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俺は女騎士の専属ヒーラーのはずなのに…なぜか“世界の破壊システム”の理不尽も治療する  作者: 積と和〝
第二章 旅立ち

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第1話 旅路の始まりと、“世界の歪み”

第二章開始です。

村を出て三日目。

道は、静かだった。

だがその静けさは、もう安心ではない。

“何かが常に見ている”ような感覚だけが、ずっと残っている。


「……やっぱり、外は違うな」

俺の隣でセローナが言う。

いつもより少しだけ警戒が強い。

「村の外は全部“戦場候補”だと思え」


「物騒すぎますね」

俺は苦笑する。

だが否定はできない。


少し後ろでは、ジャスミーが荷物を抱えてふらふらしている。

「ねえこれ絶対重いって! 絶対重いって!」


「文句言うなら減らせ」


「減らしたらご飯なくなるじゃん!!」

相変わらずだ。

ただその明るさが、少しだけ救いでもある。


さらに後方。

サンガーデンは無言で森を見ている。

「……監視の痕跡がある」


「またですか」


「常にだ」

淡々とした声。だがその意味は重かった。


俺は歩きながら考えていた。

(村を出て正解だったのか)

答えはまだ出ていない。

でも一つだけわかる。

聖・女神教は“待つ側”じゃない。“追う側”だ。


そのときサンガーデンが足を止めた。

「前方、異常」


「魔力反応?」


「いや……違う」

彼女の声が少しだけ変わる。

「“壊れている”」


森の中。

倒れている人影。

だがそれは“死体”ではない。

生きている。

しかし――

まるで“中身だけ抜かれた”ような状態。


「……これ、なに」

ジャスミーが青ざめる。


俺は近づく。

治癒をかける。

「ヒール」


だが――

反応しない。

「……治らない?」

初めての現象だった。


サンガーデンが静かに言う。

「これは“破壊”ではない」

「“欠損”だ」

「魔力そのものが抜き取られている」


セローナが顔をしかめる。

「聖・女神教か」


答えは、ない。

だが確信はある。

そのとき、風が止まる。


「……来る」

セローナの声。


次の瞬間――

森の中から“人ではない何か”が現れた。

黒い影。だが今回は魔獣ではない。

“人型”。


「適合失敗体」

機械のような声。

「回収対象外」

「処理へ移行」


その言葉に、ジャスミーが震える。

「なにあれ……人……?」


セローナが剣を抜く。

「下がれ」

短く言う。

「これは“人間じゃない”」


戦闘が始まる。でも今までとは違う。

速い。正確。

無駄がない。


「軍用か……!」

サンガーデンが矢を放つ。

だが――止まらない。


俺は理解する。

(これは“治癒できる相手じゃない”)

中身が壊れている。

というより――

(作られている)


「ジネン!」

セローナが叫ぶ。

「支援!」


「はい!」

俺は手をかざす。

「ヒール」


だが今回は“治す”ではない。

構造を見る。歪みを見る。


見えた。中心に“核”。

それを壊せば止まる。

「そこだ!」

俺は一点に干渉する。

「ヒール!!」


“人型”が止まる。

そして――崩れる。

糸が切れたように。静寂。


セローナが息を吐く。

「……やはり厄介だな」


ジャスミーが震えながら笑う。

「旅、初日からこれってマジ?」


サンガーデンは俺を見る。

「お前の力はまた変質している」


「変質?」


「“修復”から“解析”へ寄っている」

その言葉に、少し背筋が冷える。



その夜。

焚き火の前。


俺は空を見上げていた。

(世界が広がるほど)

(歪みも見えてくる)

村の外は、思ったより優しくない。



少し離れた場所。


聖・女神教。

「対象、移動継続」

「新型適合体、破壊確認」

「危険度再更新」

沈黙。

「――“解析型”へ移行」


そして、さらに遠く。

まだ見えない場所で。

「神心教総本山へ報告準備」

「異物が“世界の構造”に触れ始めた」


静かに。

物語は“世界規模”へ広がり始める。

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