あいんうんとつばんつぃひ 武器を直しに
Einundzwanzig―――Waffenreparatur
僕は武器が壊れていた事を思い出し、武器屋に向かっていた。
「おう、どうしたんだ? 嬢ちゃん」
僕は武器が壊れた事を伝える。
直してくれないかな……と伝えると、アルティメットゴリラさんは唸りながら頭を掻いた。
「……難しいな。そもそもこれが何で出来てるのかも分からない」
「え、えぇ……」
「すまないな。ここはあくまで武器屋であって鍛冶屋ではないんだ。……アイツなら直してもらえるかもな」
「アイツ……?」
直してもらえるのならいいけど、どんな人なのだろうか。
「……確か……ルキアだったかな。凄い暇人だからすぐ見つかるだろうよ」
「あ、ありがとうございます……」
僕はルキアという人を探しに行った。
◇
……しかし、名前と暇人というだけの情報では見つかるはずもなく。そもそも今ログインしているかも分からない。
……村にはいなさそうで、草原を探してみる。
まぁそもそも人すら見かけないんだけどね。
……探し始めて一時間が経過した。勿論草原から数え始めて。
「……人すらいないなぁ」
「まぁ……今こんな序盤の場所にいる人は少ないですから……ほとんどはもっと進んだ場所にいますから」
少し疲れてきた頃。上空からビュウウウン!! とジェット機のような音がする。それと同時に、放置された便所とエタノールを混ぜたような臭いが微かにした。
『こ、この強烈な嫌な臭いは……!』
「何か知ってるのレーゼ!?」
『……あ、アドラールフト……。……簡単に言えば臭いドラゴンです』
No188 アドラールフト 風属性
Militare aerea 鷲空龍
爬虫綱六足龍目西洋龍科隊龍属 Adlerluft
翼から圧縮した屁を勢いよく発射し、空を飛び回る。縄張りに入った生物がいれば、前腕から爆発する排泄物を飛ばし迎撃する。臭い。
生息地:上空
「アドラールフト……? いや臭……」
「うわ臭……っ、え、白兎! 何なのこの臭い……!? ゲームなのに!?」
「……白兎くん。鼻が深刻な故障を起こしそうなので帰っていいですか?」
……鼻がおかしくなりそう。
そう思いながら、その元凶であろうドラゴンを探す。
……それらしきドラゴンが降りてきた。
臭いから、翼から屁を噴射しないでくれ。
見た目としては、顔はシュッと凛々しく、砲台のような前脚、鷲のような後脚、そして、そのまま飛行機のような翼。全身は黒っぽく、見た目はいい。
「……見た目は割とかっこいい感じ……いや、臭い」
……武器を構えると、ドラゴンは翼から噴射し飛ぶ。
臭……。そ、そして砲台のような前脚から白い何かを飛ばしてきた。
「う、うわ……!? し、白い……なにこr……」
その時、飛ばしてきた白い何かが爆発した。
僕はそれに驚き、思わず背中に向かって倒れる。
『……その。白い……それはですね。コイツの……え、えーっと……その……ふ、糞尿ですね……』
「きったね!? 見た目だけだこのドラゴン……!」
……その間も、ドラゴンは糞尿を飛ばしまくる。
うわぁ……。最悪だぁ……。
僕は糞尿を避けまくるのに必死になっていた。
そんな時だ。どこからともなく声がした。
「皆伏せて! 巨剣!」
ドラゴンの翼が切り落とされ、痛みからかドラゴンは糞尿を飛ばすのを止めた。
そして、僕の目の前には見知らぬ女性がいた。
……いや、僕が伏せた意味は果たしてあるんですか……?
そして技名ダサくないですか……? もう少しぐらいはマシにできたろうに……。ジャイアントソードとか……。
「……決まった……。……にしても、桃○獣な天○龍かぁ……面倒だなぁ……」
「バ……?」
「あ、いやなんでもない。大丈夫だった? リスカちゃんと……取り巻きの誰かさんたち」
リスカちゃん呼び!? いつもリスカしてるかのように言わないでほしい……! いつもはしてないから!
「……り、リスカちゃん呼びは……その……」
「あ、嫌だった? じゃあなんて呼べばいい?」
「ゆきうさぎでお願いします……」
その時だ。翼を失ったドラゴンの背中が割れ、割れた中から銀色の何かが見えた。その銀色の何かが、ドラゴンの外側へと出てくる。
『脱皮ですか……。確かに翼は治るかもしれませんが……リスクが大きすぎる……。何故このような行動を……?』
脱皮したドラゴンは銀色になった。空を飛び、また糞尿を飛ばし始める。……しかも、どの攻撃も届かない空中で。
「……これどうするの……!? 攻撃届かないけど……」
「わたくしの魔法も届きませんし……」
……終わった。そう思った時だった。
レーゼが気まずそうに言う。
『……あの。我、空飛べるんですが……』
「あ、そうじゃん」
そう言われたのでレーゼを出す。
空を飛び、臭いドラゴンを追いかけ始めた。
「じゃあ任せたよ! 頑張ってレーゼ!」
『……っ!!! ……ぶ、ブリザード!!』
……そう言ったとき、少し謎の硬直のようなものがあったが、レーゼは魔法を放つ。
放たれた魔法により、臭いドラゴンは吹き飛ばされ墜落した。痛かろう痛かろう。
……しかし、そんなドラゴンの背中にまたヒビが入る。
『……ま、また脱皮しようとしている……!? 無茶な……!』
「させないよ! 巨剣!!」
だから技名……。……その攻撃によりドラゴンの首が落とされ、ドラゴンは倒れた。
〘経験値800EXPを獲得!〙
〘レベルが2つ上がった!〙
〘スキルポイントを4つ獲得!〙
……死臭と糞便の臭いがするドラゴンは置いておき、女性が名前を教えてくれた。
「……おっと、名前を言ってなかったね。私はルキア。ルキア・シュネークラング。リシアの姉だよ」
あれ、見つかった。なんだこれ、ご都合主義か?
……ん? リシアの姉……?
あの人姉いたんですか……。
「あの、ルキアさんを探してたんですが……その、僕の武器を直してもらいたくてですね……」
「ん? ……あ、ごめん、その武器の修復に必要な材料、めちゃくちゃ入手困難っぽいんだよね……ごめんだけど……」
「そ、そうですか……」
……直せなかった。そこまでご都合主義じゃなかった。ご都合主義でいいじゃん。
「……代わりといってはなんだけど、これはどう?」
太陽の魔杖 ★70 光属性 new!!
光り続ける魔法の杖。その光は全てを焦がし続ける。強い熱と強い光を操る。
「お、おお……? いや説明怖!?」
「……そういう武器なんだよ」
代わりの武器が手に入ったから、まぁいいか。
◇
ルキアさんと別れた後、望乃がレベル上げの為に行きたい場所があるようだ。フォウルト密林というらしい。
「フォウルト密林? ……うん、やっぱフォウルトかぁ」
「?」
「……いや、なんでも」
フィルスト、ゼコント、ティルト、フォウルト……。
その次はフィフトかな? ……あんまり変化ないな……。
「まぁ、行こっか」
◇◇
リシアに、あるテレパシーが伝わった。
『大変だ大変だぁ!』
「……なんなのです。スイ」
『弟が起きた! ……一時間くらい前に!』
「そんな大切なことは一時間前に言えなのです!!」
『ごめん』
リシアは慌ててスイがライの様子を見ている場所へと向かった。
ライの瞳は右は治っていたが左が赤黒く染まっており、体は力が入らない様子であった。
『……なのですの人……? ……ご主人はどこに……』
「……ごめん、知らないなのです……。どっかにはいると思うなのです」
『……そう……ですか……』
……ライは立ち上がり、おぼつかない足取りでどこかへと向かった。
『……ご主人は……あそこ……でしょうか』
翼を広げ、不安定な羽ばたきで主の方へと向かった。
「……え、どっか行ったなのです」
『それほど主の事が大好きなんだろうねぇ。まぁ、私m』
「……わーはなーの事嫌だけどなのです」
『わぁ……(泣)』
次回:フォウルト密林




