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我こそはモン娘テイマー也  作者: hoikun
四章 知るモンスターテイマー
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78話 クロトガへの道中

これもちょっと短いです。

2017/12/25 文章の修正をしました。

 クリシュナードを出る日がやってきた。


 約二週間、冒険者ギルドで依頼を受けて魔物を狩ったり、ニーアのリハビリをして過ごした。

 稼ぎの方は、収入と支出がトントンくらいで、まぁそんくらいを予定して依頼を受けていたから問題なし。

 リハビリの方は思いの外上手く行っており、シロナやヒサメくらいなら触れられるくらいまで戻ったようだ。

 ただ、やっぱり野良の魔物達は敵意があるからか、恐怖が勝るようだったが。


 こちらでは特に絡んだ人もおらず、宿のオーナーであるダートンとその息子のケイン、それと冒険者ギルドの受付嬢くらいに軽く挨拶をした。


 勿論見送りなんかもなく、俺達は街を出た。

 今回はニーアもシロナやヒサメと一緒に乗れるので、馬車は一回り大きいやつだ。


 俺は改めて皆を確認する。

 ニーア、シロナ、ヒサメ、リーニャ。

 そして、ハルマー。


「いや、無理を言ってすまないな。ハハハ。」


 ハルマーの手には、袋に詰められた沢山の果物があった。



 ハルマーは以前宿に来た時から分かるように、非常にストイックな人だ。

 自分を鍛える為に、強者を求めている。

 丁度ハルマーが詫びの品を持ってきた時、俺達は出発寸前だったのだが、行き先を告げるとついてくると言い出した。

 どうにも、獣人の国というのは心が踊るらしい。

 何故かと言えば、獣人はその殆どが身体能力が高く、戦闘に長けた種族だからだ。

 ハルマーにとってこれ以上に鍛錬に向いている場所なんてないだろう。


「それに、君らといれば何かとトラブルに巻き込まれてくれそうだしね。」


 えぇ、おっしゃる通りです本当に。

 トラブルが足りなくて困ったことはないね。


 前と同じく、知らない人とパーティを組みたくない気持ちは、今も変わらない。

 ハルマーはパーティに加わる訳じゃないから、ただの同行者だ。

 だけど、一緒に行動をする点ではパーティメンバーと同じだ。


 ハルマーは、なんだか信用しても良い気がする。

 リーニャ、シロナ、ヒサメも同意見だったので大丈夫な筈だ。


 まぁ、立ち位置はパーティメンバーと言うよりかは護衛のような立ち位置だけどね。

 ただの同行者だし、特別護衛代もかからない。


「まぁ、その時はお願いしますよ。」


「ああ。金にはならないが、経験になるからな。」


 クロトガにも冒険者ギルドはあるし、場合によってはハルマーはそこに長く滞在するつもりらしい。



 ここからクロトガまでは休憩トラブル込みの予定で約六日。

 調子がよければ一日か二日くらい短縮ってところかな。


 一日目は魔物に襲われることもなく、休憩ポイントもすんなり決まり、順調な滑り出しだ。

 元々クリシュナードの周りは魔物の清掃を定期的に行っているから、魔物が出ることは少ないんだけど。

 もう少し進んだ頃から、魔物達の縄張りへと入ることになる。


 テントを張り、夕飯の準備をする。

 準備と言っても、レイに格納して貰っていた屋台で買った料理を並べるだけのもんだが。


「……これは……」


「どうぞ、食べてください。」


 ハルマーと御者さんは驚いていた。

 もちろんハルマーも御者さんも自分の保存食は持っている。持っているが、やっぱり干し肉や堅パンは味気ないし飽きも来る。俺達が食べているものに視線が来るのは仕方の無いことだった。

 だから、お裾分けすることにしたのだった。


 ハルマー以外はすぐに食べ始める。旅の途中に食べられる物でもないから、余計に食欲がわくみたいだ。

 ただ、ハルマーは串焼きを手にもって、それをじぃーっと見ていた。


「……?」


「ん? あ、いや。その……気にならないのか? 皆は。」


 気になる? 何が?

 こんなところでタレ付きの串焼きが食えるところ?


「いや、頂いておいてこう言うのも失礼な話だが……スライムのな……」


 あぁ……レイから取り出したから、レイの体液とかついてるかを気にしてるわけか。


「レイの格納は、よく分からないですけどレイの体内に保管されてる訳じゃないので、大丈夫ですよ。」


 レイの格納は、恐らく空間魔法みたいな何かだと思う。

 だから、最初は食べてるように見えたけど、触れる瞬間くらいに消えてるみたいだった。


「そ、そうか……」


 戸惑いながらも、一口食べる。

 そして、なんの変哲もない普通の美味い串焼きと分かってからは、なんの抵抗もなく食べ始めた。


 いやぁ、慣れって怖いね。俺達はレイに格納してもらうのが普通だったから何も思わなかったけど、なるほど確かに普通の人から見ると、スライムの中から出てきた食べ物って言うのは抵抗あるかもしれないな。

 その点、御者さんは逞しかった。

 全く気にすることもなくバクバク食べていた。

 ……いや、がさつなだけか?


 その後、和気あいあいとした食事も終わり、就寝。

 夜間の見張りは本来ローテーションだが、ハルマーやニーアくらいになると、夜中寝ていても気配を感じ取って起きることが出来るみたいなので任せることにした。

 いや、最初はローテーションで見張るの提案したんだけどね? 必要ない、大丈夫っていうもんだからね。

 ていうかぶっちゃけシロナやヒサメもそう言うのすぐ感じ取れるから大丈夫そうだけど。

 結局夜中は何もなく、翌日を迎えた。



 二日目も順調だった。

 多少魔物が出始めてきたので、今日の夜中は気を付けた方が良さそうだ。

 何回か目の魔物と遭遇した時、ハルマーが降りた。


「ちょっとやらせてくれ。」


 出てくる魔物もゴブリンやコボルド並みの弱さが続いていたので、ずっとシロナやヒサメが瞬殺していたのだが、動かねば鈍ると言うことでハルマーが戦うことになった。


 そういえばハルマーが戦う姿見るのは初めてだな。

 Aランクの剣聖だから相当強いんだろうけど、やっぱり実際見るまでは実感わかないよな。


 今回出てきたのはウルフだ。

 その名の通り狼の魔物で、高い身体能力と統率力をもつ。

 討伐ランクはEランクだがその中でも強い方で、俺達にとっては苦戦はしないが時間はかかるって感じだ。

 数は前方に五匹だ。いくら相手がEランクと言えど、馬車を囲まれたら一人で完璧に対処するのは難しい。今回は前方にしかいないから、一人でやるつもりなんだろう。

 いや、Aランクにもなれば、囲まれてもどうってことないのかもしれないな。


 ハルマーは剣を構えて集中し始めた。

 そんなハルマーに襲いかかろうと、ウルフ五匹がタイミングをずらしながら飛びかかる。

 ハルマーは飛びかかってくる順番を目で確認しながら、斬る順番を決めていく。


 一匹目、正面からの飛びかかりを横にかわしながら首をはねた。

 次にウルフは、ワンテンポずらして左右から二匹が飛びかかるが、ハルマーは一匹避けると、もう片方のウルフを横に薙ぐ。

 その剣は、ウルフの前足と後ろ足を一本ずつ切り落とした。

 これで実質二匹目。

 その勢いのまま次に飛びかかってきたウルフの胴体に剣を突き刺し、横に振り抜く。これで三匹目。

 最後の二匹は一匹ずつ飛びかかっても無駄と判断したのか、同時に飛びかかった。

 その時、ハルマーの剣が二つに分身し、それぞれを切り裂いた。

 いや、分身したように見えただけだ。

 ハルマーは恐ろしく早い動作で二匹を斬ったんだ。残像が残るほどに。

 ハルマーは最後に、足を切られただけで息のあるウルフの首を落とし、剣を振って血を飛ばした。


 いやぁ、強いな。

 やっぱAランクって強いわ。


 ハルマーはその場で軽く剣の手入れをし、俺はレイにウルフの死体を格納してもらう。

 ウルフは毛皮が特に良い値段で売れる。後は肉がEランクの中では美味しい方だ。

 今日の夕飯にしよう。


「やっぱり、ウルフじゃ体を動かしたって感じはしないな。」


 戻ってきたハルマーがそう言った。

 いくらランクに差があっても、ウルフ五匹を数秒で討伐できるのは凄い。


「やっぱり、Aランクなだけあって強いですね。」


「いや、まだまだ足りない。」


 ハルマーは自分の手を見ながらそう謙遜した。

 いや、謙遜じゃないか。ハルマーにとっては。


「どうしてそこまで強さを求めているんですか?」


「どうして、か。」


 俺は気になってハルマーに訪ねる。

 ハルマーは、自分の手を見つめながらポツリと呟く。


「どうしてだろうな。」


 その表情は、とても寂しそうだった。

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