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俺は女騎士の専属ヒーラーのはずなのに…なぜか“世界の破壊システム”の理不尽も治療する  作者: 積と和〝
第二章 旅立ち

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第6話 神心教の介入と、初めて明かされる世界の設計図

上位個体との戦闘から二日。

都市は表面上、いつも通りに戻っていた。

だがそれは“修復”ではない。

ただの“上書き”だ。

壊れた部分に、別の現実を被せているだけ。


「気持ち悪いな、この街」

ジャスミーが窓の外を見ながら呟く。

いつもの明るさは薄い。


その夜だった。

宿の扉が、音もなく開く。

「……来客だ」

セローナの声は短い。


次の瞬間、部屋に“圧”が落ちる。

空気が変わる。

重いのに、静かすぎる。

入ってきたのは一人の男だった。

白い外套。

無駄のない姿勢。

だが何より異質なのは――“感情のなさ”だった。


「神心教中央管理局」

男は淡々と言う。

「介入要請により来訪した」


セローナが剣に手をかける。

「神心教……今度は何の用だ」


「説明です」

男は視線をこちらに向ける。

「この世界の“設計図”が破損している」


ジャスミーが眉をひそめる。

「設計図……?」


男は頷く。

「本来、この世界は均衡状態にある」

「生と死、治癒と破壊、秩序と変異」


サンガーデンが静かに言う。

「その均衡を管理しているのが神心教か」


「正確には“維持装置”だ」

男は答えた。


俺は問いかける。

「じゃあ聖・女神教は?」


男は一瞬だけ間を置く。

「逸脱管理対象」


「逸脱?」

セローナの声が低くなる。


男は続ける。

「彼らは“再構築”を行おうとしている」

「現在の設計を破壊し、新たな秩序を作るために」


ジャスミーが顔をしかめる。

「それってつまり……戦争じゃん」


「すでに戦争です」

男は言った。空気が重苦しい。

なおも男は続ける。

「そしてあなたは、そのどちらにも属さない」

視線が俺に向く。

「“設計外変数”」


セローナが一歩前に出る。

「それは何だ」


「本来存在しない誤差」

淡々とした言葉。

「世界の均衡において、修正不能な異常」


ジャスミーが小さく呟く。

「……あたしたちの仲間、バグ扱いされてる?」


「表現としては正しい」

男は否定しない。


サンガーデンが静かに言う。

「それで、神心教はどうする」


男はいう。

「監視、そして維持」


「排除はしないのか」

セローナの問いに、男はわずかに間を置く。

「できない」

空気が変わる。


その一言はあまりにも重い。

神心教は“世界を管理する側”でありながら――

俺を排除できない。


男は続ける。

「あなたの能力は“修復”ではない。“再定義”に近い」


俺は息を呑む。

「再定義……?」


「壊れた構造を元に戻すのではなく、“正しい形に再構築する”」


ジャスミーが小さく震える。

「それって……神様みたいじゃん」


「違う、神ではない」

男はいう。

「“外部変数”だ」


セローナが剣を握り直す。

「つまり、お前らはそれを観測しているだけか」


「そうだ」


サンガーデンが静かに言う。

「神心教も万能ではないということだな」


「その通り」

男は淡々と答える。


俺は窓の外を見る。都市は静かだ。

だが、その静けさの下で――何かが確実に動いている。


男は最後に言う。

「警告する。聖・女神教は“再構築段階”に入っている」

「次は都市単位では済まない」

そして、消えるように去る。

扉が閉まる。静寂が訪れた。


セローナが低く言う。

「結局、全員敵か」


「違う」

サンガーデンが答える。

「全員が“違う目的”を持っているだけだ」


ジャスミーが小さく笑う。

「じゃああたしたちは?」

誰もすぐには答えない。


俺は静かに言う。

「……壊れたものを戻す側、かな」


その夜。遠く、聖・女神教本部。

「神心教介入確認」

「対象ジネン、観測継続不能領域へ接近」

「計画第八段階移行」


さらにその上。

神心教中枢。

「設計図破損率上昇」

「外部変数の影響拡大」

「最終観測者の承認待ち」


静かに。世界は“制御不能の方向”へ傾き始める。

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