じーぷうんとどらいしひ たまには学校来いよ(笑)
Siebunddreißig―――Komm zur Schule.
ぐーてんもるげん。おはようございます。
水曜日ですね。
……え? 土曜日? 投稿日ってことじゃないよ?
……あれ何の話だ?
さて、支度をする。
朝食はトーストとハムエッグ。
……黒菜はトーストにマーマイトをたっぷりと塗っていた。それはもうジャムだとしても甘ったるいとなるくらいの。
「……く、黒菜? マーマイト塗りすぎじゃ……」
「そうなの? ジャムみたいなものでしょこれ」
「……何があっても食べないからね」
黒菜は地獄みたいな顔になった。
僕はそんな黒菜を無視して、学校に向かった。
◇
……学校の廊下にて、自分の教室から大きな声が聞こえた。
「龍之介ェェェェェェ!!!???」
お前今何時だと思ってんじゃ今ぁ! ふざけんじゃねぇぞこの野郎オイオイオイオイと言いたくなる。
……8時06分だけどね。勿論午前の。
気になり、急いで教室へと入った。
「えへへぇ……♡ 女の子になれちゃったぁ……♡」
「最早誰なんだよお前ェ!! 今までのお前はどこに行ったんだよ……!」
「上村 雪音.exeは応答を停止しています」
「現実だ起きろ雪音!」
……色白で、茶色い髪、茶色い瞳。
少し痩せた女の子がいた。
「えへへ……♡ おはよう白兎……龍之介だよ♡」
どことなく儚げな雰囲気だ……昨日まで儚いの真逆みたいな丸刈り野球男だったのに……。別人である。
……え? 誰だよ龍之介って?
前に女体化したかった〜とか言っていた奴だよ。名乗ってないし台詞も一つしかないから誰だよってなるだろうけど(というかモブだし)。
しかし性格から変わってない? なんで?
「えへへ……俺はなんて幸せな人間なんだろうなぁ……♡」
「本当にどうすれば……!」
一人称は変わってなかった……が、言葉からハートマークが見える気がするし口調も違う。
どうなってるんだこの人……?
……こんなメス堕ちしたような奴だっているのに、なんで唯斗は一向に学校に来ないのだろうか。
既読『何で学校来ないのさ唯斗』
YUI&TO『服がない』08:11
既読『口が滑って裁縫セット持った篠宮先生が唯斗の家に』
YUI&TO『明日まで、明日までお待ちください!』08:19
……はは(笑)。
「……えほっえほっ……かっ……ぁ……えへへ……最高……♡」
「まて絶対に見過ごしてはいけない色が見えたぞ!? 吐血だ! 保健室運べ!」
「大袈裟だなぁ……♡ えほっえほっ……えへへぇ……ん……大丈夫だよぉ……♡」
「篠宮先生外出中だとよ! それと色的に喀血だぞこれ!」
「畜生なんでこんな時に!」
龍之介の口から赤黒い何かが飛び出したことにより、教室内は混沌と化していた。
……素人が吐血と喀血の違いを判断しちゃだめでは?
……ナンデセンセイイナインダロナー。
◇
ここから未読
YUI&TO「うわなにをすrくぁwせdrftgyふじこlp」08:47
……さて、唯斗が被害にあっているところで、教室の前で担任が軽そうな顔でこう言った。
「あ、なんか龍之介早退したってよ」
軽く言えることではないだろと言いたいが、本人の希望である可能性も否めなくはないので何も言えない。
「あと唯斗も来たってよ」
「……ハズイ……マッテナンデ女体化ガ広ガッテルノ……」
心ここに在らずと言った雰囲気だが、学校に来れたようでよかった。
「……いつからこのクラスは幼稚園になったんだ」
「なんで幼女化が広がるんだよおかしいだろ」
クラスからはこんな声が上がった。
……それはそう。幼稚園になってはないけど。
◇
「あっあっあっあっ……」
「可愛い〜」
唯斗が変態女三人(篠宮桜、森岡林、割道夏帆)になにかされているのを横目に、僕はリリィといた。
「……で、ローゼを負かした。白兎より弱かったかも」
「……今度ローゼさんと将棋してみようかな。負けた者同士。傷の舐め合いで……」
「ムッティ〜って叫びながら泣いてたのは滅茶苦茶スッキリした」
「泣くんだあの人」
……泣いてるローゼさん割と気になるな「やめてくれ少年、想像しないでくれ」。
……すると、嶺音が話しかけてきた。
「しろ〜、ちょっと訊きたいことがあるんだけど〜」
「……んむっ」
「り、リリィ……!? なんで袖引っ張るの!?」
リリィは僕の袖を引っ張り、腕をホールドしてきた。
「……おやぁ? リリィ……まさか、しろが盗られるって焦ったのかなぁ? 自分のでもないのにぃ? 焦るってことは……私はしろを所有しつつあるってことなのかなぁ? そんなよわよわな関係で自分のものだと思ってたのぉ?」
「……んむぅっ……!」
「……嘘だよ所有してないよぉ……。しろの意思が一番だからぁ……」
嶺音は逃げていった。
「(しおりん、リリ白尊い。はよくっつけって思う。白リリは解釈違いだし白望も……うん。他カプは論外)」
「(梨花、ナマモノはやめたほうがいいよ? あと弾幕STGのキャラにしか聞こえないんだけど)」
……なんかどこかからえげつないことが聞こえた気がした。片方委員長じゃん……。
「(論外呼ばわりは酷いよぉ……告白する気なんてさらさらないけどさぁ……)」
「(てぇてぇに挟まるとは恥を知りなさい)」
「(ナマモノを妄想するのとどっちがマシかなぁ……!?)」
◇
さて、食堂である。
僕はカツカレー、望乃は肉じゃが定食、リリィはカルボナーラ風ドリアを頼んだ。
「……すみません白兎くん。これあげます」
「食べなよ梅干しくらい……」
「白兎くんはわたくしに死ねと言うのですか!!??」
「大袈裟な……」
フ○ムゲーでも梅干しで死ぬことは無いよ?
なんなの? スペランカーか何か?
「……白兎くんだって人参残すじゃないですか!」
「あ……白兎の前でそれ以上は……」
「大体、人参が好き”だった”んですから残さないでくださいよ! いくら昔に囚われてても……せめて! 食べられるようにはなってよ! 私に何回も漬物食べろって言うくせに……人参は残す……! 何が、食べてたら頭の中が塗りつぶされる〜なんですか! 残すななんて白兎くんが言えた……こ……っ……ぁ」
望乃は途中で口を噤んだ。
……それはそう、としか言いようがない。
何で口を噤むのか分からない。
……しかし、数年ぶりに望乃の長文のタメ口を聞いた気がする。
「……す、すみません……白兎くん……”また”……」
「……望乃、今度から白兎の前で出さないように頑張ろうね」
「ごめんなさい……ごめん……なさい……」
望乃は掠れたような声で、泣きながら謝ってきた。
……僕は驚きと困惑で頭がいっぱいだった。
「……あ、あはは……」
……この雰囲気で何かを言うこともできず、愛想笑いをするしかなかった。
……そのせいで地獄みたいな重い雰囲気で、昼食を食べることになった。
そこまで重く受け止めなくてもいいのに……。
◇
「(……り、リリィさん……どうすればいいでしょうか……わたくしが白兎くんにあんなことを……)」
「(大丈夫だって。白兎割と望乃のタメ口の方にしか気がいってなさそうだったよ?)」
「(それはそれで嫌なのですがぁ……!)」
……望乃がリリィと何かを話している。
内容は聞こえないが、恐らくさっきのことについてだろう。
『大体、人参が好き”だった”んですから―――』
……あれ、人参が好き……だった?
なんでそんなこと……? 僕は別に……。
確かに人参の味や食感などが嫌いというわけではない……。でも、好きだったことなんて……。
『おかあさんのにんじんけーき! おいしい!』
……僕の喉から発せられたような記憶が浮かんだ。
な、何で……? どうして……?
「……っはぁ……っはぁ……っはぁ……!」
「し、白兎……!?」
呼吸が荒くなる。
教室でこうなったのは初めてかもしれないと、どこか冷静な自分がいた。
まーたシリアスだよ!
次回:黄金と黒鐵の追憶




