表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺は女騎士の専属ヒーラーのはずなのに…なぜか“世界の破壊システム”の理不尽も治療する  作者: 積と和〝
第三章 最終決戦

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
34/39

最終話 女神との対話、そして“世界の再定義”

世界が、止まっていた。

風は吹かず、雲も動かない。

人々はそのままの姿で、ただ“存在している”。


その中心。空の奥。

俺は一人、立っていた。

目の前にあるのは、“それ”、女神機構。

そして、その奥にいる“観測者”。

「最終段階へ移行」

声は、もう無機質ではなかった。

どこか人に近い響きを持っている。

「例外変数・加賀自然」

「再構築因子として、最終選択を要求する」


俺は一歩、前に出る。

「……まだ選ばせるんですね」

「選択は必要条件」

「世界は意思によって定義される」

その言葉に、わずかに苦笑する。

(最初から、そういう話だったのか)

「選択肢提示」

光が三つ、浮かぶ。

だが今回は違う。

もう説明は不要だった。

(消えるか)

(全部消すか)

(作り直すか)

俺は振り返る。


そこにいるのはセローナ。

ジャスミー。

サンガーデン。

少し離れた場所に――リーナ。


村、人々、日常。

全部、“現実”だ。


セローナが言う。

「迷うな」


ジャスミーが笑う。

「どうせ決まってるでしょ」


サンガーデンが静かに言う。

「お前が選んだものが、この世界になる」


リーナは、何も言わない。

ただ、まっすぐ見ている。


俺は、息を吐く。

「……作り直さない」

物音ひとつしない。

「消さない」

光が揺れる。

「このままでいい」

女神機構が、わずかに停止する。

「確認」

「再構築を拒否」

「では、現状維持か」


俺は首を振る。

「違う」

一歩、前に出る。

「“選べる世界”にする」

沈黙している。

「初期化も、強制もいらない」

「誰かが勝手に決める世界じゃなくて」

「それぞれが選べる世界にする」

光が、大きく揺れる。観測者の“視線”が、初めて明確に動く。

「……非効率」「不完全」

だが。


「それでいい」

俺は言い切る。

「不完全でも、選べる方がいい」


長い沈黙。

そして――「承認」

世界が、動く。

女神機構の光が変わる。

制御ではない。“補助”へと。

「初期化機能停止」

「強制再構築機能解除」

「観測モード移行」

世界の層が、ほどける。

固定されていた未来が、解放される。

風が吹く。雲が流れる。

人が動き出す。

“世界が再開する”。


セローナが剣を肩に担ぐ。

「終わったな」


ジャスミーが大きく息を吐く。

「なんか……とんでもないことした気がする」


サンガーデンが静かに言う。

「いや、“戻した”だけだ」


俺は村を見る。

リーナが、そこにいる。

ちゃんと、生きている。


その姿を見て、ようやく実感する。

(終わった)


リーナが駆け寄ってくる。

「……ジネンさん」

少しだけ涙ぐみながら。

でも、笑っている。

「おかえり」


その一言で、すべてが報われる気がした。

俺は小さく笑う。

「ただいま」


空は青い。風はやわらかい。

世界はもう、“決められるもの”じゃない。

これからは――“選んでいくもの”だ。



エピローグ


それからしばらくして俺たちはまた、旅に出ることになった。

セローナは相変わらず前を歩き。

ジャスミーは騒がしく。

サンガーデンは静かに周囲を見る。


そして――村を出るとき。

リーナが言った。

「……また、帰ってきてね」


俺は頷く。

「ああ、必ず」


それは約束だ。

この世界はもう、消えない。


でも――守りたい場所は、変わらない。

だから俺は歩く。

治癒の力で人を救いながら。


この世界で、自分の選択で生きていく。


本日3話目です。

あと、番外編をいくつか投稿します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ