27.冒険者ギルドでの洗礼
尊敬の概念が消滅した結果、気軽に話せるようになったアリサと二人で冒険者ギルドに到着。冒険者ギルドに入ると、いきなり二人組に絡まれた。
「ギャーハハハハハハァ!見ろよぉズガンのアニキィィ、ガキがいるぜぇぇ!」
「あぁん?ズゴンよぉ、ガキがなんでこんな所にいやがるんだぁ?」
「ギャーハハハハハハァ!迷子じゃねぇのかぁ?ズガンのアニキィィ!」
「あぁん?ズゴンよぉ、なんでこんな所に迷子のガキがいやがるんだぁ?」
一人は2メートル近いガタイの良い、しかし、汚くて頭が悪そうな大男。
もう一人も2メートル近いガタイの良い、しかし、汚くて頭が悪そうな大男。
うむ、特徴が全く同じだ。
まるで双子の様な大男二人組だが、片方がスキンヘッドでもう片方がモヒカンなのでかろうじて見分けがつく。ハゲガンにモヒゴン。よし、モヒゴンならゴロがいいから覚えられるな。
周囲を見回すと他の冒険者もそれなりにいるが、みんな見てみぬふりだ。受付の方も我れ関せずといった感じで止める様子はない。冒険者たちからはまたDランクのズガンとズゴンが始めやがった、といった声も聞こえる。
だが、肝心なのはこいつらにアリサが怯えているということだ。微妙に落ちたアリサからの評価を挽回するチャンス!
いわゆる一つのこの洗礼を、冒険者らしくかつスマートな感じで切り抜けてやるぜ!
「俺の名はガキじゃねえ、ヒデキだ。迷子ではなく冒険者になりに来た。用がないならここを通してくれないか?」
そして激怒した粗暴な先輩冒険者を、新人の俺が華麗に撃退してギルドの注目を集めるのだ!
「威勢の良いガキだぜぇ、ズガンのアニキィ!」
「ズゴンよぉ、こんなガキどもじゃぁ、すぐに死んじまうぜぇ。ここは冒険者の先輩として、やらなきゃいけないことがあるよなぁ?」
「わかってるぜぇ、ズガンのアニキィ!お前らみたいなガキどもにはコイツをプレゼントしてやるぜぇ!」
モヒゴンが汚い腕をアリサの方に伸ばしてくる。
「アリサには触れさせん!」
カッコよく叫んだ俺は素早くモヒゴンとの距離を詰め、アリサに触れようとしていた腕を弾き飛ばす!
「い、いでぇよ、アニキィィィ。」
「て、てめぇ、いきなりズゴンに何しやがるっ!」
「いきなりも何も、そこのモヒカンが俺のアリサに手を出そうとしただろう。」
「オレは野草採取用と剥ぎ取り用のナイフにHP回復と解毒ポーションの入ったマジックポーチ(極小)を、そこのお嬢ちゃんに渡そうとしただけだぜぇ!」
「おい、ズゴンよぉ。ここらの初心者ハザードマップはいれてねぇのかぁ?」
「やべぇぇ、入れ忘れてたぜぇ。」
「それでこのガキどもが危ない目にあったらどうすんだぁ?」
「面目ねぇ、今度はちゃんと入れたぜぇ!」
「ようし、あとはこのガキどもを受付に案内するだけだなぁ?」
「案内してくるぜぇ、ズガンのアニキィ!ホラ、ガキども、こっちが受付カウンターだ。受付嬢のアリスさんの話をしっかり聞くんだぜぇ!」
悲報、モヒゴン達は良い人だった。
こうして嵐のような二人組は去っていった。ボーゼンとする俺とアリサに受付の方から声がかかる。
「すみません、たった今ズゴンさんよりご紹介されました、受付のアリスです。ズガンさんとズゴンさんは良い方々なんですが、あの外見と話し方なので、絡まれてると勘違いされることが多くて。それと、あの二人は馬鹿なので腕を払ったことはもう忘れてるはずなので、あなた方も忘れた方がいいですよ。えぇと、新規登録ですよね?」
俺より少し年上の女性から話しかけられる。ドアから受付まで行くのにこの疲労感、恐るべし冒険者ギルド。
「えぇと、はい、俺とこの娘で登録に来ました。あの、さっきのモヒゴン達は何だったんですか?」
「モヒゴン…?あぁ、モヒカンのズゴンさんですね。彼らは初心者を見つけると、今みたいに初心者に役立つ最低限のアイテムセットを渡してるんです。うだつが上がらないけど初心者の面倒見が良いコンビとして、ここでは結構有名な冒険者ですよ。ご紹介しますか?」
紹介だなんてとんでもない!話聞くだけで疲れるんで、もう関わりたくないです。
「いや、紹介はいらないです。」
「そうですよね。では、こちらの用紙に名前と年齢の記入をお願いします。」
えーと、名前はヒデキ、年は15歳と。これだけでいいのか。アリサは空気になってるが、一応用紙に記入している。
「書けました。」
アリサも書けたので二人分の用紙を提出する。
「では、こちらの板に手のひらを下に向けて置いてください。横にあるギルドタグに、あなたの魔力パターンを登録します。これを元に、ギルドで名前と年齢や犯罪歴等を管理します。治安部隊にも情報は共有されますので、これ一枚で身分証にもなります。」
「無くした場合はどうなるんですか?」
「銀貨一枚で再発行できます。魔力パターンで判別するので、一度登録すると犯罪歴のリセットは不可能ですよ。では、これがギルドタグになります。あら?ギルドタグに称号が表示されていますね。ヒデキさんは既に称号をお持ちなんですね。」
「称号ですか?珍しいんですか?」
「称号についてはご存知ないんですか?まず、ギルドタグの機能の一つに称号の表示機能があります。けど、初めて登録する方で称号持ちは滅多にいませんね。スキルLv7にならないと称号は表示されませんから、ハードル高いんですよね。えぇと、これは、伝説的チロウ…?初めて見る称号です。」
やばい、これは説明できないやつだ。チロウは遅老。老化が遅くなるUSKILL。これのレベルを今説明したらヤバイレベルで無駄に目立ってしまう。そもそも遅老が公開しても良いスキルかどうかもわからねぇ。
「称号はスキルLv7で専門的、Lv8で熟練の、Lv9で達人的、Lv10で極めし者とつくはずなんですが、伝説的ともなるとそれ以上?しかし、Lvは10が最高のはず。いえ、それよりもスキルのチロウ。この若さで何があればここまでのチロウに…?」
受付嬢のアリスさんの視線が俺の股間に向かう。微妙に哀れんでいるような目だ。絶対に誤解してるだろ!やめろ、そんな目で見るんじゃない!




