つばんつぃひ 幽霊なんているわけ……
Zwanzig―――Buh! Ich bin ein Geist.
さて。家に帰り、ゲームをする。
ログインすると、リシアがいた。
「噂をしたら本当に来たなのです」
「……え? 待ち伏せされてた……?」
「してないなのです。完全に偶然なのです」
そ、そうですか……。
……噂してたの?
「わーは強いのと戦いたいなのです。なんかないなのです?」
「戦闘狂かな?」
「違うなのです。戦うのが好きなんじゃなくて、わーの力で強い相手を倒すのが好きなのです」
この人バーサーカーだ……。倒すのが好きなら戦うのが好きと言っていいのでは……?
……さて。そんなことを話していると、様子のおかしい人影が見えた。……昼間なのにその人? の周りだけ暗いんですけど。
「これは強者の香りなのです!」
「バーサーカーかな?」
そんなことを言っているリシアを横目に、人影の方を見る。何故か昼間なのに全体的に暗い。
長く伸びきった薄い緑色の髪で、その隙間から蒼い目を覗かせる。女性に見え、胸は大きめ。
肌は僕ほどではないが白っぽく、ふらふらとこちらに向かってきている。耳は尖っており、服は白色。
……エルフなのだろうか。いるのかは知らないが。
だが雰囲気はゾンビというか……。
No015 エルフ ランダム属性
Homo (sapiens) elfus
哺乳綱霊長目ヒト科ヒト属
森に住み、大抵イタズラをしている。人にとって美しいと感じる見た目に成長しやすい。耳が尖っており、また基本性に対する知識が少ない。人の亜種である可能性があり、交雑も可能である。
生息地:森
「ゾンビかな……?」
「……なんか怖くなってきたなのです」
そう言っていると、その人? の周りに半透明の何かが出てきた。骨のように見え、カタッと動いている。
「うひゃあああぁぁぁっ!? ……お……お化け……お化けなのです……っ!?」
「……」
No097 ゴースト 闇属性
Umbras umbra
分類不明
割とその辺にいる幽霊。見えない人には乗っ取れない。ほとんどの場合優しい性格。
生息地:墓地周辺もしくは戦地
隣で絶叫しているリシアのせいか、冷静にアレを見られていた。お化けみたいな物は全てその人から伸びており、乗っ取られているかのようだ。
『うらめしや~……うらめしや~……』
「……」
可愛らしく、細い声。間抜けな子が怯えさせようとしている雰囲気だった。声だけは。
「ヒィッ!? 来ないで……来ないでなのです……」
『う~ら~め~し~や~……!』
リシアの怯えっぷりに喜んでいるような声に聞こえる。全く怖くなくなってきた。
「や、やめて……っ! 来ないでなのです……!」
『うらめしや~!』
……レパートリーは「うらめしや」しかないのだろうか。なんかさ……もっとあったでしょ。
返せ……とか、見つけた……とか、逃げろ……とか。
「う……っ……あ……あぁ……」
……と思っていたら、いつの間にかリシアの目の前にまで移動していた。ぼとっぼとっと歩き、リシアの肩に掴みかかる。
『うらめしや!』
「うわぁっ!?」
……そう言い、その人から伸びているお化けのうち、一体がリシアの体に吸い込まれるように消えた。
「……ハイレタ……ハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタ」
『うらめしや~!』
入れた連呼やめてください。本当に怖いので。
「ツギハ……オマエダ……」
「う、うわぁっ!?」
リシアは僕の手首を掴み、押し倒してきた。
……なんか皆僕を押し倒してくるよね。
手首を捻るように掴みかかり、光のない目でこちらを見てくる。
抗おうと腕や足を動かすと、左の手首がズキっと痛んだ。まるで何かが剥がれるような感覚。
「……!?」
「……あ、あれ……?」
……ん? 左の手首で? 何かが剥がれる……?
「……あっ」
なんということでしょう。左腕の、見た目がジュクっとした、剥がれかけている瘡蓋を見ながら。リシアが固まっているではありませんか。
……それに気づいたとき、お化けはいつの間にか全部見えなくなっていた。
様子のおかしかった人も、顔が見え、呼吸が荒く顔が青ざめていた。
『えっ……何この人ぉ……!? 何でこんな斬られたような傷があって平然としてるの!? 怖いよ……!』
「お化けよりもなーの方が怖いなのです!! 本当に何して……!!? ……ああコメントが阿鼻叫喚になってる~……!!!」
うらめしや~はどこ行ったんですか!? あとリシアさん語尾忘れてますよ。
「このゲームで傷は残らない……そして普通誰かにされたならゲームなんかできないはず……。自傷……? もしやこれがリスカってやつなのです!? なんかとんでもない闇が見えたぁ……!」
『ゴメンナサイ……』
……こっちこそごめんなさい。そりゃこんなの見たら阿鼻叫喚になるわな。あとリシアさん語尾……。
「とにかく話を聞かせろ、なのです!!」
……そうなるよね。
◇
「……それで、悪夢を見て眠れなくて……いつもこうすれば眠れるから……」
「……?(寝れないからでリスカするのはおかしいと思うなのです……でも凄い闇がありそうだし言わないでおくなのです)」
『な、なんで……寝れなかったとしても……そんなこと……?』
「(言ったーーー! こいつ言ったなのです! 多分触れちゃいけないなのです!!)」
まぁそうだよね。普通しないもん。寝れないから~で自傷行為なんてするわけないもんね。普通は。
「……血とか痛みってさ、何だか安心しない?」
「一言で凄い闇を感じたから話をやめろなのです!」
「……ちぇ」
「ちぇ、じゃないなのです!!! コメ欄がお通夜ムードになりそうだからやめろなのです!! ……ダメだ! もうなってるなのです! 同接数の割に流れおっっっそぉ!?」
ならいいじゃん。変わらないんだし。
……冗談だよ? そんなことしたらトレンド1位とかになりかねないし。
「……よくわかんないけど、辛い事があったら相談してなのです。わーじゃなくてもいいから」
「アッハイ」
「……相談しろなのです。割とマジで」
……そんな時、リリィがログインしていたことに気づく。……リリィは黒い笑みを浮かべ、謎の覇気を放っている。ゴゴゴ……。
「……ちょ~っとお話、しよ? ね?」
「えっ、ちょっ……あ~」
リリィにお姫様抱っこされ、連れていかれた。
「……どうするなのです? この空気」
『ごめんなさい……』
「いや責めてるわけじゃないなのです」
◇
……リシアのいる場所から離れた所で、僕は口をぐりぐりされていた。痛くはないが、喋りづらい。
「……白兎。あんなこと言わないでよ……」
「や、やえへぇ……リリィ……」
「本当に怖いから……! あんなこと言うのやめて……!」
「リリィぁあひぇんぇるぉひあひうりいいた……」
「反省して!」
「はんひぇいひへわひゅ……」
……ログアウトしたときのネットが楽しみである()。……反省してるよ? 本当に。
「……白兎。人に話すのはいいんだよ。むしろ嬉しいくらい。でもさ。配信止めてもらうとかそういうのしないと。あんなこと公衆の面前で言うことじゃないよ」
「ご、ごめん……普通に頭に浮かんでなかった……」
そりゃそうか。お通夜ムードとか言ってたしね。
反省してます。
「……まぁ、公衆の面前で何も話せない私が言ってもなんだけど……」
「……」
「せめて何か言ってよ……!」
「……リリィがいつにも増して喋ってる……」
「……確かに?」
リリィがこんなに喋れるようになって……僕は嬉しいよ。……今度からは僕以外でもそれくらい喋れるようになってね。
……その後、望乃がログインした。
あ、勿論望乃にもお説教されました。
◇◇
「……く、暗い空気はおしまいなのです! 強いのを探しに行くなのです!」
リシアは色々とやる気が無くなったエルフを仲間にし、自分と戦う相手を探しに行っていた。
「……あ、シャルレーニヒはなしなのです。それ以外でなんかいるなのです?」
:ブレッセルツォークだろ
:↑リスカちゃんが倒してた(?)から……
:↑リスカちゃん呼びでくs……笑えねぇわ
:強いの? ヨルムンガンド!
:シュヴァルクグラフとか?
リシアのコメントには色々な案が流れていた。
しかし、大半が既にリシアが倒していたか、知人が倒していた。
そんな中、一つリシアの目に留まるものが。
:幻の175番とか?
:↑幻?
「幻の175番? 詳しく聞かせろなのです」
:番号的には173のファフニール、174のヨルムンガンドと続いているから北欧神話関連と思われる
:↑他の神話の可能性も一応あるぞ
「つまりーー何を意味する? なのです」
:この並びで見るとニーズヘッグが有力……だけど、なら大体こいつらと一緒くらいに見つかるはず……つまり、”ヤバい何か”である可能性が高い。
:例えば……元ネタがオーディンとか、その辺かと
「よし! 探しに行くなのです!」
:(その前にシャルレーニヒ倒そうぜ)
:(相手の強さは未知数、シャルレーニヒよりも強いかもしれない。だから先に倒そうぜ)
「嫌なのです! 探しに行くなのです!」
幽霊よりも怖い白兎くん
なおレーゼは傷を見て失神していた。
No175 レク■ト■■■ ?属性
Incertusdraco sp. ■龍
魔綱仮龍目仮龍科■龍属 *ök*t**ð
Þetta er stríð. Þetta er örlög.
Vér getum eigi flut frá örlögum.
Einnig kallað Goralbellum
生息地:■■
次回:武器を直しに




