表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺は女騎士の専属ヒーラーのはずなのに…なぜか“世界の破壊システム”の理不尽も治療する  作者: 積と和〝
第三章 最終決戦

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
28/39

第4話 女神機構と、“世界初期化の真実”

白い扉の先は、空間ではなかった。

正確には、“概念の中枢”だった。

足を踏み入れた瞬間、音が消える。

風も、温度も、距離すら曖昧になる。


「……ここ、現実じゃない」

ジャスミーの声が震える。


セローナが周囲を見渡す。

「戦場ですらないな」


「もっと上だ」

サンガーデンが言った。

「これは“管理層の中心領域”だ」

そこにあったのは、巨大な構造体だった。

人の形をしていない。神殿でもない。

ただ、無数の光の線が絡み合い、ひとつの“意思”のように動いている。


「女神機構」

サンガーデンが静かに言う。

「この世界を維持している中枢装置ということだ」


ジャスミーが顔をしかめる。

「装置って……やっぱりそういう扱いなの?」


「神ではない」

サンガーデンがいう。

「“機能”だ」


その時、空間が揺れる。そして声が響く。

「観測対象確認」

「例外変数:加賀自然」

構造体の中心から、光が集まる。

そこに“映像”が浮かぶ。

世界の始まりのような光景。


「この世界は本来、自己修復型のシミュレーションとして設計された」

声は淡々と語る。

「生と死、文明と崩壊を繰り返すことで均衡を保つ構造」


セローナが眉をひそめる。

「つまり、実験場か」


「概ね正しい」


映像が変わる。崩壊し続ける世界。

何度もリセットされる文明。

「それが“女神機構”」

「世界を初期化し、再構築する装置」


ジャスミーが震える。

「じゃあ今の世界も……何回目かってこと?」


「その通り」


俺は一歩前に出る。

「じゃあ俺は?」


構造体の光が収束する。

「外部干渉変数」

「初期化履歴に存在しない存在」


セローナが俺を見る。

「やっぱり“外”か」


声は続ける。

「通常、初期化は完全に閉じた系で行われる」

「しかし過去一度だけ、“例外”が発生した」


映像が変わる。

崩壊しかけた世界。そこに、“異物”が落ちてくる。

それが――俺だった。


ジャスミーが息を呑む。

「……転移って事故じゃないの?」


声は続ける。

「否」

「“再構築実験の副産物”」


セローナが低く言う。

「つまり、作られた可能性があるってことか」


「その解釈も可能」


サンガーデンが静かに言う。

「神心教が言っていた“外部変数”と一致するな」


声が続く。

「例外変数は初期化の安定性を崩す」

「しかし同時に、新たな再構築を可能にする」


構造体の光が揺れる。

「よって選択が発生する」

「排除か、利用か、融合か」


セローナが剣を抜く。

「ふざけるな」


俺は静かに言う。

「それで、今はどれなんですか」


そして答えは。

「未決定」


 ジャスミーが小さく笑う。

「一番嫌なやつじゃんそれ……」

そのとき、構造体の奥から、別の声。

「観測者接続要請」


 サンガーデンが目を細める。

「最終観測者か」


光が一点に収束する。

そこに“何か”がいる。だが形はない。

ただ、“視線だけ”がある。

「確認」

「例外変数は安定化可能」


俺は理解する。

(これは評価だ)

(敵でも味方でもない)

(ただの“判断”)


セローナが一歩前に出る。

「こいつは渡さない」


ジャスミーも立つ。

「同じく」


サンガーデンは静かに言う。

「私もだ」


その瞬間、視線が揺れる。

「観測結果更新」

「独立変数化確認」

構造体が静かに言う。

「決定保留」

「例外変数は観測対象として保持」

光が消える。

空間が戻る。

気づけば、扉の前に戻っていた。

だがもう、同じ場所ではない。


セローナが剣を収める。

「終わったのか?」


「終わってない」

サンガーデンは即答する。


俺は扉を見つめる。

(利用でも排除でもない)

(“観測”)


つまり俺はまだ――

“途中”だ。


その夜。

聖・女神教本部は静かに動き始める。

「例外変数保持決定確認」

「最終初期化計画、修正へ移行」


神心教中枢。

「観測者との直接リンク確立」

「例外個体は世界再構築キーとして確定」


世界のルールそのものが、書き換えられ始める。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ