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俺は女騎士の専属ヒーラーのはずなのに…なぜか“世界の破壊システム”の理不尽も治療する  作者: 積と和〝
第三章 最終決戦

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第1話 崩壊した都市の先と、“選ばれた進路”

ラグナ商都の崩壊から三日。

都市は完全には戻っていなかった。

だが、完全に壊れてもいない。

ただ――“別の形に組み直された街”になっていた。

建物は残っている。

人もいる。

けれど、どこか現実感が薄い。


「……気持ち悪いな」

セローナが短く言う。

「生きてる街じゃなくて、“記録された街”みたいだ」


俺たちは都市の外れにいた。

これ以上ここにいる理由はない。

聖・女神教は撤退した。

だがそれは敗北ではない。

“次の段階への移行”だと、誰もが分かっている。


「で、これからどうするの?」

ジャスミーが荷物を背負い直しながら言う。

「ここに残るのは無理だよね」


「当然だ」

セローナがいった。


サンガーデンは地図を広げる。

その指が一つの地点で止まる。

「聖・女神教の“巡礼圏”に入る。つまり本拠地に近い」


ジャスミーが顔をしかめる。

「え、それって……敵のど真ん中行くってこと?」


「結果的にはそうなる」


俺は地図を見つめる。

(ここまで来た以上、逃げる選択肢はもうない)

それに――この世界の“構造”を知ってしまった以上、放置はできない。


セローナが剣を軽く叩く。

「決まりだな。進もう」



そのとき風が止まった。

空気が一瞬だけ“静止”する。


「……来る」

サンガーデンの声が鋭くなる。


何もない空間に、文字が浮かぶ。

金色の光、そして“声”。

「最終観測補助接続」

「対象ジネンへ情報開示」


ジャスミーが一歩下がる。

「またこれ系……ほんと心臓に悪いんだけど」


空間が裂ける。

今度は戦闘ではない。

“記録”が流れ込む。

それは映像だった。

世界が作られる前のような光景。

無数の構造。積み重なる層。

そして――一つの“核”。


声が続く。

「この世界は三層構造で管理されている」

「第一層:生活世界」

「第二層:観測管理層」

「第三層:初期化制御層」


セローナが眉をひそめる。

「また階層か」

「すべてが階層だ」

声は淡々と続く。

「そして現在、第三層に異常発生」

「原因不明の“外部接触”」


映像が切り替わる。

そこに映っていたのは――俺だった。


ジャスミーが息を呑む。

「え……なにこれ……」


声が続く。

「転移体・加賀自然」

「本来存在しない座標からの侵入」


セローナが俺を見る。

「お前、やっぱり“呼ばれた側”なのか」


俺は言葉を失う。

(呼ばれた。転移じゃなくて?)


声は続ける。

「本個体は初期化制御層の安定性を破壊する可能性あり」

「同時に、再構築因子としての利用価値も確認」


ジャスミーが怒る。

「利用って何よ!」


だが声は止まらない。

「選択肢提示」

「第一:排除」

「第二:拘束」

「第三:協働」


セローナが剣を抜く。

「ふざけるな」

同時に映像が消える。

そして風が戻ってきた。


サンガーデンが静かに言った。

「つまり、世界の上層はお前を“処理対象”か“鍵”として見ている」


ジャスミーが小さく呟く。

「どっちにしても普通じゃないやつ扱いじゃん……」


俺は空を見る。

(やっぱり最初からそういう位置か)


セローナ。

「なら決まりだ。選ばせる前に、選びに行く」


ジャスミーが顔を上げる。

「どこに?」


サンガーデンが答える。

「聖・女神教本部」

もう逃げ道はない。


俺はゆっくり頷く。

「はい、では行きましょう」


遠くで鐘が鳴った。

今度は都市ではない、もっと遠く。

世界の“中心方向”から。


誰もまだ知らない。この旅はもう“冒険”ではない。

――世界の再定義戦争だ、ということを。

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