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星が重なる日(改訂版)  作者: 橘花


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停戦への糸

評議会 その日


評議会場は都の中心にあった。


石造りの大きな建物。円形の議場には、評議員たちの席がぐるりと並んでいる。中央には発言者の立つ壇。長年、この場所で幾多の議論が交わされてきた。戦の是非も財の配分も、すべてがこの円の中で決められてきた。この国が積み上げてきた歴史の重みが、円形の壁の一枚一枚に、刻まれているようだった。


オルグは、その壇に立とうとしていた。


手には束の一部を持っている。全てを持ち込むことはできなかった。膨大な量の証言を、そのまま評議会に持ち込んでも、誰も読み切れない。だからオルグは、この数日、屋敷にこもって証言を選び抜いていた。要点をまとめた紙と、ナサとミゼンの証言の抜粋を、選び抜いて携えていた。


議場の空気は張り詰めていた。遠征の行方を巡って、評議員たちの間には既に深い亀裂が走っている。強硬派は増援を主張していた。慎重派は撤退を訴えていた。両者の溝は、この数週間で、修復しがたいほどに広がっていた。オルグは、そのどちらでもない第三の道を示そうとしていた。壇に立つ足が、微かに震えていた。半年、抱え続けてきた問いの答えを、この場で初めて口にする。その重みが、オルグの体を、強張らせていた。


「発言を許可する」議長が言った。「オルグ評議員」


オルグは壇に上がった。


────


「私は、この半年、答えの出ない問いを抱えてきました」オルグは切り出した。「なぜ、あの海の民は我々と戦うのか。なぜ和解の道を選ばなかったのか。——その問いに、ようやく答えを得ました」


議場がざわついた。


「答えとは何だ」強硬派の評議員の一人、ゲラードが言った。「敵の言い分でも聞いてきたのか」


ゲラードは、この評議会でも、特に発言力のある評議員だった。若い頃から遠征を支持し続け、今回の戦も、彼の主導で始まったものだった。その声には、長年積み上げてきた自信が滲んでいた。


ゲラードの家系は、代々、軍の要職を担ってきた。祖父も父も遠征を支持し、国の版図を広げることに人生を捧げてきた。その血筋を継ぐゲラードにとって、この戦を止めるという選択肢は家の誇りそのものを否定することに等しかったのかもしれない。


「聞いてきました」オルグはまっすぐゲラードを見た。「証人を連れてきています」


その言葉に議場は一瞬、静まり返った。


「証人だと」ゲラードが言った。「まさか、あの海の民を、この場に」


「いいえ」オルグは言った。「あの海の民ではありません。——本国の民です。かつて遠征に加わり、寝返ったとされる技術者です」


その名を、オルグはまだ口にしなかった。だが議場にいる何人かの表情が変わった。記録を読んでいた者たちには心当たりがあったのだろう。寝返り者、という言葉だけで、議場のあちこちから低いざわめきが上がった。


「入室を許可されたい」オルグは議長に向けて言った。


────


議長はしばらく沈黙した。円卓を見渡し、評議員たちの顔色を確かめるように見た。強硬派の顔、慎重派の顔、そのどちらでもない顔。議長は、それぞれの表情を一つ一つ読み取ろうとしていた。


「異議のある者は」議長が言った。


ゲラードが、すぐさま立ち上がった。


「異議がある」ゲラードは言った。「寝返り者を、この評議会に入れるだと。前代未聞だ。裁くべき者を、なぜ証人として招く」


「裁くのは証言を聞いた後でも遅くない」オルグは言った。「私が求めているのは赦免ではない。——真実を、この場に持ち込むことだ」


「真実だと」ゲラードは鼻で笑った。「敵に付いた男の言葉のどこに真実がある」


「それは聞いてから判断すればいい」別の評議員が口を挟んだ。年配の女性評議員、ファリスだった。「オルグ評議員は慎重な男だ。軽々しく、こんな提案はしない」


ファリスの一言に、議場の空気が、僅かに変わった。ファリスは、評議会でも、中立の立場を保ち続けてきた評議員だった。その彼女がオルグを擁護したことは、他の評議員たちにも無視できない意味を持った。


議場がまた、ざわめいた。


議長はしばらく考え込んだ。やがて口を開いた。


「入室を許可する」議長は言った。「ただし——記録は詳細に取ること。証言に虚偽があれば、相応の処置を取る」


ゲラードはまだ納得のいかない顔をしていたが、それ以上は何も言わなかった。彼もまた、この評議会の空気がもはや彼一人の意見だけでは抑えられないことを、感じ取っていたのかもしれない。


────


ナサとミゼンが議場に招き入れられた。


二人とも外套を脱いでいた。隠す必要はもうなかった。ナサの顔がはっきりと、評議員たちの前に晒された。


議場の空気が変わった。


「あれが」誰かが小さく呟いた。「あの、寝返った技術者か」


痩せて日に焼けた顔。だが、その目には、怯えの色はなかった。ナサはその視線の全てを受け止めた。臆することなく壇の脇に立った。ミゼンも、その隣に並んだ。本国の顔立ちをした、もう一人の証人。二人の対照的な佇まいが、議場の視線を、一層集めていた。


「名を名乗れ」議長が言った。


「ナサ」ナサは言った。「本国。生まれ。かつて。技術者。いま——両方。知る者」


その片言の話し方に、議場の何人かが、眉をひそめた。だが、それを笑う者はいなかった。この場に立つまでの覚悟が、ナサの声の端々から、伝わっていたからかもしれない。


「両方とは」議長が言った。


「本国。あの海。両方」ナサは言った。「半年。あの海。いた。見た。聞いた。全部」


議長はその言葉に頷いた。


「証言を許可する」議長は言った。「話せ」


ナサは、一呼吸置いた。この場に立つまでの道のりを、思い返しているようだった。都に忍び込み、検問を避け、オルグの屋敷にたどり着くまでの緊張。そして、いま、目の前に並ぶ評議員たちの視線。その全てを、ナサはまっすぐ受け止めていた。


────


ナサは話し始めた。


その内容は、オルグが屋敷で聞いたものと同じだった。あの朝のこと。海が割れたように見え、船が見たこともない色の空の下に放り出されたこと。誰もが何が起きたのか分からず、ただ混乱していたこと。言葉を積み重ねていった過程。単語だけの会話からやがて助詞が繋がり、疑問の形が生まれ、過去のことを語れるようになっていったこと。互いの恐れが戦を呼んだこと。そして——遠くの机が決めた戦争であること。


証言が進むにつれ、議場の空気は静かに、しかし確実に変わっていった。最初は懐疑と警戒に満ちていた視線が、次第に、真剣な傾聴へと変わっていく。誰も口を挟まなかった。ナサの片言の言葉の一つ一つに、議場全体が、耳を傾けていた。


「遠くの机、とは」ゲラードが遮るように言った。「聞き捨てならんな。まさか、この評議会のことを言っているのか」


「そう」ナサははっきりと言った。「現場。ない。決めた。ここ。都。——それ。遠くの机」


議場が静まり返った。


ゲラードの顔が赤くなった。


「侮辱するのか」ゲラードは言った。「我々は国のために戦を決めた。それを遠くの机、などと」


「侮辱ではない」オルグが口を挟んだ。「事実だ、ゲラード評議員。我々は、あの海の現場を見たことがない。あの海の民の顔も名も知らない。——それでいて戦を決めた。それは遠くの机の決定だ。他に呼びようがない」


ゲラードは何か言い返そうとしたが、言葉が出なかった。議場の空気が微妙に変わり始めていた。


これまで、遠征を支持し続けてきた評議員の中にも、目を伏せる者がいた。彼らもまた、この半年、戦況の報告を机の上の紙でしか知らなかった。届いた報告は、いつも簡潔な数字だった。損耗、進軍距離、補給の見込み。それらの数字の裏に、どれほどの現場があったのか。想像したことのある者は、この議場にどれほどいただろうか。


現場の泥と血の匂いを、知らなかった。その事実に、いま初めて、向き合わされていた。


一人の若い評議員が、小さく呟いた。


「我々は……何を、決めていたのだろうか」


その呟きは、誰にも咎められなかった。むしろ、その場にいた多くの者が同じ問いを胸の中で繰り返していたのかもしれない。


────


ミゼンが一歩、前に出た。


「俺からも話させてくれ」ミゼンは言った。「俺は本国の生まれだ。海に落ちて、あの海の民に拾われた。——今は二つの名を持っている。本国の名と、あの海の名だ」


議場はミゼンの言葉に耳を傾けた。


「あの海の民は俺を殺さなかった」ミゼンは続けた。「拾って、助けて、育ててくれた。——もしあの海の民が本当に話の通じない恐ろしい敵なら、俺はとっくに殺されている。そうじゃないから、俺は今ここに立っている」


「それは、お前個人の経験に過ぎん」ゲラードがなおも言った。「一事例をもって全体を語るな」


「一事例じゃない」ミゼンは言った。「ナサの証言も、俺の証言も、半年分の記録も、全て同じことを示している。——あの海の民は恐れているだけだ。俺たちと同じように」


議場に沈黙が落ちた。


ファリスが静かに口を開いた。


「一つ聞きたい」ファリスは言った。「あの海の民は子を持つのか。家族を思うのか」


議場が、ふと、静まった。この問い自体が、これまで誰も正面から向き合ってこなかったものだったからかもしれない。あの海の民を、ただの「敵」という記号としてでなく一つの生を持つ存在として問う声が、この評議会で発せられたのは初めてだった。


ミゼンは頷いた。


「持つ」ミゼンは言った。「俺を拾ってくれた家の主にも子がいる。——出征する兵の中には、故郷に妻や子を残してきた者もいる。恐れているのは、俺たちと同じことだ。自分の国が、家族が失われることを」


ミゼンは少し言葉を切った。それから、続けた。


「俺は、本国の生まれだ。だが、あの海で育てられた。二つの国の間に立って、初めて分かったことがある。——どちらの国にも同じように、笑う人がいて泣く人がいて、誰かを思って夜も眠れない人がいる。それを、遠くから見ているだけでは、絶対に分からない」


ファリスは目を伏せた。しばらく何も言わなかった。


その沈黙は、長かった。議場の誰もが、ファリスの言葉を、待っていた。


「私にも、孫がいる」ファリスは、やがて言った。「戦地に送られた兵の中にも、同じように、家族を待つ者がいるのだろう。——それを、これまで私は数字としてしか見てこなかった」


その一言が、議場の空気を、また、変えた。


ゲラードは、何かを言いかけて、口をつぐんだ。彼の顔には、まだ、迷いの色があった。長年、遠征を支持し続けてきた自分の立場と、いま耳にした証言との間で何かが揺れ動いているようだった。


「それでも」ゲラードは、絞り出すように言った。「情に流されて、判断を誤るわけにはいかん。この戦を止めれば、これまでの犠牲が、無駄になる。そう考える者も、少なくないはずだ」


「情ではない」オルグが言った。「これは、事実の話だ。あの海の民が我々と同じように恐れ、悲しみ、家族を思う者たちだという事実。それを踏まえた上で、この戦をどう続けるか、あるいはどう終わらせるかを考えるべきだと申し上げているだけだ」


────


「証言は以上か」議長が言った。


「もう一つ」オルグが壇に再び上がった。「証言の束には、これ以外にも多くの記録があります。——言語を学んでいく過程、外交の試み、宣言の交わされた瞬間。全てが、ここにあります」


オルグは束を掲げた。


「私が申し上げたいのは赦免でも、和解の押し付けでもありません」オルグは言った。「——ただ、この戦争を正しい理解の上で続けるべきか、それとも止めるべきかを、この評議会で判断していただきたい。理解のないまま続ける戦争は、いつまでも終わらない」


議場が静まり返った。


ゲラードはしばらく黙っていた。やがて低く言った。


「——仮に、お前の言うことが正しいとしよう」ゲラードは言った。「だが既に多くの兵が死んでいる。今更戦を止めて、彼らの死は何だったと言うのだ」


その問いに、議場の空気が重くなった。


オルグはしばらく答えに詰まった。この問いに、簡単に答えられるはずがなかった。死者の重みは、どんな言葉でも、量ることはできない。


「分かりません」オルグは正直に言った。「戦を続ければ、その問いへの答えが出るわけでもない。——ただ、これ以上同じ問いを増やし続けることだけは避けられます」


ゲラードは何も言わなかった。その沈黙は、反論できないことの証だったのかもしれない。あるいは、まだ心の底では納得していないことの証だったのかもしれない。オルグには、判断がつかなかった。


────


議長は評議員たちを見渡した。


「採決に入りたい」議長は言った。「第二次遠征の是非について——ただし本日、ただちに決定するものではない。証言の内容を精査する時間を設けたい。三日後、この場で改めて議論する」


強硬派の一部から不満の声が上がった。だが、それ以上の強い反対は出なかった。この場の空気を押し返すだけの力は、もう彼らにも残っていなかったのかもしれない。


「三日間」ゲラードは呟いた。「三日で何が変わる」


「変わらないかもしれません」オルグは言った。「——だが三日あれば、少なくともこの証言を読むことはできます。読んだ上で判断していただきたい」


ゲラードはオルグをしばらく見た。その目には、まだ、割り切れない苛立ちがあった。だが同時に、何かを考え込むような色も浮かんでいた。そして何も言わずに席に着いた。


議場を出る評議員たちの表情は、様々だった。強硬派の何人かは、苦い顔をしたまま、足早に立ち去った。慎重派の評議員たちは、互いに顔を見合わせ、小さく言葉を交わしていた。そして、そのどちらでもない迷いを抱えたままの評議員たちが、一番多かった。


ファリスは、去り際に、オルグに近づいた。


「よくやった」ファリスは、小さく言った。「だが、三日後が本番だ。ゲラードは、この三日で必ず巻き返しを図ってくる。——油断するな」


「分かっています」オルグは言った。


議場は休会となった。


────


その日の夜 オルグの屋敷


オルグの書斎には、ナサとミゼンが残っていた。


「三日で足りるか」ミゼンが言った。


「分からない」オルグは言った。「だが、これ以上は望めない。——評議会が証言に耳を傾けただけでも、これまでにない変化だ」


オルグは、疲れた顔をしていた。長年、この評議会で慎重な発言を重ねてきた自分が、今日初めて正面から強硬派とぶつかった。その緊張が、まだ、体から抜けていなかった。


「ゲラード評議員。三日で。変わるか」ナサが聞いた。


「分からない」オルグは、正直に答えた。「あの男は、長年この評議会を支えてきた男だ。簡単には、これまでの主張を、曲げないだろう。だが今日、あの男の顔にも、迷いが見えた。——それだけでも、意味はある」


ミゼンが、オルグに向き直った。


「あんたは、危険を冒した」ミゼンは言った。「あんたの立場が、悪くなるんじゃないのか」


「なるだろうな」オルグは、静かに言った。「だが、それでいい。私が失うものより、この戦争が失うものの方が、遥かに大きい。——それだけは、はっきりしている」


ナサは窓の外を見ていた。都の夜は静かだった。だが、その静けさの裏で遠い海の岸辺では、まだ戦いが続いているはずだった。半年前、自分がまだあの海のことを何も知らなかった頃を、ナサはふと思い出した。あの頃の自分なら、今日の証言は、口にできなかっただろう。半年という時間が、ナサの中に、確かな何かを積み上げていた。


「豪州。まだ。戦っている」ナサが静かに言った。「この三日。届くか。止まるか」


「分からない」オルグは同じ言葉を繰り返した。「だが私にできることは、これだけだ。——評議員たちを説得し続ける。証言を読ませ続ける。それしかない」


ミゼンは拳を握った。


「間に合ってくれ」ミゼンは呟いた。「頼むから」


三人は、しばらく、言葉を交わさなかった。窓の外では都の灯りが、一つ、また一つと消えていく。だが、その静けさの向こうで遠い海の岸辺の戦いは止まることなく続いていた。


────


その頃 豪州北岸 町


戦線は、まだ保たれていた。


だが、その代償は大きかった。負傷者は増え、弾薬は尽き、兵たちの体力は限界に近づいていた。カーターは双眼鏡越しに前線を見つめ続けていた。


朝から続く攻防で、既に部隊の三割近くが戦線を離れている。負傷者を後方へ運ぶ担架の列が、絶え間なく、続いていた。それでも、前線の兵たちはまだ剣を握り続けていた。


「隊長」無線手が駆け寄ってきた。「湾口の艦隊から連絡です」


「なんだ」


「増援部隊、あと数時間で到着するとのことです」


カーターはその言葉に深く息をついた。数時間前、湾口の艦隊司令部に、支援を要請する通信を送っていた。返答が来るまでの間、カーターはずっとその結果を待ち続けていた。ようやく届いた答えに、安堵と焦りが、同時に押し寄せてきた。


「数時間、か」カーターは言った。「——保てるか、この線」


「保つしかありません」若い兵が傍らで言った。


カーターは頷いた。それ以外に言えることはなかった。数時間という時間が、これほど長く感じられたことは、これまでになかった。戦況を報告する紙の上では、たった数時間、と書かれるだけの時間だ。だが、この前線に立つ兵たちにとっては、その数時間こそが生死を分ける全てだった。


前線では剣を持つ敵兵と、豪州側の兵がまだ睨み合っていた。矢は尽き、弾薬も尽きかけている。だが線は辛うじて保たれていた。


敵兵の一団が、じりじりと、距離を詰めてきた。豪州側の兵たちは隊列を組み直し、銃剣を構えたまま後退しつつ、隙を見て突いた。数の上では、明らかに劣勢だった。それでも、隊列は崩れなかった。


一人の兵が、崩れるように、膝をついた。すぐに、隣の兵が、その体を支えた。誰も、その場を、離れようとはしなかった。倒れそうになりながらも、隊列は崩れずにそこにあり続けた。


カーターは、その光景を見つめながら、無線機を握りしめた。援軍の到着まで、あと数時間。その数時間を、この兵たちが持ちこたえられるかどうか、誰にも保証できなかった。だが、退くという選択肢は、もうカーターの中には残っていなかった。


「持ちこたえろ」カーターは、自分にも、部下にも言い聞かせるように呟いた。「もう少しだけ、持ちこたえてくれ」


その言葉が、前線の兵たちに届いたのかどうかは、分からなかった。だが、線はまだそこにあった。


その保たれた線の向こうで、遠い都の評議会が初めて証言に耳を傾け始めていたことを、カーターはまだ知らなかった。


二つの戦いは、まだ同時に続いていた。武力の限界の中で。そして言葉が初めて机を動かし始めた、その予感の中で。


三日後、評議会は再び開かれる。


その三日間に、都では何が起こるのか。強硬派の巻き返しがあるのか、それとも証言の重みが評議員たちの心に残り続けるのか。答えは、まだ、誰にも見えていなかった。


その結果が豪州の海岸にどう届くのか、まだ誰にも分からなかった。

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