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星が重なる日(改訂版)  作者: 橘花


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海を渡る言葉

出航 都の港


夜半、都の港に、一艘の船が静かに艤装を整えていた。


急ぎの航海だった。船足の速い快速艦が選ばれた。乗組員は必要最小限に絞られている。オルグの権限で用意できる、最速の手段だった。


評議会での採決が終わったその日のうちに、オルグは港へと向かった。もたもたしている時間はなかった。豪州の戦線がいつまで持ちこたえられるか、誰にも分からない。一刻も早く、この決定を届けなければならなかった。


港には、人影が少なかった。夜更けの静けさの中、船員たちが黙々と綱を解き、帆を確かめていた。急な出航の手はずを整えるため、この数時間、オルグはほとんど休む間もなく港の関係者を駆けずり回っていた。


船を用意するにも、簡単ではなかった。この夜更けに突然、出航できる船を探し、船長を説得し、必要な物資を積み込む。オルグの評議員としての権限をフルに使っても、それは決して容易な作業ではなかった。それでも、日が暮れる前にはなんとか一艘の快速艦を手配することができた。


ナサとミゼンは、その船の甲板に立っていた。


「本当に、行くのか」オルグが、最後に念を押した。


「行く」ナサは言った。「決定。私たち。伝える」


「危険な航海になる」オルグは言った。「湾口には、まだ警戒態勢が敷かれている。お前たちの船が無事に通れる保証はない」


「分かってる」ミゼンが言った。「それでも、行く。この決定を一日でも早く、あの海に届けなきゃならない」


オルグは、しばらく二人を見た。この半年、二人が背負ってきたものの重さを、オルグは今更ながら実感していた。本国からも、あの海からも疑いの目を向けられながら、それでも二つの世界の間を繋ごうとし続けてきた二人だった。


「頼む」オルグは深く頭を下げた。「この命令書を、必ず届けてくれ」


命令書には、評議会の決定が正式な文言で記されていた。第二次遠征の見送り。あの海の民との接触の検討。それは、まだ和平の宣言ではなかった。だが、これまでの半年で初めて、本国が公式に示した対話への一歩だった。


「届ける」ナサは、命令書をしっかりと懐に収めた。


ミゼンが、オルグに向き直った。


「評議会は、これからも、揉めるだろう」ミゼンは言った。「ゲラードたちが、大人しく引き下がるとは思えない」


「分かっている」オルグは言った。「だが、それは、私の仕事だ。お前たちは、決定を届けることだけを、考えてくれ」


「あんたも、無理はするな」ミゼンは言った。「評議会での立場、危ういんじゃないのか」


オルグは、少し笑った。


「今更、危ういも何もない」オルグは言った。「私は、既に、賭けに出た。あとは、その結果を見届けるだけだ」


ミゼンは、しばらくオルグを見た。この評議員が、これまでの人生でどれほど慎重に自分の立場を守ってきたかを、ミゼンはナサから聞いて知っていた。その男が、この賭けのために、これまでの全てを投げ出そうとしている。その覚悟の重さを、ミゼンは改めて感じ取った。


「あんたのような人間が、評議会にいてくれて、良かったよ」ミゼンは言った。


オルグは、それに、何も答えなかった。ただ、静かに、頷くだけだった。


船長が、二人に向けて、声をかけた。


「潮の流れが、変わる前に出る。急いで乗ってくれ」


ナサとミゼンは、頷き、甲板に上がった。オルグは、桟橋に立ったまま、船が動き出すのを見送った。


「無事を祈る」オルグは言った。「二人とも」


その声が届いたかどうか確かめる間もなく、船は静かに港を離れ始めた。


────


船は、夜明け前、静かに港を離れた。


湾口までの水路は、依然として警戒態勢が敷かれていた。哨戒に立つ艦の灯りが、いくつも遠くに見えた。ナサとミゼンの船は、その哨戒線を避けるように、進路を選んだ。


「見つかったら」ミゼンが小声で聞いた。


「止められる」ナサが言った。「説明。時間。かかる。——できれば。避けたい」


船は、灯りを落とし、静かに水路を進んだ。船長は、この海域を長年、往来してきた男だった。哨戒の隙間を、経験と勘で縫うように進んでいく。


一度、哨戒艦の灯りが、目前まで近づいたことがあった。船長は素早く帆を絞り、船を岩陰に寄せた。息を潜めて待つ数分間、甲板の誰もが、言葉を発しなかった。哨戒艦は、やがて別の方向へと遠ざかっていった。


「今のは、危なかったな」ミゼンが、小さく息を吐いた。


「まだ。ある。同じこと」ナサが言った。「油断。できない」


その後も、二度ほど、哨戒の灯りが近づく場面があった。そのたびに船は灯りを消し、息を潜め、やり過ごした。船長の経験と判断がなければ、この航海はとうに見つかっていたかもしれなかった。


「あんたの腕、大したもんだな」ミゼンが、船長に言った。


「これしか、能がないもんでね」船長は、そっけなく答えた。「この海域は若い頃から何十年も往来してきた。哨戒の癖くらいは、体が覚えている」


夜明けが近づく頃、船は、ようやく湾口の外に抜け出た。広い外洋の風が、帆を大きく膨らませた。


「抜けた」船長が言った。「ここからは、あの海に向けてまっすぐだ」


ナサは、後方を振り返った。都の灯りが、水平線の向こうに小さく消えていくのが見えた。この半年、幾度となく渡ってきた海だった。だが、今度の航海は、これまでとは違う意味を持っていた。


────


航海の途中


航海は、順調に進んだ。だが、二人の間には、これまでとは違う緊張があった。


昼間は風向きを見て帆を調整し、夜は交代で見張りに立つ。単調な航海の中で、二人はこれまでの半年を、時折振り返るように言葉を交わした。


「もし」ミゼンが、ある夜、甲板でナサに聞いた。「間に合わなかったら」


ナサは、しばらく答えなかった。


「間に合う」ナサは、やがて言った。「間に合わせる」


「もし、豪州の海岸で既に何か決定的なことが起きていたら」ミゼンは続けた。「俺たちが届ける前に」


「その時。考える」ナサは言った。「今。考えても。仕方ない」


ミゼンは、その答えに小さく笑った。


「お前は、変わらないな」ミゼンは言った。「昔から、そういう男だった」


「昔から。知ってる。私のこと」ナサは言った。


「本国にいた頃、少しだけな」ミゼンは言った。「お前が技術者として遠征艦隊に配属された時のことも覚えている。あの頃は、まさか、こんな形でまた関わることになるとは思わなかった」


ナサは、星を見上げた。


「あの頃。私。何も。知らなかった」ナサは言った。「あの海。ただの。敵。思ってた。今。違う」


「俺もだ」ミゼンは言った。「海に落ちる前は、あの海のことなんて何も知らなかった。——分からないものを、恐れるのは、簡単だ。知ってしまえば、簡単じゃなくなる」


「あの朝。全部。変わった」ナサは言った。「私。あの海。見た。——本国。あの海。両方。知る。それ。私。仕事。今」


「仕事、か」ミゼンは言った。


「仕事」ナサは頷いた。「大事な。仕事」


甲板には、しばらく波の音だけが響いていた。


風向きが、少し変わった。船長が帆の角度を調整するよう、船員に指示を出す声が遠くから聞こえた。ナサは、その声に耳を傾けながら続けた。


「ミゼン。あなた。二つの名前。持つ」ナサは言った。「重い。か」


ミゼンは、少し、考え込んだ。


「重いというより」ミゼンは言った。「時々、自分がどちらの人間なのか分からなくなる。——だが、それでいいんだと、最近は思うようになった。どちらか一方に決めなくても、両方でいられる」


「両方。それ。私も。同じ」ナサは言った。


「お前も、そうか」ミゼンは言った。


「本国。生まれ。育つ。でも。あの海。半年。過ごす。今。両方。分かる」ナサは言った。「どちら。選ぶ。要らない。両方。持てば。いい」


ミゼンは、その言葉に、頷いた。


「それが、俺たちの役目、なのかもしれないな」ミゼンは言った。「どちらか一方の側に立つんじゃなく、両方を繋ぐこと」


「なあ」ミゼンが、また、口を開いた。「この仕事が終わったら、お前はどうするつもりだ」


ナサは少し、考えるような間を置いた。


「分からない」ナサは言った。「まだ。先。見えない。——でも。今。目の前。これだけ。やる」


「そうだな」ミゼンは言った。「今は、それだけで、十分だ」


────


三日目の朝、船は豪州の海域に近づいた。


「見えてきた」船長が言った。「あそこが、豪州の北岸だ」


水平線の向こうに、陸地の影が見え始めていた。ナサとミゼンは甲板の先端に立ち、その影を見つめ続けた。


この二日間、二人はほとんど眠っていなかった。交代で見張りに立ち、風向きを気にし、少しでも早く到着することだけを考え続けてきた。その疲労が、二人の顔に色濃く滲んでいた。それでも、目だけはまだ鋭く前方を見据えていた。


「間に合ったか」ミゼンが呟いた。


その問いに答えられる者は、まだ誰もいなかった。船は、まだ岸までたどり着いていない。この距離からでは、戦況を確かめる術もなかった。煙が上がっているのか、砲声が響いているのか、まだ何も分からなかった。


「急ごう」ナサが言った。「一刻も。早く」


船長は、帆をいっぱいに張った。船は、豪州の海岸に向けて速度を上げた。


────


その頃 豪州北岸 町


戦線は、静かなままだった。


敵の攻勢は、あれ以来、完全に止んでいた。カーターは、その静けさに次第に違和感を募らせていた。


「四日目だ」カーターは参謀に言った。「攻めてこない。何を待っている」


「本国からの指示待ちかもしれません」参謀が言った。「あるいは——」


「あるいは」


「向こうの内部で、何か決定的な変化があったのかもしれません」参謀は言った。「憶測ですが」


カーターは、双眼鏡を握り直した。敵の陣地には動きが少なかった。撤退の様子もなければ、攻勢の準備をしている様子も見られなかった。ただ、そこに留まっている。


前線の兵たちの間にも、この不気味な静けさへの戸惑いが広がっていた。ある者は、これが罠ではないかと囁いた。またある者は、この機を逃さずこちらから攻勢に転じるべきだと主張した。カーターは、そのどちらの意見も容易には採らなかった。


「隊長」参謀が、改めて言った。「攻勢に出るべきだという声が、部隊の中に、少なからずあります。この静けさは、こちらが弱っていると見せかけるための罠かもしれません」


「その可能性も、ないとは言わない」カーターは言った。「だが、こちらから仕掛けるのは、危険が大きすぎる。弾薬も、まだ十分とは言えない。——待つ。それが、今できる最善だ」


参謀は、頷いた。だが、その表情には、まだ迷いが残っていた。


「様子見か」カーターは呟いた。「それとも——」


その言葉の続きを、カーターは口にしなかった。まだ確信が持てなかった。


負傷兵の手当てを続けながら、部隊はこの不確かな時間を過ごしていた。誰もが、次に何が起きるのか分からないまま待ち続けていた。夜になれば、また明日はどうなるのかという不安が兵たちの間に広がった。誰もが、この静けさがいつまで続くのか分からないまま、眠りについた。


────


その日の昼、見張りが叫んだ。


「船だ! 沖合に船が見える!」


カーターは、双眼鏡をその方向に向けた。一艘の船が、こちらに向けて進んでくるのが見えた。敵の艦とは明らかに違う船型だった。


「あれは」参謀が言った。「亡命艦隊の船では、ないですね」


「本国の船か」カーターは言った。「だとしたら——」


船は、旗を掲げていた。白い旗だった。降伏の意味ではない。かつて、この海域で交わされた休戦の合図だった。


「あの旗は」カーターの目が細まった。「見覚えがある」


部隊の中に、緊張が走った。ここ数日、静まり返っていた戦況に新たな動きが加わったことに、誰もが身構えた。


「警戒は解くな」カーターは言った。「だが、攻撃はするな。様子を見る」


────


船が、岸に近づいた。甲板から、二つの人影が、こちらに向けて手を振っていた。


「あれは」カーターが目を凝らした。「——ミゼンか」


「ミゼン、ですか」参謀が言った。「初めて、聞く名前です」


「本国の生まれで、あの海に渡った男だ」カーターは言った。「話は聞いていたが——なぜ、ここに」


カーターは、これまで報告書の中でしか、ミゼンという名を目にしたことがなかった。本国生まれでありながらあの海の民に育てられ、二つの世界の橋渡し役を担っているという男。その男が今、こうして目の前に現れようとしていた。


船が岸に着いた。ミゼンが、真っ先に甲板から飛び降りた。ナサも、その後に続いた。


長い航海の疲労が、二人の顔に、色濃く滲んでいた。それでも、二人の足取りには、迷いがなかった。


「カーター!」ミゼンが駆け寄りながら叫んだ。「決定が下った! 本国が、増援を見送った!」


カーターは、その言葉に、しばらく動けなかった。


「増援を——見送った」カーターは繰り返した。「それは、つまり」


「戦争は、これ以上拡大しない」ミゼンは言った。「本国の評議会が決めた。証言が届いた。——お前たちの、この五日間の抵抗が無駄じゃなかった」


カーターは、参謀と、顔を見合わせた。二人とも、しばらく、言葉が出なかった。この五日間、増援が来るまでただ耐え続けることだけを考えてきた。その先に、こんな報せが待っているとは誰も想像していなかった。


ナサが、懐から命令書を取り出した。


「これ。証拠」ナサは言った。「評議会。決定。本物」


カーターは、その紙を受け取った。震える手で目を通した。本国の公式の印章が、そこには押されていた。文言は、簡潔だった。だが、その簡潔さの中に半年に及ぶ攻防の全てが凝縮されているように、カーターには感じられた。


命令書には、評議会での議論の経緯も、簡潔に記されていた。証言による審議。採決の結果。そして、あの海の民との接触を検討するという、新たな方針。カーターは、その一枚の紙にこれまでの半年間の全てが集約されているように感じた。


「これは、あんたたちが、届けてくれたのか」カーターは、ナサとミゼンを見た。


「私たち。だけ。じゃない」ナサは言った。「オルグ。評議員。ファリス。評議員。多く。人。動いた」


「証言が、なければ、届かなかった」ミゼンは言った。「あんたたちが、この五日間持ちこたえてくれなければ間に合わなかった。——お互いさまだ」


カーターは、しばらく、その言葉を噛み締めた。


────


「信じられん」参謀が呟いた。「本当に、戦争が——」


「終わったわけじゃない」カーターは言った。「増援が来ないだけだ。まだ、戦線はここにある」


「それでも」ミゼンが言った。「これまでとは違う。武力だけの戦いは限界を迎えた。——今度は、言葉の番だ」


カーターは、命令書をもう一度見つめた。それから、遠く静かな敵陣を見やった。


「言葉の番、か」カーターは低く呟いた。


周囲に集まっていた兵たちからも、僅かなどよめきが起きた。誰かが、小さく、安堵の息を漏らした。だが、誰も大きな声で喜びを表すことはなかった。まだ、戦争は、終わっていない。その事実を、この場にいる誰もが、理解していた。


その言葉に答える者はいなかった。ただ、五日間鳴り続けていた前線の緊張が、この瞬間初めて僅かに緩んだように感じられた。


────


その夜 豪州基地


報せは、瞬く間に基地の全体に広がった。


兵士から兵士へ、伝令から伝令へ。この五日間、戦線を支え続けてきた誰もが、この報せを様々な思いで受け止めた。安堵する者もいれば、まだ、半信半疑の者もいた。中には、負傷した仲間を思い、複雑な表情を浮かべる者もいた。


増援の見送り。本国の評議会が、あの海の民との接触を検討し始めたという事実。それは、この戦争の確実な終わりを意味するものではなかった。だが、これまでとは明らかに違う空気が、基地全体を包んでいた。


負傷兵の治療にあたっていた衛生兵たちも、その報せに、僅かに表情を緩めた。誰もが、まだ、油断はしていなかった。だが、これまでの数日間に比べれば、確かに何かが変わり始めていた。


基地の食堂では、久しぶりに、笑い声が、聞こえた。誰かが冗談を言い、それにまた誰かが笑って応える。この五日間、張り詰めていた空気がようやく緩み始めていた。


もちろん、皆が、単純に喜んでいるわけではなかった。戦友を失った者もいる。負傷し、まだ本国に帰れない者もいる。それでも、この静かな夜は五日前には想像もできなかったものだった。


カーターは、一人、執務室で命令書を机の上に広げていた。


「五日間、保った」カーターは誰にともなく呟いた。「それだけの価値があった」


窓の外では、静かな夜が広がっていた。前線から、砲声は聞こえなかった。ただ、波の音だけが規則正しく続いていた。


カーターは命令書を、机の引き出しに大切にしまった。この一枚の紙が、これから先どれほどの意味を持つことになるのか、まだ正確には分からなかった。だが、少なくとも、この五日間の抵抗が無駄ではなかったという証だけは確かにそこにあった。


参謀が、扉をノックした。


「隊長。休まれた方がいい。この五日間、ほとんど眠っていないでしょう」


カーターは、その言葉に、少し、笑った。


「そうだな」カーターは言った。「今夜だけは久しぶりに、ぐっすり眠れそうだ」


参謀は、頷いて、部屋を後にした。カーターは、窓の外の暗い海をしばらく見つめ続けた。


ミゼンとナサは、基地の一室で久しぶりに休息を取っていた。長い航海と緊張の連続の末に、ようやく訪れた静かな時間だった。


「終わった、わけじゃない」ミゼンが天井を見上げながら言った。「だが、少なくとも——」


「一歩」ナサが言った。「進んだ」


ミゼンは、頷いた。


「これから、どうなるんだろうな」ミゼンは天井を見つめたまま呟いた。「あの海と本国が、本当に話し合える日が来るのか」


「分からない」ナサは言った。「でも。今日。一歩。それ。確か」


「そうだな」ミゼンは言った。


しばらく、二人は何も話さなかった。窓の外から、波の音が静かに聞こえていた。


「なあ」ミゼンが、また、口を開いた。「俺たちの仕事は、これで、終わりじゃないんだろうな」


「終わらない」ナサは言った。「多分。まだ。長い」


「長くても」ミゼンは言った。「今夜くらいは、休んでもいいだろう」


ナサは小さく笑った。


「休む」ナサは言った。「今夜。だけ」


二人は、それ以上、言葉を交わさなかった。ただ、静かな波の音を聞きながら、久しぶりの穏やかな時間を過ごした。


二つの海を隔てて、初めて武力ではない糸が届いた。


だが、その糸は、まだ細く頼りないものだった。これから先、その糸をどう太く確かなものにしていくのか。その道のりは、まだ始まったばかりだった。

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