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終章 ツワブキの咲く庭で
朝日が本宮の屋根に射し込む頃、伊達の兵は再び陣を整え始めていた。戦に勝ったわけではない。だが、敗北は逃れた。それだけで十分な戦果であった。
「これは……左月斎の勝利と呼ぶべきだな、そして、今度は余が勝利を手繰る」
この戦い以降、佐竹の北方への侵攻は影を潜めた。
数年後――
伊達政宗は奥州の覇権を握り、名を歴史に刻んだ。
しかしその陰に、幾度も語り継がれた名がある。
鬼庭左月斎良直――智を以て導き、命を以て繋いだ男。
その男が住んでいた屋敷の庭の片隅には、今もひっそりとツワブキの花が咲いていた」
上(完)




