じーべんうんとつばんつぃひ 誰だお前
Siebenundzwanzig―――Wer bist du?
「え……? 嘘でしょ……唯華よ……? 冗談よね……?」
「……え、怖……」
……もしかしたら自分がおかしいのか? 少しそう思い、スマホで色々な唯斗のことについて調べる。
YUI&TO『起きたな(確信)』8:10
……メールの時点で、僕はおかしくないことを確信した。……ならなんなのこれ!? 怖いよ……!?
……僕はリリィと望乃に助けを求めた。
二人とも困惑していた。そらそうよ。
◇
「……なるほどね。男のはずの私が何故か女性人格になっているのね。これもうわかんねぇな」
「理解はっや」
「精神がおかしくなるのは……まぁ、性転換よりは理解ができるもの」
「確かに……」
それはそう。確かに性転換に比べれば現実的だ。
……事実は小説より奇なり……。
いや、これ小説だったわ……。
……あれ、僕は今何を言ったんだ……?
「……その、白兎? 様子がおかしいのだけど……いえ、私の口調が気になるのよね」
「まぁ……うん」
「……その、ごめんなさい。戻り方が分からないわ。何をしても戻れないみたい。許してください何でもしますから」
「うぇぇ……?」
……性格は変わってないし、相変わらず……うん、も伝わるし……なんなら多用してるし。やめてくださいよー。
まぁ、もうこのままでもいいかもしれない。
「……恥ずかしいことだからやめようね。うん」
「すぐにやめられるわけないじゃんアゼルバイジャン」
「……」
……やはり唯斗だわこいつ。女性口調だから忘れそうになってたけどやっぱ唯斗だ……。
少しすると、リリィが来た。
「白兎、どういうことなの? 唯斗がメス堕ちしたって……」
「そんなこと言ってないよ? 僕がヤッたみたいに言わないで?」
「責任……取って(笑)」
なにわろてんねん。
「てかそもそも今の僕生えてないからね、僕に責任はない」
「じゃあ氷室先生に擦り付けよう」
「それは流石に可哀想だよリリィ、四条先生か篠宮先生にしよう」
「確かに」
……という冗談はよし子ちゃんにしておいて。
え? 死語? 確かに銀郎爺さん以外が言ってたところを見たことがないかも……。
「四条先生が可哀想だわ、いいぞもっとやれ」
「篠宮先生は?」
「ロリコンだから妥当だと思うわ」
……ロリコンって知れ渡ってるなぁ。
◇
少しした頃、望乃も来た。
唯斗を治す方法を話し合うが、どの案を試そうとも治る気配はない。もう治さなくていいのでは?
……例えば。
「頭をぶつける……とかですかね?」
「いてっ……こ、ここはどこ? 私……の名は吉〇吉影。年齢33歳。自宅は……」
「はいはい負けて〇ね」
例えば。
「……寝れば治るんじゃないの?」
「すやぁ……」
……一時間後。
「ふぁ……あれ、なんで私の部屋に三人……あ」
「治ってないね」
例えば。
「そうなった時と逆のことをすれば?」
「……う、動け動け動け……うぁ~!」
「……」
「……ダメそうね」
何を試してもダメだった。どうしたものか。
「……そういえば、お腹が空いたわね。……あら、もう11時なのね」
「軽いものでしたらお作りしますよ? 白兎くんもリリィさんもどうです?」
「じゃあそうしようかな」
「ありがとうね、冷凍庫にサ〇ウのご飯大量に入ってるからそれ使って頂戴」
「望乃の料理って……食べたことあったかな……?」
望乃が厨房へと行った。
望乃は料理は上手い……上手いのだが。
とても凝り性なのだ。
スパイスからカレーを作り始めたり、小麦粉から麺を打ったり、溶き卵は基本白身が消え失せる。
あ、望乃はたまーに僕にスパイスをくれる。黒菜がキムチにかけてたコリアンダーも望乃がくれたものだ。
だけどもういらないかなコリアンダーは。次は冷麺とかキンパにかけそうだから……。
「……ねぇ、白兎。望乃って料理上手いの?」
「だいぶ上手いよ? ただちょっとこだわりが強くて時間がかかるけど……基本美味しいよ」
「そうなんだ……私も料理の腕を磨こうかな」
「リリィ、その……うん、頑張れ」
「……泣くよ?」
リリィは……その、うん。料理の冒険をやめよっか。誰も思いつかないんじゃなくて、誰かは思いついた上で流行れない、だから。
青椒肉絲にケーキ入れたやつの味はこの世の終わりかと思ったよ……。
◇
……90分後。それでも望乃は料理を続けていた。
長すぎるて。何を作ってるの? 煮物?
「……軽い料理とは?」
「サ〇ウのご飯の解凍方法が分からなくて自然解凍してるんじゃない?」
「……望乃ってそんなバカだっけ」
「白兎くん? リリィさん?」
「「こひゅっ……!」」
望乃が料理を作り終え、こっちに来た。
……許して。
……望乃が作った料理は、焼きおにぎり、味噌汁、鮭の香草焼き、卵焼き、きゅうりの浅漬けだ。
……どう考えても軽くないよね!?
「「「「いただきます」」」」
……やはり、どれを食べようとも凝りすぎだろと言いたくなる。卵焼きは白身が見えないし、味噌汁は出汁の香りが強い。
……さて、唯斗が焼きおにぎりを口に入れた……瞬間。
「……あ、あれ? 俺は何を……」
「「な、治った……!?」」
治った。……なぜ治ったんだ……?
……唯斗の体は、どちらも動いていた。先程から動いていた方は魂が抜けたように無表情だが、それでも腕が動いて、物を口に運んでいる。
「……唯斗の体って本当にどうなってるの?」
「知らん」
……元に戻ったが、おかしくなっていた時の記憶もあるようだ。唯斗の体への疑問しか浮かばないが……。
◇
帰宅。黒菜がテレビを見ていた。
……多分録画だこれ。知らないドラマだけど明らかに映っている時刻がおかしいし。8:26……。
『マ、マサカソェガ、キサアッ! ナズェソナ、ヒディコトーッ!』
『ナニガールィ、キサアラモムカシ! ワレアレニャッタコトダ』
『グ、グアー!』
『フフフフ、キサアラノユーセーギモソナモニョー!』
「……見てて面白いの? それ……聞き取りづらいし棒読みにしか聞こえないけど」
「面白いよ、滑稽で」
……フィとかフォイとか言ってそうな絶妙に腹の立つ声が、棒読みで武器を持ちながら戦っているドラマ……いや、これ特撮では……?
『アクマメッ! ヤメローッ!』
『アクマ? ソウダナ、キサーラガッ! ムカシヤッタコトァ、ソウダッタナァー!』
『フザッ、フザケナー!』
『メードノミャゲニオシェテャル! キサーラァ! ワレァノジッチャモーミステタッ! セーギトァナバカリノアクマドモダ!』
「……黒菜、なんて言ってるか分かるのこれ」
「わかんない」
「えぇ……」
『正義は昔、アークの祖父を助けなかった。その恨みで正義を嫌ったアーク……果たして、今の正義にアークを裁けるか!』
『次回! 絶体絶命! アルティメットアーク!』
『ジケーモミテクリョォナ!』
「……」
誰が次回を見るのだろうか。そう言いたくなるほど酷い出来だ……。見るとしてもネタだろう……。
……名前も適当すぎる気がするし。
◇
……さて、今日もゲームだゲーム。
ゲームにログインすると、リシアがいた。
……釣竿を持って、ゴーグルと浮き輪を付けている。
浮きたいのか沈みたいのか釣りたいのか……。
「密漁をします」
「……え、何……?」
「密漁をします、なのです」
「だから何……?」
「密 漁 を し ま す」
「だから何が!?」
「……だから気に入れ、なのです」
「何を!?」
……ハンティングですか? モ〇スターハンターでもしたらいいのでは? ……あ、密漁と密猟は漢字違うか。
「なんでも、そこのフィルスト湖にとてつもなく大きくて強いヌシがいるらしいなのです。わーはソイツをボコしたくてうずうずしてるなのです」
「そんな湖あったんだ……」
Q:何で唯斗がメス堕ち(?)したんですか?
A:作者何も考えてないよ
次回:ヌシを釣る、なのです




