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3話:幸せな日常
「「ただいま」」
私と母上は声をそろえて家に入った。
「おかえり」
父上の低い重低音は甘く、愛しい家族へと発せられる。
「おかえりー!」
妹のティアはトテトテと私に近寄って抱きつく。
何故か、妹は私にとてもなついた。
可愛いので問題はないが、
キレイ過ぎて触れるのを躊躇う時がある。
「ティア良い子にしてた?」
私は小さくて可愛い妹を撫でながら尋ねる。
「うん!ティアねー、お絵かきしてたの!」
私に見せたいのだろう、ぐいぐい服を引っ張り始めた。
「あらあら」と言いながら、後ろで微笑ましそうに見守る母上。
私は慌てて靴を脱ぎ、妹の自信作を拝見しに行く。
「そういえば、アルはどうしたの?」
という母上が声のしなかった人物を尋ねるのが背後から聞えた。
椅子に座りながら、コーヒーもどき(似ているが色は白い物)を
飲んでいた父上が答える。
「友達と遊びに行ったよ。もうすぐ帰ると思うけれど…」
「ただいまー」
噂をすれば影がさす。兄が帰ってきたようだ。
「「「おかえり」」」
私たちの家族の声が重なる。
いつもの幸せな風景。
私は1枚の絵のように
この風景を覚えておこうと思うのだ。




