わる事なくドロ沼化していく。白龍は業苦の炎によってその問題を解決してくれるのだ。ありがたいことである。至れり尽くせりであることに安心した私は、その後本来の睡眠に入り、熟睡した。




