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28.急所への効果はバツグンだ!

「では改めてギルドについて説明します。まず、冒険者のランクはGからAまでの7ランクにわかれ、Gは実質的には見習い扱いです。ランクの昇進については、ギルドへの貢献と昇進試験により、上位のランクに上がることができます。」


 何事もなかったかのように説明を再開するアリスさん。


「見習いだと何か制限があったりしますか?」


「制限は有りませんが、三ヶ月間活動実績がない場合はギルドから除名されます。Fランク以上になると一年間に猶予が伸び、事情次第では除名では無く資格停止にできます。除名されたわけではないので、身分証としては使えます。」


「わかりました。まずはFランクを目指します。」


「初登録で称号を持たれてる方限定ですが、有望な新人の発掘を目的とした特例措置があります。試験を受ける必要が有りますが、合格すればDランクからのスタートになります。"伝説的チロウ"の称号をもつヒデキ様には受験資格がありますが、挑戦されますか?」



 微妙に称号名を強調して言うアリスさん。俺の称号を聞いてギルド内がザワザワしている。ただ、内容が、まだ若いのにとか、苦労したんだなとか、尊敬ではなく同情的なのはやめてほしい。


「受験してだめだった場合は、何か不利になることは?」


「試験に落ちても通常通りGランクからのスタートになるだけで、ペナルティ等は有りません。試験内容はギルドの試験官と模擬戦を行います。勝利またはそれに準ずる結果とギルド側で判断されれば合格となります。」


 なるほど、二場所連続優勝かそれに準ずる的なやつだな。要はある程度の実力が示せれば、負けてもギルド側の都合次第で合否が決まると。


 とりあえず受験してあとは流れでいくか。


「受けます。」


「では、準備をしますのでしばらくお待ちください。今日は試験官をできる方が複数名いるので、時間はかからないと思います。」


 少しすると、金属製の鎧を着た若い女性と、ダンディなオッサンが上の階から降りてきた。


「俺がギルドマスターだ。珍しい称号持ちがいると聞いて笑いに来た。」


 何このギルドマスター、あまりにも正直すぎじゃないか?


「Cランクのエリスだ、試験官をさせてもらう。お前が受験者のヒデキか?私とあまり変わらない年齢だろうに、苦労したんだな。」


 苦労って何の話をしてるんですか。


「さっき登録したヒデキです。称号については全く心当たりが有りませんが、試験をよろしくお願いします。」


 挨拶を終えた俺達は、アリスさんの先導で地下にある闘技場っぽい所へ移動。観客席もあってわりと本格的な施設だ。


「これよりDランク昇格の為の試験を行います。審判は現役のBランク冒険者であり、人気No1受付嬢の私、アリスが行います。」


 アリスさんの自己主張は華麗にスルーされる。どうやらこれが平常運転らしい。


 双方とも武器は訓練用の木剣、俺の防具は動きやすさ重視で冒険者の服。対するエリスさんの防具はやや重そうな、金属製の軽鎧(けいがい)


「エリスさん、よろしくお願いします。」


「エリスでいい。ヒデキは私に勝つ必要はないんだ、気軽に全力でかかってこい。」


「では、試験を始めてください。」


 アリスさんの言葉と同時にエリスが間合いを詰め、木剣で斬り掛かってくる。


 俺はその攻撃を余裕で(かわ)し、エリスの背後へと回り込む。


「今のを躱し、私の背後に回り込む余裕があるか。ヒデキよ、伊達に称号を持ってるわけでは無いようだな。面白い、ここからは本気で行くぞ、死ぬなよ!」


 二段回くらい速度やキレが増したエリスの連続攻撃、しかしそれを全て(かわ)す俺。徐々に焦りを見せ始めるエリス。


 見学していたアリサの俺を見る眼差しが!今日、最初に会ったときと同じ尊敬の眼差しに変わる!


「ヒデキよ、たしかに貴様の速さはCランクでも十分に通用する。だが、上には上がいる事を教えるのもこの試験の主旨。見せてやろう、私の本気の速さを!パアァァァアジ!!」


 パージの叫び声とともにエリスの重そうな防具がはじけ飛び、薄い白色のインナーだけの姿になる。鎧の上からでは分からなかったが、ボリュームのあるエリスの身体のラインがハッキリするタイツみたいなインナー。さらに!既に動き回った結果、汗でインナーが貼り付き微妙に透けている!


「さぁ、ヒデキ。私の速度についてこれるか!!」


 エリスが攻撃体制に入る。だが、俺は深刻な状態異常を起こしてそれどころじゃない!!


「ま、まいった。まいりました!」


 駄目だ、ムスコが臨戦態勢に入って俺が戦闘不能だ。この状態じゃ素早く動けない、パージの効果はバツグンだ!一瞬で俺を戦闘不能に追い込みやがった!


「なっ!」


 俺の降参宣言に驚愕(きょうがく)をあらわにするエリスさん。


「エリスよ、奴の姿勢を見てみろ。明らかに腰が引けて不自然な体勢だと思わないか?ヒデキはお前の秘技、パージで戦闘不能になったんだよ。股間はバリバリの戦闘態勢になったけどな!」


 ギルドマスターが余計な解説を入れてくる。


「ヒデキさんが戦闘不能になったため、勝者エリス!なお、負け方が(ひど)いので、Dランクへの昇格は無しとします。」


 審判役のアリスさんが冷たい声で俺の敗北を告げる。


 なんか、アリサが俺の股間を見ている。まるでゴミを見ているような目だ!またこのパターンかよ!やめろ、そんな目で見るんじゃない!

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