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俺は女騎士の専属ヒーラーのはずなのに…なぜか“世界の破壊システム”の理不尽も治療する  作者: 積と和〝
第三章 最終決戦

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第2話 聖域突破と、“世界が拒絶する場所”

聖・女神教本拠地へ向かう道は、道ではなかった。

正確には、“進むほど現実が薄くなる領域”だった。

森は同じ形を繰り返し。

空は一定の色から変わらない。

足元だけが、どこか不安定に揺れている。


「……これ、道っていうか」

ジャスミーが顔をしかめる。

「空間のバグだよね」


セローナは前を見たまま言う。

「正面から入れるわけがない場所ってことだ」


「そういうことだろうな」

俺も頷く。

ここは“侵入を前提にしていない世界”だ。


サンガーデンが足を止めた。

「来る」

その瞬間、空間が“折れる”。


現れたのは人ではなかった。

鎧でもない。魔物でもない。ただ、“境界そのものが形を持ったような存在”。

「聖域防衛機構」

サンガーデンが低く言う。


「侵入者確認」

無機質な声。

「存在階層:未登録」

「排除対象」


セローナが即座に動く。

一閃。だが――剣が“届く前に止まる”。

「……っ」

空間そのものが固い。


ジャスミーの魔法も発動しない。

「またこれ!? なんで全部止まるの!」


「この領域は“拒絶層”だ」

サンガーデンの声が冷たい。


拒絶、つまり“存在してはいけないものを排除する仕組み”。

(ここは戦場じゃない、フィルターのようなものだ)


防衛機構が一歩踏み出す。

その瞬間――世界が“押し潰される”。

重力でも圧力でもない。“存在の否定”。


「っ……!」

セローナが膝をつく。

ジャスミーも息が詰まる。

サンガーデンですら、わずかに動きが鈍る。

俺は一歩踏み出す。

その瞬間、俺は理解した。

(これは攻撃じゃない。“ここにいることを否定する仕組み”だ)


「ヒール」

反射的に放つ。だが――消える。

届く前に“拒絶されている”。


(なら)

俺はもう一段階深く“見る”。

世界の層。拒絶の構造。

見えた。

これは防御じゃない。

“存在許可のチェックポイント”。

通過できない者は、存在ごと消される。


「なら、上書きする」

俺は手をかざす。

「ヒール」

今度も“治癒”ではない。拒絶そのものへの干渉。


光が広がる。一瞬、防衛機構が止まる。

「……認識異常」


セローナが動く。

「今だ!」

今度は通る。


ジャスミーの魔法が炸裂する。

サンガーデンの矢が“境界の核”を射抜く。


防衛機構が後退する。

「侵入許可不整合」

「再評価」

そして消える。


森は元に戻らない。

だが“進める道”が一つだけ開く。


ジャスミーが息を吐く。

「今の……ギリギリだったね」


「ギリギリじゃない」

セローナは淡々と言う。

「毎回だ」


サンガーデンが俺を見る。

「お前の干渉がなければ突破できなかった。拒絶破壊だったな」


俺は自分の手を見る。

(治す)

(戻す)

(書き換える)

もう線が曖昧だ。


その夜。開いた先の森の奥で遠くに“白い建造物”が見える。

聖・女神教本部の外郭。


ジャスミーが小さく言う。

「ほんとに来ちゃったね」


「来るしかなかった」

セローナは迷いがない。


サンガーデンが静かに言う。

「ここから先は“層の内側”だ」

「神心教の管理領域でもない」


つまり完全に敵の本丸。


俺は一度だけ深呼吸する。

(ここから先は)

(戻れない)


そして歩き出す。白い建造物へ。

“女神復活”という名の、世界初期化装置へ。

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