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俺は女騎士の専属ヒーラーのはずなのに…なぜか“世界の破壊システム”の理不尽も治療する  作者: 積と和〝
第三章 最終決戦

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第3話 聖・女神教本部潜入と、“枢機司祭”の出現

聖・女神教本部は、建物ではなかった。

正確には、“建物の形をした階層構造”だった。

一歩入った瞬間から、世界の密度が変わる。

壁はあるのに、奥行きが一定ではない。

廊下はまっすぐなのに、進むたびに“別の場所”へ繋がる。


「……迷宮だな」

セローナが短く言う。

剣はすでに抜かれている。


「これ、物理構造じゃない」

ジャスミーが顔をしかめる。

「空間のルールごと変わってるよね」


「正解だ」

サンガーデンは即答する。

「ここは“信仰によって構築された領域”だ」


その言葉に、俺は違和感を覚える。

(信仰で空間が作られる?)

(いや、逆か)

ここは“そう信じられることで成立している構造”だ。


進むほどに、人の気配は減る。

代わりに“圧”が増えていく。

見られている感覚ではない。

“評価されている感覚”。


そのときだった。廊下の奥に人影。

白い法衣、だが今までと違う。

装飾が過剰ではない。むしろ“削ぎ落とされている”。

「枢機司祭」

サンガーデンの声が低くなる。


「侵入確認」

男の声は静かだった。

「観測対象:ジネン」

「予定外の進行」


セローナが一歩前に出る。

「お前らの“予定”なんて知るか」

剣を振るう。

だが――刃が届く直前で“止まる”。


「無意味」

枢機司祭は動かない。

ただ、空間が彼を避けている。

「ここは“確定領域”。結果は既に決まっている」


ジャスミーが魔法を放つ。

だが――発動しない。

「また!? なんで!」


「“結果固定”だ」

サンガーデンが低く言う。


枢機司祭が視線を向ける。

「治癒干渉体」

「外部変数」

「……危険度修正対象」


俺は一歩前に出る。

その瞬間、空間が重くなる。

(またか)

(拒絶じゃない。これは“決定”だ)


「ヒール」放つ。

しかし今回は違う。

光が届く前に“意味ごと否定される”。

(結果が固定されているなら)

(その前に干渉するしかない)

俺は一段深く“層”を見る。


見えた。

この空間は「戦闘結果が確定した状態」で維持されている。

つまり――“負けることが前提の世界”。


「なら……」

俺は手をかざす。

「その前提を壊す」

「ヒール」

“治癒”ではない。今度は結果の未確定化”を行った。


一瞬、空間が揺れる。

枢機司祭の表情が初めて変わる。

「……結果固定が崩れた?」


セローナが動く。

「今だ!!」

一閃、今度は通る。


ジャスミーの魔法が爆ぜる。

そしてサンガーデンの矢が“確定点”を撃ち抜いた。


枢機司祭は後退する。

「再計算」

「結果未確定領域発生」

その言葉を残し、消える。


廊下の“重さ”が少しだけ軽くなる。


セローナが息を吐く。

「今の……ほんとにギリギリだったな」


「ギリギリすぎる」

ジャスミーはその場にしゃがみ込む。


サンガーデンは俺を見る。

「お前の能力はさらに一段階進んだ」

「“世界の結果そのもの”に干渉している」


俺は自分の手を見る。

(治癒じゃない)

(修復でもない)

(“確定を壊す力”)


その奥、さらに深い階層へ続く扉が見える。

白く、静かで、異様に整っている。


ジャスミーが小さく言う。

「ねぇ……これ以上行ったら本当に戻れない気がするんだけど」

誰も否定しない。


セローナが剣を肩に担ぐ。

「最初から戻るつもりはない」


サンガーデンが静かに言う。

「この先に、“女神機構”がある」


俺は扉を見る。

(世界の初期化)

(転移の理由)

(俺の正体)

全部、ここにある。


そして俺たちは歩き出す。

“確定された敗北”を壊すために。

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