7話 装備
防具コーナーには、アニメで出る様な騎士が着てる鎧などがあり、ゆずきは早速試着しようとする
「やめといたほうがいいと思いますよ?」
ベルの忠告に少しムスッとしたのか、ゆずきは無視して試着する。しかし…
「う…うん…。似合ってるんじゃない…?」
ナビが微妙な反応。それもそのはず、サイズが合っていない。サイズオーバーだ
ゆずきはなんとか後ろを振り返った。鎧の隙間から、ベルが額に手を当てて呆れているのが見える
「み…見ないで!」
結局ゆずきはすぐに鎧を脱ぎ、別の装備を探し始めた。今度は軽量な装備を選ぶようだ
数分後―――ゆずきは付けても動きやすいタイプの胸当てと、敵に手の動きを悟られづらいマントを選んだ。胸当ては頑丈な鉄で出来ていて、マントは破けにくく周りに溶け込みやすい茶色にした
「じゃあこれで…」
ゆずきは少し複雑な気持ちで俯く。流石にナビとベルも気まずさのあまりだまっている
「あ…えっと…お代は115ゴールドです…」
ベルが胸元から袋を出して会計を始めている際も、ゆずきは先程の鎧を見つめている。しかし振り返ってベルの隣に立つ。そこでベルがゴールド以外の通貨を使っている事に気づく。水色のコインと赤色のコインだ。これらのコインをダイヤと言う
昨日ゆずきはベルに、お金についてある程度は教えられていた。ダイヤというのはお金の単位で、1ダイヤで100ゴールド分の価値がある。ちなみにルビーというのも存在しており、こちらは1ルビー10ゴールド分の価値である。ダイヤは水色のコイン。ルビーは赤色のコイン。ちなみにゴールドは本当に金で出来ているが、ダイヤのコインとルビーのコインの材質は別の物で出来ている。そして今ベルが受付に置いている額は1ダイヤと2ルビー。つまりお釣りが5ゴールドである
「お釣りはいりません。店を壊してしまったので」
するとナビは一瞬きょとんとしてから笑い出した
「あはは!別にいいよ!私がなんとかするから!」
ベルは少し間を置いてから、先程剣が床にめり込んだ所に移動する
「失礼ですが…貴女のバトルランクが7を超えてるとは思えません。この剣を動かせないのでは?」
するとナビは黙り込む。どうやら図星だったようだ。木箱に入れる際は、作った本人が最初から入れるのが基本で、そして今回の様に何者かが出して、戻せなくなった場合…バトルランクが高い冒険者に頼んで入れてもらう必要があるのだ。ちなみに作った本人は普通に持てるので職人はバトルランクが高くある必要は無い
するとベルはその場でしゃがみ込み、剣の上に手をかざす。暫くすると剣が薄く光り始めた。そこでゆずきが何かに気づく
「床が…揺れてる…?」
数秒後、それが間違いだったことに気づく。床が揺れていたのではなく、剣がゆっくり上昇しているのだ。その後も剣は淡い光を放ち続け、急に大きく振動したかと思えば、次の瞬間には柄がベルの手に―――するとベルは何事も無かったかのように剣を木箱に戻した。ゆずきとナビは目と口を開いたまま閉じない
「あとは床ですね」
そう言うと、ベルは指をパチンッ!と鳴らした。まさかと思い、ゆずきは恐る恐る床を見た。直っている…先程まで剣がめり込んだ跡があった床が直っているのだ
「うひゃぁ………こうなるとツッコむのも面倒くさいよ。剣を持っただけでも凄いのにまさか床まで直すとは…」
その後、ナビが「流石に余分に受け取るわけにはいかない」と言ったため、ベルがお釣りを受け取って、ゆずき達は店を出た。目指すは湿地の森。ここの街から南東に進んだ所にある
「ここは東門から近いので、東門から出て向かいましょう」
ちなみに、この街の形は全体が正方形であり、それぞれの辺に東西南北の門がある
そして東門に向かう途中、見覚えがある様な人達を見つけた
「あのお面って…」
ベルが声のした方を振り返る。男2人女2人の冒険者パーティーだ。頭以外はアーマーで覆われ、腰には剣を付けている身長が170〜180程の黒髪の男。背中にデカい斧を担いでいて、身長が180超えの屈強な男。魔女らしい紫の帽子に紫のローブを着た、身長が160cm程でウェーブがかかった茶髪の女性。少し目つきは悪いが少し優しそうな雰囲気があって、白色の僧侶服を着た、身長165cm程で黒髪ロングの女性。155cm程しか背がない2人は少し小さく見える
すると魔法使いの女性がゆずきの顔を見て目を見開く
「あ!君知ってる!召喚の時にいた子だ!」
「あ…」
なるほど、見覚えがあるわけだ。彼らも僕と同じ世界からの転移者だったはず
「ていうか、そっちの人って…!」
「ベルさん!?」
後ろの斧を持った戦士の男が驚愕の声をあげる。まさかこういう召喚タイプの転移で召喚主が一緒に来るとは思わなかった様だ
「そりゃ初見なら驚くのも無理ないよな…」
「そっちはこれから何処行くの?クエスト?」
後ろにいる僧侶の格好をした女性が首を傾げて聞いてきた
「今から湿地の森でスライム討伐だよ。あー…親切などっかの冒険者の人達が手伝ってくれたらなー」
ゆずきのその言葉に四人は少し呆れた表情。この図々しさはもはや称賛に値する
するとアーマーを装備した男がゆずき達に一歩近づく
「分かりました。異世界ライフを楽しませてくれたベルさんへの恩返しのつもりで頑張ります」




