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俺は女騎士の専属ヒーラーのはずなのに…なぜか“世界の破壊システム”の理不尽も治療する  作者: 積と和〝
第二章 旅立ち

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第8話 聖・女神教の“女神復活計画”と、転移の本当の意味

最終観測者との接触から一夜。

ラグナ商都は、表面上いつも通りに戻っていた。

だがそれは“戻った”のではない。

ただ、何事もなかったように“上書きされた”だけだ。


「……気味が悪いどころじゃないな」

セローナが言う。

剣はいつでも抜ける距離に置いてある。


その日の昼。

神心教からの男が再び現れた。

今度は一人ではない。

背後に、記録装置のような魔導器を抱えた複数の影。

「情報更新」

淡々とした声。

「聖・女神教の活動に関し、上位決定事項が下された」


部屋の空気が変わる。

ジャスミーが小さく身構える。

「上位決定事項って……何それ、嫌な予感しかしないんだけど」


サンガーデンは黙って男を見ている。


男は続ける。

「聖・女神教の目的は“女神復活”ではない」

一拍。

「正確には――“世界初期化プロトコルの起動”」


セローナの目が細くなる。

「初期化……だと?」


「はい」

即答だった。

男は淡々と説明を続ける。

「この世界は一度、設計された後に歪みが蓄積している」

「聖・女神教はその歪みを“リセット”しようとしている」


ジャスミーが顔を引きつらせる。

「それって……全部消すってこと?」


「結果的にはそうなる」

男は否定しない。


サンガーデンが低く言う。

「女神とは何だ」


その問いに、男は少しだけ間を置く。

「“初期化鍵”」


俺はその言葉を反芻する。

(鍵)

(世界をリセットするための)


男は続ける。

「聖・女神教は“女神の復活”ではなく、“女神機構の再起動”を目指している」

「それにより世界を初期状態へ戻す」


セローナが剣の柄を握る。

「つまり、全部消して作り直すってことか」


「概ね正しい理解です」


ジャスミーが震えた声で言う。

「それ、普通に世界滅亡じゃん……」

誰も否定しない。


そのときだった。

俺の中で、点が繋がる。

(神心教=維持)

(聖・女神教=再構築)

(最終観測者=観測)

(そして俺=例外)


俺は問いかける。

「じゃあ……俺は何なんですか」

男は即答しない。

だが、静かに言った。

「あなたは“初期化に対する例外耐性体”」

沈黙。意味が一瞬で理解できない。

だが、理解してしまうと重い。


男は続ける。

「通常、この世界は初期化される予定だった」

「しかし“あなたの存在”が干渉した可能性がある」


セローナが一歩前に出る。

「つまりこいつがいるせいでリセットできないってことか」


「因果関係は未確定です」

男は淡々と返す。


ジャスミーが小さく呟く。

「え、それって……原因ってこと?」


「断定はできない」


サンガーデンが静かに言う。

「だが結果として、世界は歪んでいる」


男は最後に言う。

「聖・女神教は第九段階へ移行する」

「都市単位ではなく、領域単位の初期化が始まる可能性がある」

その言葉を残し、男は消える。


静寂。セローナが短く吐き捨てる。

「世界ごと巻き込まれてるな」


ジャスミーは机に突っ伏す。

「もうスケールがでかすぎて理解追いつかないんだけど……」


サンガーデンは俺を見る。

「お前はどうする」


俺は少しだけ考える。

(元は社畜、気づいたら異世界)

(そして世界の“例外”)


俺は静かに言う。

「……少なくとも、全部消されるのは嫌ですね」


セローナが小さく笑う。

「珍しくまともな理由だな」


その夜。宿の窓から外を見る。

都市は静かだ。

だが、その下では確実に“何かが準備されている”。


遠く。聖・女神教本部。

「第九段階移行承認」

「領域初期化準備開始」


神心教中枢。

「観測結果更新」

「例外個体は“初期化阻害因子”として確定」

「対応未定」


世界は、終わりと始まりの境界へ近づいていく。

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