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星が重なる日(改訂版)  作者: 橘花


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数えられる矢

上陸 二日目 早朝 東京 経済安全保障統括室


遠野は、一睡も、していなかった。


昨夜の官邸会議のあと、統括室に戻り、そのまま朝を迎えた。机の上には、ダーウィンからの報告が、積み上がっていた。北岸の戦況。弾薬の残量。避難の状況。——どれも、良い報せはなかった。


遠野の机には、一枚の地図があった。


「あの朝」以降、描き直された、地図。日本の位置。豪州の位置。そして、その周りの、広大な空白。アメリカが、ヨーロッパが、かつての隣人たちが、この惑星のどこにいるか、まだ分からない。見つかっているのは、豪州だけ。


その空白を、遠野は、見つめた。


経済安全保障。それが、遠野の、仕事だった。国の供給網を守り、断たれたときに立て直す。平時なら、地味な仕事だった。だが、「あの朝」以降、それは国の生死を分ける仕事になった。


なぜなら、日本は多くのものを外に頼って生きてきたからだ。食料。資源。エネルギー。そして——防衛の装備。その大半が海の向こうから来ていた。海の向こうが消えたいま、日本は、自分がどれほど外に頼っていたかを思い知らされていた。


この空白が、全てを変えていた。同盟が、消えた。輸入元が、消えた。日本は、独りに、なった。——昨夜、豪州を助けられなかったのも、突き詰めれば、この空白のせいだった。


もし、日本が自立していたら。もし、装備を、弾を、自分で作れていたら。——豪州に、手を差し伸べられたかもしれない。だが、日本は、そうではなかった。輸入した力で、辛うじて、立っていた。その力は、使えば減る。減れば戻らない。


遠野は、報告書の余白に書いた一行を、見返した。


──我々は、いつまで、輸入した力で、戦えるのか。


答えは、分かっていた。数えられる回数だけ、だった。


────


同日 午前 東京 防衛省


遠野は、桧山を、訪ねた。


制服を着た、自衛官。統合幕僚監部で作戦を預かる立場だった。昨夜の、会議にも、いた。


「昨夜の、結論は」桧山が言った。「後方支援と、邦人退避の準備。前線への派遣は、見送り。——現行法では、それが、限界でした」


「ええ」遠野は言った。「ですが私は、その限界を限界のままにはしておけない。——桧山さん。率直に、聞きます。日本は、この惑星で、独りで生き延びられますか」


桧山は、すぐには、答えなかった。長く考えて、それから口を開いた。


「難しい、質問です」桧山は言った。「日本の防衛は、戦後ずっと同盟を前提にしてきました。装備も、情報も、補給も、同盟国と分担してきた。——その前提が、いま、消えている」


「同盟の傘、ですね」遠野は言った。


「ええ」桧山は言った。「日本は、大きな傘の下に、いました。その傘は、同盟国が差してくれた。おかげで、日本は、自分の傘を持たずに済んだ。防衛費も抑えられた。その分を、経済に回せた。——それが、戦後の日本の生き方でした」


「その傘が」


「消えました」桧山は言った。「正確には、見えなくなった。同盟国は、この惑星の、どこかにいます。ですが、手が届かない。傘は、あるはずなのに、差してくれる手が、届かない。——いま、日本は、雨の中に、傘を持たずに立っています」


「消えたなら、どうします」


「作り直すしか、ありません」桧山は言った。「同盟に頼れないなら、自立する。輸入に頼れないなら、国産化する。——それしか、道は、ない。ですが」


桧山は、そこで言葉を切った。


「ですが、それには、時間がかかります。何年も。——その間に、ダーウィンの弾は尽きる。豪州は、押される。作り上げる前に、間に合わなくなる可能性が、高い」


────


「弾の話を、しましょう」遠野は言った。「いちばん切実です。——弾は、国産化できますか」


「銃弾なら」桧山は言った。「できます。五・五六ミリ弾。技術的には難しくない。火薬と、金属と、雷管。原料さえあれば、作れます」


「原料は」


「そこが、問題です」桧山は言った。「弾薬の原料の一部は、輸入に頼っていました。火薬の原料。特殊な金属。——それらの供給元が、いま、どこにあるか分からない。国内で代替できるものも、ありますが、全部は無理です」


桧山は、続けた。


「弾薬というのは」桧山は言った。「意外と、作るのが難しい。弾頭。薬莢。装薬。雷管。——一つ一つは単純です。ですが、それを大量に、安定して同じ品質で作るには、専用の設備と原料の安定供給が、要る。その原料が、いま、細っている」


「作れる、量は」


「平時の需要なら」桧山は言った。「国内の、生産で、賄えます。ですが、いまは戦時だ。消費が、桁違いに多い。ダーウィンでは、一日で、想定の三倍を撃っている。——その量を国内生産で追いつかせるのは、いまの設備では無理です」


「設備を、増やせば」


「増やせます」桧山は言った。「ですが、時間がかかる。工場を建て、人を育て、原料を確保する。——半年、一年の、話じゃない。数年、かかる。その間、ダーウィンは待ってくれない」


「では、銃そのものは」


「小銃は、国産です」桧山は言った。「二〇式五・五六ミリ小銃。豊和工業が、国内で作っている。設計も、製造も、日本のもの。——これは、作り続けられます。部品も国産だ。ライセンス生産では、ない。純粋な、国産小銃です」


遠野は、その言葉に、少し救われた。


「作れるものも、あるんですね」遠野は言った。


「あります」桧山は言った。「戦後、コストが高くても、主要な小銃を国産で通してきた。批判も、ありました。輸入した方が、安い、と。——ですが、いま、その国産が生きている。輸入に頼っていたら、小銃すら補充できなかった」


「なぜ国産にこだわったんですか」遠野は聞いた。


「いくつか、理由が、あります」桧山は言った。「一つは、技術の保持。小銃を作れる技術を、失わないため。一つは、有事の備え。輸入が止まったときのため。——当時は、そんな有事、来ないだろう、と、多くの人が思っていた。輸入が、止まる。同盟が、消える。そんなことは、起きない、と」


「起きた」


「起きました」桧山は言った。「誰も想像しなかった形で。世界ごと、別の惑星に移された。——そんな有事を、想定していた人は、いません。ですが、結果として、国産にこだわったその備えが、いま、日本の最後の拠り所になっている」


桧山は、少し間を置いた。


「皮肉です」桧山は言った。「無駄だと言われた備えが。いちばん役に立っている。——備えとは、そういう、ものかもしれません。無駄に見えるときほど、本当は要る」


「先人の、判断が」


「正しかった、とは、言いません」桧山は言った。「あの頃は、同盟があった。輸入もできた。国産にこだわる必然性は、薄かった。——ですが、結果として、いま、それが日本を支えている。皮肉な、話です」


────


同日 午後 ダーウィン基地


北岸の戦線は、二日目に入っていた。


赤城は、カーターと通信で繋がっていた。


「持ちこたえて、います」カーターの声は、疲れていた。「夜の間に、敵の上陸は止まりました。暗くて、上陸艇が、出せなかったようです。——ですが、夜明けと共に再開しました」


「弾は」赤城が聞いた。


「昨日で、備蓄の四割を使いました」カーターは言った。「今日、同じペースなら、明日には底をつく。——正直、厳しい」


赤城は、唇を、噛んだ。


日本の弾薬を分けることは、できた。だが、それは、日本の備蓄を削ることだった。そして、日本の弾も、補充が利かない。豪州に分ければ、日本自身が丸腰に近づく。


「弾薬を、いくらか、送る」赤城は言った。「ですが、多くは送れない。——うちも、補充が利かないんだ。分ければ、うちが、次に動けなくなる」


「分かっています」カーターは言った。「あんたたちにも、限りがある。——本当は、弾より、人が欲しい。あんたたちの部隊が。だが、それは頼めない。法律が、あることは、知っている」


その言葉が、赤城に、刺さった。


弾より、人が欲しい。——だが、その人を、日本は出せない。法が、許さない。いちばん求められているものを、いちばん出せなかった。


赤城は、半年前のことを、思い出した。この海で三者が出会ったとき。日本と、豪州と、亡命艦隊。互いに、行き場のない者同士が身を寄せ合った。あのとき、赤城は思った。国境も、しがらみも越えて、共に生きていける、と。


だが、いま、しがらみが戻ってきた。日本の法。日本の事情。——それが、赤城の手を縛っていた。共に生きようと誓った相手を、目の前で助けられない。半年前の、あの希望に満ちた出会いが、遠い昔のことのように感じられた。


「すまない」赤城は言った。


「謝るな」カーターは言った。「あんたのせいじゃ、ない。——あんたは、この半年、誠実だった。それは、分かっている。恨んでは、いない。——ただ、もどかしい。それだけだ」


カーターは、続けた。


「一つ、頼みがある」カーターは言った。「もし、この戦争を終わらせる道が、あるなら。——武力じゃ、ない道が。あんたたちに、それを、探してほしい。俺たちは、いま、目の前の敵で手一杯だ。先を考える余裕が、ない。——だが、あんたたちには、それがある。頼む」


赤城は、その言葉を、受け止めた。


武力じゃ、ない道。——それは、赤城も、考え始めていたことだった。豪州が前線で血を流している間に、日本は、別の道を探す。それが、いま、日本にできる数少ない貢献かもしれなかった。


「探す」赤城は言った。「必ず。——あんたたちが持ちこたえている間に、俺たちは、出口を探す」


「頼んだ」カーターは言った。


通信が、切れた。


赤城は、しばらく、動けなかった。だが、その胸に、一つの決意が芽生えていた。武力で助けられないなら。別の道で助ける。この戦争の出口を見つけることで。


────


同日 夕方 東京 防衛省


遠野と桧山の議論は、続いていた。


「国産化には」桧山は言った。「三つの、段階が、あります。まず、いま作れるもの。小銃、一部の弾薬。——これは、すぐに増産に入れる。次に、時間をかければ作れるもの。火薬の原料の代替。部品の内製化。——これは、数年、かかる」


「三つ目は」


「作れないもの、です」桧山は言った。「精密誘導兵器。高性能な電子機器。特殊な素材。——これらは、一国だけでは作れない。世界中の分業で成り立っていた。その分業が消えた、いま——作る術が、ない」


「作れない、ものは」遠野は言った。「諦める、しか」


「諦めるか」桧山は言った。「あるいは、それに頼らない戦い方を、考える。——高性能な兵器がなくても、守れる方法を。数えられる矢しかないなら、その矢を、どう活かすか」


遠野は、桧山を、見た。


「数えられる、矢」遠野は、繰り返した。


「ええ」桧山は言った。「ヴァルタは、矢を、いくらでも作れる。自分の産業で。——尽きない、矢だ。対して、我々は、高性能だが、補充が利かない。数えられる、矢だ。この非対称の中で、どう戦うか」


桧山は、地図を、見た。


「答えは、二つ、あります」桧山は言った。「一つは、数えられる矢を、数えられない矢に変えること。——国産化です。時間はかかるが、これしか、根本の解決は、ない」


「もう一つは」


「そもそも、矢を使わずに済ませること」桧山は言った。「戦争を終わらせる。——武力ではなく、別の方法で。それができれば、数えられる矢の問題は、消える。使わなければ、減らないのだから」


その言葉に、遠野は、はっとした。


戦争を終わらせる。武力ではなく。——それは、遠野が経済安全保障の観点から、ずっと考えてきたことと重なった。武力には、限りがある。日本の武力には、特に。ならば、武力以外の道を、探すしかない。


「桧山さん」遠野は言った。「戦争を、武力以外で終わらせる。——そんな道が、あると、思いますか」


「分かりません」桧山は言った。「ですが、ダーウィンから、興味深い報告が来ています。——敵の内部から寝返った者が、いる、と。技術者が、一人。この海の何かに動かされて」


遠野は、その報告を、思い出した。


技術調査員の、寝返り。本国が、最も信頼した者の離反。——それは、武力では、決して生み出せないものだった。


「武力は」桧山は言った。「敵を、倒します。ですが、敵の心は動かせない。——寝返りは、違う。あれは、心が動いた結果だ。もし、この海が、敵の心を動かす何かを、持っているなら——それは、我々の数えられる矢よりも、強い武器かもしれない」


遠野は、その言葉を、噛みしめた。


自衛官である桧山が、武力の限界を語っている。それは、奇妙なことのように思えた。だが、桧山は、続けた。


「私は、軍人です」桧山は言った。「武力を預かる立場だ。だからこそ、武力の限界を知っている。武力は、強い。ですが、万能では、ない。敵を倒せても、敵を味方には、できない。倒し続ければ、憎しみだけが残る。——憎しみは、次の戦争の種になる」


「では、どうすれば」


「憎しみではなく、理解を生むことです」桧山は言った。「敵が、なぜ攻めてくるのか。何を恐れているのか。それを理解し、相手にも理解させる。——寝返った、あの技術者は、この海の何かを理解した。だから、寝返った。その理解こそが、武力を超える力かもしれない」


桧山は、地図の空白を見た。


「いつか」桧山は言った。「この空白が埋まる日が、来る。アメリカが見つかり、同盟が戻る日が。——ですが、それまで、日本は、独りで、立たねば、ならない。独りで立つには、武力だけでは足りない。理解という、もう一つの力が、要る」


その夜、遠野は、報告書を書いた。


国防見直しの、最初の提言だった。三つの柱を立てた。一つ、国産化の推進。作れるものから順に、自国生産に切り替える。一つ、独りで立てる防衛体制の構築。同盟に、頼らない、備え。そして、三つ目——武力以外で事態を収める、道の模索。


三つ目を書くとき、遠野の手が、少し止まった。


軍事の報告書に、武力以外の道、と書く。それは、異例のことだった。だが、遠野は、書いた。ダーウィンからの報告が、それを裏づけていた。敵の寝返り。この海が積んだ、何か。——武力では生み出せない、その力が、この戦争の出口かもしれなかった。


遠野は、報告書の最後に一行、書き添えた。


──我々は、武力の、限界の、只中にいる。ならば、限界の、先を、探さねばならない。


書いてから、遠野は、窓の外を見た。東京の夜。この街も、「あの朝」以降、変わってしまった世界の一部だった。だが、街の灯りは、変わらず灯っていた。人々は、変わらず生きていた。その、当たり前の日常を守るために。遠野は、答えを探さねば、ならなかった。


────


同日 夜 ダーウィン基地 解析室


同じ頃。ダーウィンでは。


十六夜が、証言の束を、前にしていた。


ナサの話。ミゼンの記録。この半年の全て。——本国に届けたい、証言の束。だが、届ける道は、まだなかった。


そこへ、赤城が、入ってきた。


「東京から、指示が、来た」赤城は言った。「国防の見直しを始める、と。——同盟なき世界での防衛。輸入なき世界での装備。そして——武力以外で戦争を終わらせる、道の模索」


十六夜が、顔を、上げた。


「武力以外で」十六夜は言った。「それは——証言の、ことですか」


「名指しでは、ない」赤城は言った。「だが、東京は、気づき始めている。武力には、限りがある、と。特に、日本の武力には。——ならば、別の道を探すしか、ない。そして、その別の道の鍵を、この海が握っているかもしれない、と」


十六夜は、証言の束に、目を落とした。


「この束が」十六夜は言った。「いつか、役に立つ日が、来るかもしれません」


「来るさ」赤城は言った。「武力で押し合っている限り、この戦争は、終わらない。豪州の弾は、尽きる。日本は、動けない。ヴァルタは、また攻めてくる。——武力の、行き止まりだ。行き止まりの先に道を作るのは、たぶん、その束だ」


「ですが」十六夜は言った。「届ける道がありません。本国と、こちらは戦争中です。使者を送れば、撃たれる。手紙を送っても、届かない。——この束を、本国に届ける手段が、ないんです」


「道は」赤城は言った。「作るしかない。——いまは、なくても。誰かが、命がけで本国へ渡る。あるいは、本国の側から、こちらへ手を伸ばす者が、現れる。——どちらにせよ、時間が、要る。だが、武力が行き止まりなら、その時間を稼ぐ価値は、ある」


十六夜は、束を、見た。


ナサの証言。ミゼンの記録。この半年で積み上げた、言葉。——それは、まだ、届け先のない手紙だった。だが、いつか届く日を信じて、書き続けるしかなかった。


「カーターさんが」赤城は言った。「言っていた。この戦争を終わらせる道を、探してほしい、と。武力じゃ、ない道を。——豪州は、前線で血を流しながら、俺たちにその道を託した。応えなければ、ならない」


十六夜は、頷いた。


「応えます」十六夜は言った。「この束が、その道になるように。——まだ、届ける先は、ありません。ですが、届ける日のために、一つでも多くの言葉を、積んでおきます」


十六夜は、束を、そっと撫でた。


まだ、届ける道は、なかった。だが、届ける意味は、日ごとに大きくなっていた。武力が限界に近づくほど、証言の価値は、増した。


────


その夜。


赤城は、屋上に、上がった。


北西の、海。その向こうで、豪州が、戦っていた。砲声が、微かに、届いた。二日目の夜も、戦いは続いていた。


赤城は、思った。


この戦争は、武力では、終わらない。それが、はっきりした。日本は、法で、動けない。弾は、数えられる。同盟は、消えた。——武力の、道は、塞がっている。


ならば、残る道は、一つ。


武力ではなく、言葉で。砲弾ではなく、証言で。——敵の心を動かして、戦争を終わらせる。それは、遠く、険しい道だった。だが、武力の道が塞がった、いま、それしかなかった。


赤城は、解析室の灯りを見た。


まだ、十六夜が、証言をまとめていた。その灯りが、この戦争の出口を照らす、小さな光のように見えた。


数えられる、矢は、いつか、尽きる。


だが、言葉は、尽きなかった。


言葉は、撃っても減らない。むしろ、語れば語るほど増えていく。積み重なっていく。——それは、武力とは、正反対の力だった。武力は、使えば減る。言葉は、使えば増える。数えられる矢と、数えられない言葉。この戦争を終わらせるのは、後者かもしれなかった。


積み上げた、半年の、その言葉が。いつか、遠くの机を、動かすかもしれない。武力が、届かなかった、その机を。


赤城は、北西の海を、見続けた。


海の向こうで、豪州が血を流している。その血を無駄にしないために。日本は、出口を探さねば、ならない。武力で助けられないなら、言葉で。砲弾で守れないなら、証言で。——それが、この戦争で日本にできる、せめてもの務めだった。


砲声は、まだ、続いていた。だが、その砲声の、届かない場所で。証言という、もう一つの戦いが、静かに始まろうとしていた。


その戦いに勝つのは、いつになるか、分からなかった。だが、その戦いだけが、武力の行き止まりの先に続いていた。


赤城は、解析室の灯りが消えるまで、屋上に立っていた。


十六夜のまとめる、証言の束が。いつか、この海と、遠い本国を繋ぐ橋になることを。願いながら。

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